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帰国子女中学受験の世界(概観)


2023年度帰国生中学入試を終えた息子の3年間にわたる帰国生試験受験対策の集大成として、帰国子女中学受験の世界について集めた情報や分析をまとめました。

帰国子女はどれくらいいて、そのうちどれくらいが帰国生として中学入試を受験するのか。その中で、どれくらいの層がいわゆる帰国生人気校10校に進学できるのか。英検とTOEFLは必要か、メリットは何か。2024年度帰国生入試をめぐる動き。帰国生入試の受験パターンと戦略。塾選びはどうすればいいか。帰国子女アカデミーのメリット、デメリットなどについてまとめております。

帰国子女受験を検討中のご家庭や、すでに準備中のご家庭のお役に立てば幸いです。

まず概観をつかみたいとおもいます。そもそも帰国子女とは何か、どれくらいいるのか、どんな学校が人気なのか、そして、どれくらいの帰国子女がこれら人気校に行けるのかに焦点を当てたいと思います。

主な対象は、東京を中心とした首都圏における帰国子女の中学受験です。
数値は直近実施された2023年度中学入試を想定して推定しています。

帰国子女とは

両親など保護者の海外赴任などを理由、海外に一年を超える期間居住したのち帰国した子女です。

帰国子女はどれくらいいるのかという疑問がまず浮かびます。
競争相手がどれくらいいるかを把握し、自分の立ち位置がわからないと戦略をたてられません。

文部科学省が令和4年度5月1日時点で実施した学校調査によると、海外勤務者等の児童で、引き続き1年を超える期間海外に滞在し、令和3年度中(2021年4月1日から2022年3月31日)に帰国した児童数は全国で6,261名。

うち東京都が1,604名、神奈川県が825名、千葉県が483名、埼玉県が283名と、一都三県で3,195名、実に半分(51%)を占める。

令和3年度中に帰国した児童数トップ10の都道府県
1 東京都  1,604
2 神奈川県 825
3 愛知県  817
4 千葉県  483
5 大阪府  315
6 埼玉県  283
7 兵庫県  259
8 茨城県  183
9 静岡県  174
10京都府    154
全国合計 6,261

東京を中心に帰国子女の中学受験が盛んな背景はここにある。

一都三県について学年別にみると、1学年を除き、各学年度で500名から650名の児童が帰国している。

    東京 神奈川 千葉 埼玉 合計
6学年 292  161  78  47  578
5学年 293  127  76  47  543
4学年 331  170  94  54  649
3学年 301  151  77  53  582
2学年 275  136  84  29  524
1学年 112    80  74    3  274

では、帰国子女は578名だけかというと、そうではありません。
上記統計には前年度中に帰国した児童数しか含まれません。2023年度入試の受験学年に該当する6学年についてみると、令和3年度中に帰国した児童の数が578名の他に、令和4年度中に帰国した児童数は不明です。

あくまで想像だが、600名前後が帰国していると推定してよいだろう。

つまり、海外滞在1年以上かつ帰国二年以内の条件をみたす児童は約1,200名と推定される。

また、帰国3年以内の条件となれば、さらに600名追加され約1,800名が対象となりうる。

実際、多くの中学校は海外滞在1年以上、帰国3年以内を基準としているので、1,800名はというのは現実的な数字だとみていい。

さらに、学校によっては応相談で多少の基準未達であっても帰国生として受験を認めるケースも存在する。

また、広尾学園・広尾学園小石川・聖光学院(2023年度から)など国内インターナショナルスクール在学生に門戸を開く学校もいくつかある。

一方、海外滞在2年以上とする学校もあり、帰国生・国際生の資格認定は学校によりさまざまです。また、方針が変わることもあり得るので注意が必要だ。

以上を踏まえると、ざっくり2,000名が帰国生・国際生の資格認定の対象となりうることがわかります。

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