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ありのままの自分を受け入れてみた話。

 たとえばの話ですけどね。スーパーで買ってきた食材を冷蔵庫に入れるという、ごくごく日常的な作業ひとつで、夫婦げんかが勃発することもあると思うんですよ。でもね、そこでけんかにならない秘訣が、「自己承認」だったとはね〜。いや、発見でした。

 私はお世辞にも整理整頓が得意とはいえず、何かをどこかに片付けるにしても、なぜかすっきりと片付けることができず、モノが傾いたりして収納場所にフィットしない。冷蔵庫に食材をしまうときも同じで、どうも雑然とした入れ方になってしまう。かたや夫は、私からみれば異星人としか思えないほどやすやすと効率よく片付けていく。別に夫は私を責めないし、そんなところをフォローするのを楽しんでさえくれているのだけれど、私はといえば、なんだか悔しいわけですよ。できないやつ扱いを受けるのがね。だから、自分なりにきちんと片付けようとする。でもそれは、キレイに片付けたいから、というよりも、夫にできないやつ烙印を押させないため、というネガティブな動機なので結構ストレスで。でね、自分なりにキレイに片付けても夫のレベルには到底かなわないので、結果的に夫が入れ直す、というさらに屈辱的な仕打ちを受けるわけです。ね、イラッとすると思いません?

 まぁ、従来は何かとそういう状況が多かったのですが、先日、ふと非常にラクな気持ちで食材を片付けた自分がおりまして。「あれ?」と思ったわけです。傾いてるけど、まぁいいや、と。なんなら「傾いてるよ〜、雑然と入っちゃってるよ〜。ほら、さすが私やね」くらいの気分で。

 このラクさは何だ?と、夫を相手に話したくなり、話したら「自己承認」に行き着いたというわけです。

 もう少し説明すると、だめなやつ烙印を押されたら、私は夫に見下されるような気が勝手にしてたんですよね。そこはおまえは苦手だからオレに任せて、オレに感謝しなさい、と無言の圧を受けるような。いや、別に夫婦仲悪くないのでちょっと笑われる程度なんですけどね。要するに、私が勝手に張り合ってるわけですよ。今までもいろんなダメダメ烙印は押されていたんですが、ほとんどは私が心地よく受け入れていたみたいです、振り返ってみると。だって、受け入れたら、よしよし、しょうがないな、って何でも引き受けてもらえるんだから、助かりますもんね。ただ、受け入れてない烙印もいくつかあって、それは「私だってやればできるんだ!」とか「そこそこできてるんだから認めてよ!」とか「そんな細かいことで上から目線で言われること自体あほらしい!」って感じているポイントだったんですよね。冷蔵庫に食材を上手にしまう、というのも、どっちかというと受け入れてないほうでした。

 ラクな気持ちで食材を片付けられたとき、私は烙印を受け入れた、ともいえるかもしれません。ただ、“烙印”というと言葉はきついですが、そういうのは相手の視点でしかない。相手が自分に対して行う位置づけです。あるいは、ときには相手が行ってさえいない位置づけを、勝手に「あの人は私をそう見ている」と思い込んでいるだけだったりもします。実は多くの事柄は、“勝手な思い込み”というフィルターを通して見えているんですよね、私たちって。そのフィルターは実に多岐にわたり、歳を重ねるほどに幅広く、そして強固なものになっていくんです。人生の中でたくさんつくってしまったフィルターを外す、というのもコーチングのセッションで得られる大切な気づきのひとつです。

 しかし“思い込みフィルター”の話をしだすとまた長くなるので、ここは「自己承認」を主題に。

 食材を上手に片付ける、という作業は、「私だってやればできる」と感じているポイントだったわけですね。ただ、あまり得意ではないし、やるのに時間がかかるから好きじゃない。その作業を、得意じゃないからまぁこれでいいや、と気楽にできたとき、私は、“できない”あるいは“やらない”自分を受け入れた。そして、(もしかしたら勝手に思い込んでいるだけかもしれない)だめなやつ烙印を押されることも、いったん受け入れたのです。よく言われるところの、「ありのままの自分を受け入れる」ことができたんですね。

 アドラー心理学ですよね、ありのままの自分を受け入れるって。でもね、意味はわかるんですけど、やり方とか実感とか、なかなか難しい。そりゃそうですわ、一朝一夕にできたらもっと人生ラクですもん。

 今回の場合、まず、だめなやつ烙印を押される、という思い込みフィルターが先に外れたのかもしれません。コーチングを学び、実践する中で、夫との関係も尖った部分が削り取られるように、徐々に柔軟になってきているのを感じていて、だから「きっとこれはだめなやつ烙印じゃなくて、ういやつと思われるチャームポイントじゃん」と思えた。それはもう、ありのままの自分を受け入れる、最強のサポートですよね。「ありのままの自分を受け入れる」って、受け入れるための土俵を整えることがとても大切です。その大きなファクターが、思い込みフィルターを外す、こと。それも実感レベルでいろいろ感じています。

 で、ありのままの自分を受け入れたら、なに?今までのあの力の入り具合は何だったの?!というくらい、ラクになります。自然と笑顔になります。だから摩擦は起きません。逆に、言いたいことがポンポン言えるようになって、そこには余計な邪推とか嫌味とかがないので、ごくごくニュートラルな会話が進みます。勢い、物事の核心が浮き彫りになり、問題の解決が早くなります。うわ、すごいじゃん!(笑)


 約一年、コーチングを学んできましたが、詰め込んできた知識が自分の行動に反映されるのにも時間がかかります。ほとんどが、なんだかよくわからないけど以前よりうまくコトが回ってる、とか、なんとなく毎日気分のアベレージが高い、とか、「なんとなく」の変化です。

 だから、日々の中で、「あれ?以前よりうまく回っているけどなんでだろう?」と気づいたできるだけ具体的な事柄を、学んだ知識と結びつけてみたいと思っています。自分や身の回りのことを実験台にして、コーチングが機能する仕組みを実感レベルで紐解いてみたい。もともとの自己肯定感があまり高くなかった自分だからこそ、気づくポイントってたくさんあります。そのことをこうしてメモメモして、整理して、確信をもってクライアントに還元していきたい。そう思っています。

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