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【今年は2月2日】ちょっと特別な2021年の節分“豆”知識

こんにちは、基弘会編集部 あいたです。
いきなりですが、今日はなんの日かご存知ですか?
そう、節分です。豆をまき、悪いものを追い出し福を呼び込む日ですね。

節分が2月2日になるのは実に124年ぶりで、ニュースでも騒がれているので耳にした人もいると思います。


暦の上の行事について、これまであまり意識をして生きてこなかったのですが、基弘会でお仕事をするようになってから西と東の文化の違いにカルチャーショックをうけることが多くなり、次第に興味が湧いてきました。
(先月、くらしのふふふでもお雑煮についての記事をアップしています。)

そこで、今回は節分について掘り下げてみました。みなさんもぜひ自分の知らない節分の一面を発見してみてください!

▼節分ってなに?

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節分とはなにか?の前に、そもそも暦にある「立春」や「啓蟄」などの意味を知っていますか?
これらは古代中国で農業の目安として使われていた「二十四節気」という暦が日本に伝わったものです。

「節分」自体はこの二十四節気を補足する「雑節」といわれるもので、季節の始まりの日である立春・立夏・立秋・立冬それぞれの前日を指す言葉です。
つまり節分は季節の変わり目の日なんですね。
となると、立春の前日以外も節分が3つあるはずですが、いまも節分という名前で行事が行われるのは2月のみです。これは昔の人たちにとって春の始まりが一年の始まりであり、その前の日にあたる節分は大晦日と等しく重要視されていたことが関係しているようです。

冒頭に「豆をまき、悪いものを追い出し福を呼び込む日」と節分を説明しましたが、それは季節の変わり目には邪気が生じると古くから信じられていたことに由来します。その邪気(鬼)を祓う行事として最も古い風習は平安時代、宮中行事として行っていた「追儺(ついな・おにやらい)」で、中国から伝わったとされています。

▼地方でこんなに変わる!?「鬼は外、福は内」

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節分といえば、家の鬼を追い出し福を呼び込む掛け声ですね。メジャーなのは豆まきの歌の歌詞にもある「鬼は外、福は内!」ですが、地域によっては独自の掛け声があるんです!
理由とともに、いくつかご紹介しましょう。

【福は内!鬼も内!】レア度★★☆☆☆
============全国各所
領主の苗字に「鬼」が入っていた地域や、苗字に「鬼」が入っている人、鬼を祀っている社寺と理由は様々ですが、「鬼も内(鬼は内)」と言う地域が全国各所に点在しているようです。

【福は外!鬼は内!】レア度★★★☆☆
============神奈川県川崎市(法隆山教覚院千蔵寺)
福は外なの!?とびっくりしてしまう掛け声の千蔵寺。
ご本尊(宗教の信仰対象物となる仏像)が「厄神鬼王」で、鬼を祀ったお寺です。
節分で追い出された各所の鬼を招き入れ、読経により改心させるとのこと。

【鬼、外!】レア度★★★☆☆
============福島県二本松市
この土地を治めるお殿様の氏が「丹羽」様で、「お“にわ”そと」→お丹羽外と聞こえることから「は(わ)」を除いた「鬼、外!」が定着したそうです。

【鬼の目ん玉ぶっ潰せ!】レア度★★☆☆☆
============東北地方ほか各地(東北地方でも言わないところもあります)
これは東北地方の諸処で使われることがあるそうです。
豆を鬼の目にあて、退治するという豆まきのルーツからうかがえる掛け声ですが、なかなか物騒なので数は減ってきているのかもしれません。(クチコミの中でも祖父や年配者が言っていたという情報が多い)


【ごもっともさま!】レア度★★★★☆
============埼玉県秩父市(三峯神社)
社殿で豆まき神事が行われ、裃姿の年男が三方にのせた福枡の豆をまきながら「福は内」と唱え、後にひかえた添人が大声で「ごもっともさま!」と叫びつつ、巨大なごもっとも様(※)を前上方に突き出します。
(※)ごもっとも様とは、長さ1メートル余の檜のすりこぎ棒型のもので、その頭に注連縄をまき、根もとには   蜜柑二個をさげた象徴的なものです。
詳しくはこちらをどうぞ!(http://www.mitsuminejinja.or.jp/saiten/

番外編【豆まきをしなくてもいい苗字?】
============全国のワタナベさん
掛け声とは違いますが、ワタナベさんは豆まきをしなくてもいいという情報が。
平安時代に渡辺綱(渡辺氏の祖とされる)が日本三代妖怪に数えられる酒吞童子という鬼を退治したり、京都の一条戻橋の上で鬼の腕を切り落とした逸話から、鬼が「ワタナベ」姓をおそれているため、ワタナベさんは豆まきをしなくてもよいということらしいんです!

▼あなたは大豆派?落花生派?

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次は掛け声に合わせてまく「豆」。
芽が出ないようにと炒った大豆を使うのが全国的な通例ですが、落花生をまく地域もあるんですよ!
ちなみに複数回答OKのアンケートではこのような結果に。

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at home VOX 調べ(2014年)

やはり圧倒的に大豆の回答が多いですね!
しかしここで気になるのが3番目に多い「小豆」。正直、節分に小豆という組み合わせは初耳でした!
ただ「小豆」は魔除けになると古来より重んじられていて、鬼や邪気を祓うという使い道としてはもっともなんですよね。
気になったので調べてみると、どうやら当初豆まきで使っていた豆は小豆だったという説も見つかりました。なんでも、室町時代ごろ高価で貴重なものだった小豆の代わりに大豆が使われ始めたそうです。
少数派ですが、小豆派は正統な節分文化の継承者なのかもしれませんね!

一方多数派、大豆・落花生の全国の豆まき分布図とそのうちの落花生派が多い地域での割合を表にしたデータがこちらです。

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at home VOX 調べ(2014年)

北海道・東北の落花生率に驚く方も多いでしょう。しかしご覧の通り、東北にも例外があります(山形だけ大豆が多い)。
山形は某豆菓子メーカーの本社地ということもあり、豆派も落花生派に負けず多いようなのです。私も大学時代を山形で過ごしましたが、確かに節分近くになるとスーパーにはで●六製の鬼のお面と豆の特設スペースができていた覚えがあります。(近くに落花生もそれなりの量売られていましたが)

ちなみに地元の福島(郡山市)では落花生の売り場面積がやや優勢で、我が家では落花生を使い学校の豆まき行事では大豆を使っていました。周囲も家庭によりけりで、表のパーセンテージに近い感覚があります。
そして今住んでいる宮城(仙台市)まで北上すると落花生度が一気にあがり、周囲に聞いても豆まきをするときは落花生と答える人がほとんどでした。

東北を中心に普及が進んだ落花生ですが、そもそも落花生が日本で栽培されるようになったのは明治に入ってから。豆まきの文化は室町時代頃に定着した説があり、落花生が新しい風習なのは確かです。
豆まきに使った後でも殻をむいて食べられることや、一個が大きく後片付けがしやすいことから普及した説が有力です。そのほかに雪の中からみつけやすいという理由もあるようで、東北以北に落花生派が多いのも納得できます。
九州の2県はというと、落花生の生産量が多かったり、雪は降らないけれど火山灰が降るから衛生面を考えてという理由が推測されています。
便利さから落花生派が増えている傾向があるので、今後のパワーバランスに注目です。

▼恵方巻きはいつから食べるようになったの?

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節分について色々とリサーチしていると、「恵方巻きなんて昔はなかった」という声がちらほら聞こえました。
七福神にあやかった7つの食材を巻いた太巻きを、恵方(年神様がいるとされる方角)を向いて無言で食べることで福を呼び込むとされています。(笑いながら食べたり、目をつぶって食べるところもあるらしいです)

恵方巻きの起源を調べていくと、諸説ありますが大阪を発祥の地としている説が多いようです。
古いものでは江戸時代から大阪の一部で食べていた、という説もありました!
しかし発祥の頃に「恵方巻き」という名前はなく、「丸かぶり寿司」や「幸運巻寿司」といったネーミングで、「恵方巻き」という名前は1989年にセブンイレブンの社員がつけ、2000年代に入って急速に知名度が上がったとされています。
ただ、恵方巻きをビジネスチャンスにしようとしたのはセブンイレブンが最初ではなく、戦後から大阪などのお寿司屋さんや海苔屋さんなどで販売促進の広告をうったりしたようなのですが、どれもブームにはならなかったようです。
さすが大手コンビニ!と言いたいところですが、これはコンビニの力だけではなく世帯の変化も影響を与えているかもしれません。サザエさんに見るような大家族が減り、単身世帯や高齢の世帯が増えたことから豆まきはしないという家庭も多いのではないでしょうか。そんな中で買って食べるだけの恵方巻きの手軽さが消費者にうけているのかもしれないですね。

この恵方巻き文化はとどまることを知らず、スイーツ業界までがロールケーキを恵方巻きに模したりと、市場はまだ広がりを見せています。商売が絡むと本当になんでもありですね(笑)。

▼まとめ

いかがでしたでしょうか!
みなさんも自分は普通だと思っていた風習が実はその地域だけの特別ルールだったりするかもしれませんよ!

かくいう私も今回、住んでいる地域以外の風習は初耳のことばかりで、調べていても新鮮でとても面白かったです。イベント商戦にのっかるだけではなく、暦の本来の意味を知れば、さらに行事が楽しくなるかもしれませんね。


text by あいた

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