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たっこちゃん、齢ほぼ80歳 #42 ノースリーブス

高齢の母(たっこちゃん)のことをかいています。なかなか上達しないゆるい手描きイラストは笑ってやって下さい。

ノースリーブスっていっても、AKBのユニットのことじゃない。洋服のはなし。

しょっちゅう書いているけどたっこちゃんは服を手放せない。私からすれば、衣装ケースやタンスの引き出しに数十年も入れっぱなしの普段着は捨ててもいいだろうって思うんだが。

リサイクルショップに持ち込むなんてもってのほか。それなら捨てた方がマシだそうで、矛盾しまくり意味がわかりません。

大量の着ない着られない服を一着づつ見直して、ただとってあるだけの服と向き合って欲しいんだが、このての話になるととたんに不機嫌になるから毎度毎度私が折れて黙る。

家が広ければ放っておいてもいいんだがそうではなく、地震も心配だし、大きな重いタンスをせめてひとつ処分したいのが私。

「大丈夫やて。活断層から離れてる。」
「だいたい80年生きてたらこのくらい服があって当たり前」
ってのがたっこちゃん。

シミのついた、あるいは二の腕がピチピチで入らないブラウスやシャツ。これなら捨ててくれるだろうと、頃合いを見て尋ねても「着るねん」。

袖を切り取られてチクチク手縫いで仕上げをされたノースリーブス。

ノースリーブ姿はあまりにみっともなく、外に出られないのは本人もわかっている。
「上になにか着て白い襟を出すねん」
とか言ってるが、実際に重ね着すると
「もごもごする」
と言ってすぐに脱いでしまう。

行き場を失ったノースリーブスは、いつくるかもわからないスポットライトを浴びるその瞬間を夢見ながら、防虫剤の香りに包まれて眠っている。





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