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断食合宿に参加してきた|その3|二日目

起床6時。検温のちにヨガと呼吸法。そしてとっておきの油、ギーをふた口、幸せの味。これでギーを摂るのはおしまい。その後、お祈りと般若心経を読んでお話。

昨晩は早く布団に入ったのになんだか寝付けず。夜中に耳元に蚊がやってきて追い払ったり、みんなの寝息がきこえてきて気になったりで深く眠れないまま朝になった。

このところのわたしは悪夢の残像を感じながら起きることが多い。そして自分は今いるところじゃなくてどこか違うところに移った方がいいんじゃないかという迷いもこの春から持ち続けている。以前住んだ神戸に移るのもいいかもしれないな、と起きがけにおもいついて、起きてすぐにタミさんに伝えた。「うん、ちょっと遊びに行ってくるのはいいんじゃないかしら。引っ越しするのはどうかなぁ」そっかぁ、名案だとおもったんだけど同意は得られなかった。

外は少し雨模様、わたしは寝不足と断食で頭が重く、だるい。しばし座ってアーユルヴェーダによる時間の過ごし方、般若心境のお話があったけれど、集中して話をきける状態ではなくて話半分できいていた。それが終わると布団に戻るとどっぷり寝てしまうので、温熱器を借りて体をあたためながら、気の済むまで座布団で横になることにした。時間はたっぷりある。デジタル&情報デトックスなこの環境でできること、ただ思う存分寝る、もいいだろう。そのうち雨が止んできたのか気力がまだあるみんなは近くを散歩すると外に出て行った。

気がつくと、何時になったんだろう、もうすっかり午後だった。充分に寝たと感じて、庭に少し出て、おひさまを浴びる。音も情報もない、大きなお屋敷の蔵の中で空腹を抱えてなんにもしないでずーっと横になっている。体に力が入らずよろよろと歩む。春先からのあれこれ、うまくいかなかったことにばかりとらわれて後悔ばかりでこの有様。おかしいじゃないか、自分でも笑っちゃう。

おひさまの光がスイッチを入れてくれたのか、どうやら急にハイになってきた。まるで気分が高揚するものでも摂ったのだろうか(そんなわけはない)というくらいに。あんなに気になっていた過去のことがものすごく遠く後頭部の背後にいってしまったように感じられる。それを思い出そうとする力も働かない。それどころか一瞬前のことさえも忘れてしまって思い出せない、という感覚に陥った。今にある、ってこういうことなんだろうか。急に快活になり、みんなに話しかけはじめる。その口ぶりもさっきまでの弱音を吐いていた自分と違う、と自覚さえしていた。

今日も温泉に行く前にセルフマッサージ。タミさんは加わらず4人だけ。ふたり一組で背中をマッサージしあいっこする。わたし以外の参加者は偶然みんな、看護学校を卒業して看護師として働いたことがあるメンバー、みんなマッサージも上手。偶然はこの世には存在しない。看護師になった心優しく他人ケア精神あふれるひとたちだからこそ、今、自分自身のセルフケアの必要性を切に感じて参加しているのだろう。

温泉に着くと用意していたはずの飲み水を入れたマイボトルも、専用ボディーパウダーソープも置いてきてしまったことに気がついた。もう頭がまともに働いていない。逆に頭を働かせすぎる方だから、こんな風に働かせられないのがかえって良いかんじ。やさしい仲間たちにどちらもシェアしてもらって温泉と岩盤浴でゆっくり汗をかいてとろけた。お風呂から上がると「アイスクリームでも食べる〜」と言ってるこどもたちがいて「いいね〜」と反応したり、売店に売ってるおまんじゅうに目を奪われたり。

蔵に戻って、ソファに腰掛けるときに「あ〜しあわせ」と出てきた。「よかった〜そのことばがきけて」ほんと、みんなには心配かけてたんだろうなぁ。ごめんなさい、そして静かに見守ってくれてありがとう。
ふと口をついたメロディーを歌い出すとみんなも歌い出す。「これなんだっけ?」「昨日習ったIn Out, Deep Slowだよ。ティックナットハーンのプラムビレッジの歌」

『In Out, Deep Slow〜入る、出てゆく』

入る、出てゆく、ふかい、ゆっくり  しずか、やすらぎ、ほほえむ、てばなす  今このとき、すばらしい、このとき


夜はその、ティックナットハーンのニルヴァーナという講話映像を見る。間違ったものの見方が現実にそぐわない建替えをつくりだす。とらわれから外れれば涅槃に至る。
そして瞑想。自分が今回どんな導きでこの場所に来たのか、つながりをそれぞれたどっていく。そのあとみんなにシェアする。

わたしが今回参加したきっかけは火曜のタミさんのクラスで小耳にはさんだから。そのクラスに参加したきっかけは信州に移住したから。移住したのは、移住しようと決めた頃に奈良の友人に電話したら信州の友人のところでひとを探しているときいたから。タミさんに出会ったのは信州移住を考えていてシャンティクティに行ったとき。移住先の信州というアイディアは知人のSさんからいただいた。Sさんは神戸の友人が紹介してくれた。神戸の友人とはヨガクラスで知り合った。そのヨガクラスのチラシは神戸の街でもらった。神戸に住むことになったのは大阪の会社に転職したから。そこに転職したのは…

すべてに偶然はなく、すべてがつながっていて、いろんなご縁とつながりにいかされて今自分がここにある。すべてに感謝、自分がここにいることにも感謝。

そのあとまた21時消灯。(つづく)

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