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コーラで乾杯

高校時代の友人二人と軽井沢に行った。僕らは軽井沢が好きなので夏になると時々行く。万平ホテルの喫茶店でロイヤルミルクティーを飲んだり、牧場でヤギに餌をあげたり、パターゴルフして腕を競い合うのが好きなのだ。今回は立川が車で帰京したのでそれに乗って出発。池袋からだった。途中、僕は寝た。前日の夜までに提出しないといけない仕事があり、終わらすために夜中の3時までかかったからだ。言ってあったので後部座席に一人で座り遠慮なく目を閉じる。立川と高平が会話をしている。その会話を後ろの席で聞いてると心地よかった。このメンバーとは二週間前に丸の内で肉を食べたので久しぶりということはない。特に目新しいことなんてないんだけど会話は面白いように弾む。結局、学校に行く価値はほとんど友達を作ることにある。

軽井沢についてからは沢村でランチした。

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パンが有名なところ。ハンバーガーランチがあったので三人で同じものを頼む。量に圧倒されながら頬張る。美味い。ハンバーグがとにかくデカくてジューシーだった。ランチを食べ終えてから沢村のパンを買う。立川は食パンを、僕と高平は甘いパンを買った。これだけで今日のカロリーは大変なことになっている、と高平は嘆いていた。食べながら駐車場に戻る。その後は軽井沢のアウトレットに行った。人は例年よりも少なかった。僕はコーチでディスカウントされた黒い長財布を買った。ちょうど財布を買い換えようと思っており良い財布があったのだ。二人はブルックスでズボンとシャツを買っていた。買った後に高平が「一回も着なさそう」と言っていたので笑った。それからチョコレートドリンクを飲んだり、芝生の上で寝転んだりしながらグータラしてた。お盆って感じだった。本当はパターゴルフをする予定だったのだけど疲れてやめた。

その後、星野リゾートの横にあるトンボの湯に行った。眺めも良くて気持ちが良い。入浴後に近くを散策。ハルニレテラス周辺の夕方は風が涼しかった。てくてく歩きながら森林浴。どんどん日が暮れていく。それは旅がもうじき終わってしまうことを意味する。夜飯はどこにしようか悩んだ。どこも満席そうだった。無難に軽井沢銀座の方に戻って蕎麦屋へ。

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川上庵だ。30分ぐらい並びますと言われたので、観念して並ぶ。やっと入れて店に入ると、店内は良い感じに暗いライトが照らしている。席についてからそれぞれ天ぷら蕎麦、野沢菜、豆腐を注文。立川が運転していることもあり、酒は飲まずに三人でコーラを飲む。やってきた天ぷら蕎麦のエビが二つあって大きかった。並んだ甲斐があったという美味さだ。蕎麦にコーラ、悪くない。前に蕎麦屋でバイトしていたこともある僕が言うので間違いない。帰り際に机に伝票がなかったのでそのままレジに行くと、「あ、コーラ三人のお客様ですね」と言われて何だか恥ずかしかった。

軽井沢を後にする。

夜の高速を突っ走った。暗い高速を走っていくのが好きだ。陸上部時代も夜に走るのが好きだった。時が止まったかのようだからだ。光が横切っていく感覚を味わうと自分が光にでもなった気分になる。途中、サービスエリアに寄った。辺りは真っ暗なのにサービスエリアだけは異様に明るい。吸い寄せられるように入る。車内でも話は尽きない。ずっと喋ってられそうだった。それからすぐに池袋についた。夜11時を回ろうとしていた。次会えるのはいつかな、そんなことを思っていた。池袋の夜はまだ明るかった。セミが悲しいくらいに声をあげて泣いていた。信号機の前でどこかの国の人が会話しながら笑っていた。またすぐ会えると思っていると会えなくなってしまう。人生は思ったより短いし、それでいて長い。僕と高平は車を降りた。僕は立川に手を振る。立川は爽やかな笑顔を見せる。立川が運転する車は池袋の細い道をするすると抜けていく。僕は高平と駅に向かった。肩にはかすかに軽井沢の風を感じる。

「では、また」「うん」

短く挨拶して山手線のホームで別れる。また来年も軽井沢がやってくるのだろう。緑色の電車がホームに飛び込んでくる。トンボが気怠そうに空を舞っていた。

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