Z世代がハマらない"Clubhouse"

App Store のSNS部門のランキングでは数週連続1位を獲得しており、飛ぶ鳥を落とす勢いで利用者が増加しているSNS、”Clubhouse"

初めて目にしたのが某バンドミュージシャンのツイートだったので、新しい音楽のジャンル(クラブミュージックとハウスミュージック的な…)なのかと思ったが、瞬く間に利用者数は増加し、巷では"Clubhouse沼"という言葉が出るほど人気を博している新しいSNSだ。

私自身も利用し始めて2,3週間ほど経つが、ラジオやPodcastが好きな人間としては面白いコミュニケーションツールだなと思う反面、ひとつ気になった点があった。

それは圧倒的にZ世代(1990年代半ば~2000年代に生まれた若年層)の利用者が少ないことだ。
私の周りだけなのかもしれないが、大学生や高校生の知人・友人で利用しているひとは圧倒的に少なく、利用していたとしてもSpeker(発信・参加する側)ではなく、ただ流行りだからアプリは入れているという人や招待制のアプリ故、利用していることで優越感を味わえることから違うSNSで利用していることをアピールできる(本人は意図してマウントをとっているわけではないかもしれないが…)から入れているような人が多く、日常的に利用しているのはオーバー25歳以上、ミレニアル世代~ポスト団塊ジュニア世代が圧倒的に目立つ印象だ。

気になったので調査をしているとことがないか調べたところ

・Clubhouseの認知度は13〜17歳未満で43.2%、17歳〜25歳で54.1%
・17歳未満の男女、17歳以上になったら「Clubhouse」をはじめたい人は50.0%
・17歳〜25歳で「Clubhouse」やっている人は11.5%、「機会があったらはじめたい」は45.1%、「はじめたいと思わない」は43.4%
・「Clubhouseをすでにはじめている」「機会があればはじめたい」と回答した17歳以上の男女、利用したい理由は「流行だから」が約半数

(株式会社テスティー調べ)

という興味深い結果があった。

ではなぜZ世代には響かないのか。
私は2つの理由があると思う。

1."あとから"見れない、時間に左右される機能性

"Clubhouse"の最大の特長であるのが、アーカイブ機能がないということだ。
ほかのSNSは本人が消さない限り半永久的に投稿内容が残る。
そのため自分が好きなタイミングで見ることもできるし、何度も見返すことができるので時間や視聴回数に左右されず見ることができることが特長だ。

しかしながら"Clubhouse"にはアーカイブ機能がない。
聴き逃さないためには配信が行われているその瞬間にルームにいなければならならず、途中でルームを退席した際には残りの配信内容を後から聞くことはできない。(途中からルームに参加した場合も同様)
このように時間の融通が利かない機能性にどうもZ世代はしっくり来てないように感じる。
逆に言えば、リモートワークが定着した社会人は時間にとらわれずに使える環境があるので、作業中や仕事中のBGMとしてラジオやPodcastのように聴くことできるためハマるツールなのかもしれない。

2.素の自分が前面に出る、盛れないSNS

現代のSNSの多くは自分の良い部分のみを切り取って、またよく見せるために加工・盛ることが大前提。
しかし、この”Clubhouse”は自分の声と自分の知識や話術、コミュニケーション能力だけがものをいうSNSだ。
人によっては話を誇張したり、色を付ける人もいるだろう(ある意味盛りに盛っているともいえる)が、根本はその人が持つ力だ。
裏を返せば盛る必要がないのでそこに使いやすさを感じ、それがZ世代以上から支持を集めている理由かもしれない。(事実私はそこがいいと思う理由だ)
Tik TokやInstagramといった”盛る”ことが大前提のSNSを常日頃使いこなし、盛らないものを人に見せることのないZ世代には少しハードルが高いのかもしれない。

Z世代のようにデジタルネイティブに響かないSNSがどのようにこれから成長し変化し、社会にどんな影響を与えるのかすごく楽しみでもあり、また、今回の"Clubhouse"の急速な利用者拡大を機にほかのSNSは対抗策として、どんな新機能を拡張してくるのか非常に興味深い。

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