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ぼっちとアルバイト

ぼっち大学生にとって、バイト選びは死活問題と言っても過言ではないだろう。友達のいない大学4年間を送ってきたプロの視点で、「ぼっちはどんなアルバイトを選ぶべきか」論争を考えたい。

まずは個人的な見解で、大学生がやりがちなバイトの序列を作ってみた。

ナイトワーク(思慮分別とハングリー精神のある陽) > 営業・観光業スタッフ(学業も人間関係も卒なくこなすクレバー陽) > 居酒屋・アミューズメント(基本陽、隠が入り込む隙なし) > カフェ(陰陽比率は3対7。最低限のコミュニケーション能力と清潔感があれば可能) > 学習塾(陰陽比率は5対5。真面目系隠が多い) > イベント、催事スタッフ(華やかな世界とは裏腹に設営がメインで会話が少ない。陰陽関係なくその場の状況に従い臨機応変に動ける人が活躍) > 飲食チェーン(余程人間性に難がない限りは誰でも入れる) > ホテル清掃(コミュニケーション少なめ。無気力系でも入れる) > 倉庫・軽作業(コミュニケーション皆無。無気力系も多い)

基本的には学習塾まではコミュニケーション能力が必要になるイメージだ。日常会話のみならず業務的な会話さえもできないレベルなら、それ以下のバイトを選択する方がよいだろう。

ぼっちはバイト選びをミスってしまうと悲惨な目にも合うし慎重に検討してほしい。参考までに私のバイトのエピソードを紹介する。

パン屋で干された話

私が初めてバイトしたのはパン屋だった。どうせバイトなんだし難しい作業はないだろうと高を括っていたが、齢18の私は社会の洗礼を受けることになる。

初日から任されたのはまさかの"焼き場"だった。

いや、これバイトではなくパン職人の領域では?と疑問に思いながらも、平気で2、30種類はあるパンの焼き方をマスターしなければならない。大学の休み時間を使って、パンの種類ごとの温度や前処理などを叩き込む。

発酵したての白い生地をオーブンに突っ込む日々に、自分は大学生なのか修行中のパン職人なのか分からなかった。

しかし、現実は菓子パンのように甘くはない。

どうもそのパン屋の店長にとっては素人の私が焼くパンに納得いかなかったらしく、3ヶ月ほどが経った頃には、週5で出したシフトが週0になって返ってくるといった干され具合になっていた。

自分はもう必要とされていないのかと、見切りをつけてその店を立ち去った。その時のパン焼き修行でついた火傷の跡は今でも色濃く残っている。

飲食チェーンに移り伝説のストッパーへ

パン屋のバイトで心が折れかけた私であったが、2つ目のバイトで覚醒することとなる。

パン屋を辞めて以降、新しいバイトを探したもののぼっち特有のコミュ障を発揮し、5連続くらいで面接を落ち続けた。なんと当時ワンオペ騒動で人気絶不調であった某牛丼屋さえ落ちる始末。

そんなある日、バイト募集のポスターが貼られたなんてことないローカルチェーンの飲食店に応募したところ、あっさりと採用された。

パン屋でのトラウマを抱えながらも、新たなバイト先として飲食チェーンのホールに挑んだが、2、30種類の焼き方を覚えるパン屋の仕込みとは違い、「注文を取る」・「出来上がった料理を運ぶ」・「皿を洗う」、の3種類のことしかやらずに済んだのですんなりと業務を始められた。

深夜0時まで営業していた店舗であったが、効率を追い求め、割増賃金の発生する22時–1時までのスポットで入ることが多く、巷では「伝説の店じまい(ストッパー)」や「深夜の帝王」などとまで言われるようにまでなった。

特に長期休暇のときなどはフル出勤したので、岩瀬や藤川もびっくりの16夜連続の店じまいである。

まさに戦力外通告からの再生。パン屋で必要とされていなかった私にとって、働きたい時に働けるというのは一種の自己肯定感であった。

ぼっちは社会に馴染みにくい存在であるため、時に窮屈に感じることもあるのかもしれない。

そんなときは思い切って、環境を変えてみるのも手だろう。

意外とすんなり行く場所を見つけた途端輝き出すかもしれない。

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