占い師だって人間

最近、何かとツイてない。

２週間前には突然、原因不明の胃腸炎に。
深夜に突然、５時間ほど吐き、下し続け、バスルームで動けなくなり、寒気と痛みで意識が朦朧とする中、やっとの思いで救急安心センターに電話し、人の声に安心してボロボロ泣きながら救急車を呼んでもらった。
搬送先の病院で点滴をしてもらいなんとか立ち上がれるようになったものの原因不明のまま、なんとか立ち上がれるようになったところで朝焼けの中TAXIで帰宅、その後２日間高熱で寝込んだ。
（そしてその日楽しみにしていた大学時代の友人たちとの集まりに当然参加できなかった）

そして先週、清水の舞台から飛び降りる気持ちで借りた事務所の引越しの日。
本来であれば私がレンタカーを借りてシェアメイトと自分の家を往復し荷物を運ぶ予定だった。
早朝、オープンと同時に入ったレンタカー屋で手続きをしようと財布を開けて、免許証がないことに気が付く。
慌てて家に帰るも当然どこにもない。
最後に見た覚えがあるのは救急車の中、身分証として救急隊員が確認したのが最後。
その後、出した覚えもない、いつ失くしたのかもわからない。

結局どこからも免許証は出て来ず翌日に赤帽を手配して荷物をはこんでもらう羽目になった。
（後から振り返ればあの古い、きつい階段を大きなデスクを持って上がるのは無理だったなとは思うのである意味正解だったけれど）

そして何よりも、ここひとつきほど最近めっきり仕事が落ち着いてしまっている。
先述の通り、本当に思い切って、本当にお腹が痛くなりそうなぐらい不安な中、仕事仲間でもある友人と一緒に事務所を借りた。
つまりは自分の家と同等の賃料をこれから毎月払って行くことになる。
そんな矢先に、だ。
やっっと久々に入ってきた仕事もリスケになり、一瞬、私のせいか？と疑心暗鬼になったりした。（頼むからリスケであってくれ、いつまでも待ってるから）
夏の間の、死に物狂いの忙しさが嘘のように、凪いでる日々にすっかり自信を無くしたり、
隣の芝生は青いとはよく言ったもので、常に仕事に追われる友人を横目にジェラったりしそうになっては自分にとって大事なことはなんなのか、自分に言い聞かせたりして焦燥に駆られている。

まあそんなこんなで、偶然、たまたま、気まぐれに、良くないことが立て続けに起こり、
天気も良くないし、ちょっと気持ちが落ち込んでいた。

気持ちが落ち込んでいる時は、正直何も手に付かない。
創作意欲とか、反骨心に火がつくマイナス感情もあるけれど、
今の「これ」はそれとは違う、ただただ底なしの沼に飲まれていくようなドロドロとした、それでいて名前の付け難い感情である。
こんな状態を抜け出すには「あれしたら？」「これしたら？」という変に具体的なアドバイスよりも、背中を押してくれる好意だったり、根拠のない自信だったり、誰かの圧倒的な熱量に当てられることだったりする。（私の場合は）

ということで今回は
・旅
・お祓い（なんとなく気持ちのリフレッシュになりそう）
・占い（根拠のない背中押し）
でなんとかしたいと思っている。

32にもなると自分の機嫌を自分で取らなきゃいけないことぐらい嫌ってほどわかってる。

ひとまず即効性と、予定の隙間で予約ができたので占いに行ってみることにした。
芸能人が通うような、陶酔するような本格的なところじゃない。
「東京　占い」で出てくるような、有名なところ。
お気軽に入れる、当たる！当たらない！とか、信じる！信じない！とかよりも
なんとなく元気を出してもらうらための、20分4000円ぐらいのところだ。

思いのほかスムーズに予約も取れた。
日曜の夕飯時だというのに街中には人が少ない。
前の試合での活躍で期待の高まるWカップのキックオフが近いからだろう。
私も試合が終わる前までには帰路に着きたい。

席に案内されるなりすぐに始まる。
「今日の相談事は？」
と聞かれ、仕事がうまく行っていないこと、それから恋愛もめっきりすぎてどうしたらいいかわからないということを告げた。

早速、名前と、生年月日で色々と見てくれる。
多分、「四柱推命」ってやつ。

「仕事、向いてるよ〜！天職よ！」
「え〜絶好調よ〜？６月にフリーランス？大正解よ〜！いい時期！」
「活躍していく星よ！お金の管理が少し苦手ね〜その辺は誰かに任せたほうがいいかも〜」

知ってる、知ってるんだ、なぜなら1年ぐらい前にも、別の占い師に、おんなじこと言われてるから。
つくづく四柱推命や手相とか、占いの多くって意外としっかり統計学？勉学によるものなんだなと思ったりする。

でも違うんだ！！！じゃあなんで今こんなに不調なのか！！どうしたらいいんだ！！それが知りたい！！

タロットを何枚かクルクルとして、いかにこれから先、運気がいいかを教えてくれる。
「打開していくにはそうね、、、なんだか女の人ならではの感性。。。とか。。。？大事かも？？あとは割と感情が穏やかそうな女性がキーマンって出てるかも？」

女の人ならではの感性って、、、なんだ、、、？
そして穏やかな女性。。。。？
これを読んでる知人全てに誤解を与えたくないが彼女が言うような特徴の女性がまっっっったく思いあたらない。

そんな感じでタイマーが鳴る。
「でもとにかく！すごく順調よ〜〜〜！自信持って！」

　延長の有無を聞かれることもなく
「よかったわ！今日のサッカーも勝てそうな気がする！」
「え、そんなもんですか？」
「そうよ〜なんか運気のいい人見たあとだと私も気持ちがいいわ！」

そうかなあ、なんだか新しい情報もなく、こんなにスッキリしない気持ちのままなことも珍しいなあと思いながら、
帰りのエレベーターに乗り込む。

…てか、サッカー見たかっただけじゃね、、、？
私の予約が18:40からの20分。
キックオフは19:10。

まだ恋愛の話１mmも聞いてなくね？？
延長でもよかったんじゃない？
なんなら占い師さんの自己紹介もなかったくない？

サッカー見たかっただけじゃね？！？！？！

確信はないけどなんだかモヤモヤしながら帰りの電車に乗り込む。
「まあでもこのカードが出てるってことは自分が動きさえすれば、状況は打開するわよ！」
と言う、もはや占いでもなんでもない、そら、そうすよね、と言うアドバイスだけが頭の中を巡っている。

今週は営業WEEKにしよう。それから手をつけかけてた自主制作も進めよう。
アンタまだ、恥とか外聞とか気にするような立場じゃないぜ。

その日のサッカーはしっかり日本代表が負けた。