STU48『独り言で語るくらいなら』分析

STU48の6thシングル表題曲『独り言で語るくらいなら』のMVが先ほど公開されたので楽曲の分析をしていこうと思います。

『暗闇』に回帰

三拍子のサビやミュージカル風の進行などが印象に残りがちですが、雰囲気は何より1stシングル『暗闇』を強く意識したように思えます。
『暗闇』は秋元康お得意の内省的な楽曲ながら絶妙に瀬戸内モチーフも織り交ぜた傑作で、良くも悪くもSTU楽曲の物差しになっています。
一転して2nd『風を待つ』は「瀬戸内」を前面に出した爽やかな曲で、こちらは耳なじみの良いメロディが特徴でした。しかし3rdや5thは2ndの焼き直しとしか思えない出来で、4thは変わろうという気概は感じられたものの今度は他の秋元プロデュース楽曲の模倣だという点が看過できません。
6thでグループ結成からセンターを務め続けた瀧野由美子さんから石田千穂さんへのセンター交代が実現したのも、グループの変化が急務になったことの証拠です。合わせて楽曲も一度原点である『暗闇』のような内省的な曲に戻るのも極めて自然だと思いました。メンバーのスキルも上達していますし、賢い挑戦だと思います。

MV:振り付けがノイズ

ダンスの振り付けに重きを置く曲、そしてMVでしたね。
メンバーの表情は石田千穂さん以外固くてイマイチ。
いつも同じ人に表題曲振り付けをお願いしているゆえの弊害かもしれませんが、流石に飽きました。MVの方はカメラアングルが多彩でまだマシでしたが、武道館ライブのパフォーマンスは跳ねる箇所が何かに取り憑かれているようで気味が悪かったです。
振り付けの辻本さんは某子供ユニットによるオリンピック楽曲を手がけたことで知られています。私の憶測ですが、当楽曲がヒットした結果、多少な無茶でも通るようになったのではないでしょうか。
「与えられた振り付けをちゃんと踊りこなせ」とパフォーマーの力量を評価する前に、うるさい動きをさせる振り付け担当にも責任があることも忘れない方がいいと思いました。

ついにパフォーマンスのSTUが

STUの1期生は経験者が多かったこともあって初心者始めのメンバーまで良い刺激を受け、全般的にパフォーマンスレベルが高い集団です。2期生も似た傾向で集めたように見受けられるのでこれからが楽しみですね。
ところが彼女たちの本領が発揮できる楽曲があまりなかったのも事実で、『独り言で語るくらいなら』はこれに多少なりとも配慮したと考えられます。

歌詞・曲の印象

前述のように歌詞は『暗闇』と共鳴しており「成長するための内なる葛藤」を瀬戸内っぽい風景をバックに描いているのがそっくりですね。
曲は三拍子のサビでAKB48の『願い事の持ち腐れ』を連想しますが、私としては中島みゆき的なものを感じましたね。曲の残りはまあ坂道調ですね笑
何よりミキシングが素晴らしく、『風を待つ』以来最高の出来です。ミキシング前のオーケストラのアレンジがしっかり活きています。
弱点はサビに入るところの「溜め」で勢いが削がれる、ぐらいですかね。
聴いた後でサビ以外が印象に残らなかったのはこのせいでしょう。

総括

色々変えればファンも納得するだろうという下心も垣間見えますが、『暗闇』を良い意味でアップデートし、センターを筆頭に全体的に良く纏まっていたと思います。
重厚感のある楽曲で繰り返し聴くには少々抵抗があるため『暗闇』『風を待つ』には劣るものの、3rd、4th、5thよりは優れていると思いました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?