認知症と監督責任と賠償責任

認知症患者のJR事故に関する裁判で最高裁の判決が下され,家族側の逆転勝訴となった.

http://www.asahi.com/articles/ASJ2X0VW5J2WUTIL028.html

ニュースを見たとき良かったと思った.何故なら家族側は十分に監督責任を全うしているという印象を持っていたからだ.今回妻が寝ているうちに男性が外出してしまったとのことであったが,自宅介護で昼寝することが過失とするのは行き過ぎている・徘徊対策として衣服類に連絡先を縫い付け対策を行っている,という点から監督責任を果たしていると考えていた.なので家族側の勝訴に安心した.しかし,判決文を見ると監督責任は無いから賠償責任は無いとしている.ここはしっくりきていないし,踏み込み過ぎた判決文だと感じた.自宅介護をするならば監督責任は家族にあるはずであろう.しかし,今回の件では家族は十分に監督責任を果たしており賠償責任は発生しない,というのが私の肌感覚だ.

一方で今回JR東海には何の落ち度も無いのに損害が出ている状態であるのもすっきりしない.損害はどうにか補填する必要があるのでは無いだろうか.私は保険という形でこの間埋めをできないかと考える.認知症患者の徘徊にともなう特化した保険を作り,保険に加入することで家族が監督責任を果たしていることとし,保険金以上の賠償責任は請求されない,という形はどうであろう.この辺りがこの件の落としどころではないだろうか.

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