プロボクサーは水道屋からプロボクサーに。
5月から水道屋として働き、様々なエピソードを投稿して参りました。
途中夏頃からは投稿がご無沙汰になってしまいましたが…。
今回は報告の回。ヒューマンドラマな投稿では御座いませんので悪しからず。
結論から申し上げますと、菊池真琴は
”ボクシングに戻って参りました"
3月。収入を断たれ、デビュー戦が流れ、興行も中止となり。その先の目処も立たず、ボクシングを辞めることも覚悟して…。
私はボクシングを離れました。
第一回目の投稿でも触れましたが、その後腹を括って不況の影響が少ないライフライン業界の一つである水道屋の仕事を未経験ながら始めました。
後から知りましたが、この業界は肉体的精神的にも非常に厳しい為か女性のスタッフは全国的にも数が少なく定着率も低いとの事です。
しかしそんな中、何もなくなった私を快く受け入れてくれたのが私の働いている「株式会社イーライフグループ様」でした。
会社では初の女性水道スタッフだという事で扱いにくい点もあったかもしれません。
それでも技術やノウハウを後のない私に叩き込んでくれました。
多くの先輩方の御指導や協力のお陰で、稼働から3ヶ月経った8月。私の売り上げ実績は全国で一番になりました。
私の力ではありません。助けてくれた先輩方、私の話を心から聞き受け入れてくれたお客様がいたからの事です。
しかし、毎日毎日朝から晩まで軽バンで関東全域を走り回りガムシャラに働く中。常に心にあった事があります。
「ボクシングに帰りてぇ…。」という事。
中止になっていた興行も客席に距離を取る等の対策を取って徐々に始まり、ジムの仲間の試合も決まったと耳にし、帰りたい想いは日を追うごとに増して行くばかりでした。
何より私は未だボクシングで何も成せてない。
五輪も出てない。大逆転の大志を抱いて転向したプロの土俵では戦ってすらもない。
"こんな半端なまま終わるなんてたまったもんじゃねぇ。"
そんな気持ちが溢れ、こぼれ落ちそうになったある日。いてもたってもいられなくなり、社長にお時間を頂き気持ちをお伝えする場を設けて頂きました。
「ボクシングがやりたいです。スポンサーに付いて頂けないでしょうか。」
「知るかそんなもん。1人で勝手にせぇよ!」と言われてもおかしくない状況にも関わらず、社長はこの勝手な申し出を快く了承してくださいました。
そして12月。
株式会社イーライフグループ様は私の勤務先からスポンサー様になりました。
春。イーライフグループ様が私を面接で跳ねていたらきっと私は稼ぐ場が無く今頃自己破産でもしていたでしょう。
夏。イーライフグループ様が競争システムを設けていなければ私は1番や売り上げを意識する事もなく、闇雲に現場を渡り歩くただの作業員に成り下がっていたでしょう。
秋。イーライフグループ様が私の申し出を受け入れてくれなければ私は今もこの先も夢に敗れて、挑む事も諦めた自分が一番毛嫌いするタイプの"だせぇ大人"になっていたでしょう。
冬。イーライフグループ様がスポンサーになってくれていなければ今私は笑ってボクシングをしてないでしょう。
応援してくれる人がいるということは当たり前のことなんかじゃありません。
" 時にはそれが励みになり。
時にはそれが自信になり。
時にはそれが重圧になり。
時にはそれが感謝になり。
時にはそれが歓喜となり。
時にはそれが喜びの涙となる。"
29歳で「五輪に出たい!」と1人で勝手にボクシングを始めた私には最初応援してくれる人など誰もいませんでした。
1人で色んな練習場所を渡り歩き、1人で試合会場に行き、1人でボッコボコにぶん殴られて、「頭痛ぇ…。」とボヤきながら1人でとぼとぼ家路に着く。
そんなとこからスタートした私のボクシング。
剣道してた頃は3歩歩けば「頑張って下さい!」と声を掛けてくれる人がいて。指導や意見をくれる大先生達がいて。付き人なんかもいて。"1人"という事なんて意識した事すらなかったのに。
ボクシングの始まりは1人の寂しさと虚しさと悲しさを知ったところからでした。
しかしアマチュアでも次第に「頑張れ!」と言ってくれる人が親や恋人をはじめ1人、2人と増えて行き、ジムの仲間や五輪強化選手の仲間。更には所属企業まで付いてくれ、気が付くと私は1人じゃなくなっていました。
コロナの影響で一度はそんな「頑張れ!」を全て自らの意思と共に失いかけていた中で伸ばしてくれた手。
この気持ちは言葉になんか出来ないです。
デビュー前のプロボクサー。
無戦にも関わらず期待してくれているという事は私はただの「応援」とは受け取っておりません。イチから共闘して下さる「私の一部」という認識です。
これから始まるプロボクサーとしてのストーリーをイーライフ様と共に築いていきます。
私でなければ見せれない"景色"をお見せする為に。
またイチからスタートです。
そして水道屋ストーリー。
こちらはひっそりこっそりやっていたものです。
しかし今回「続けてもいいよ。」との寛大な許しを得ました。
という事でメモに取り溜めていたストーリーを今後も掲載していきます。
今回は私事な内容で申し訳ありません。
次回からは以前同様に現場で実際に経験した心が動いたストーリーを定期的に掲載していこうと思いますのでまたお付き合い頂けますと幸いです。
落ちたり上がったり。泣きじゃくったりブチギレたり。立てなくなる程に爆笑したり。人間臭く泥臭ぇ。
そんな生き方を繰り返しつつ。noteでは現場での思い出話をして私は世界チャンピオンになります。
今後とも宜しくお願いします。
以上!!!!!
プロボクサー
菊池真琴
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