引きこもり院長を卒業した
この4〜5年、診療からフェイドアウトしながら、外に出て勉強したり、読書をしたりしてきた
マネジメントが上手くいかないので、何とかしたかったのだ
セミナーや読書は、自分を高めることにつながりそうだし、何かいいことをしている気になれる
だから、診療から離れてでもやるべきことだと正当化した
この下り、これまでに何度も書いてきたが、今回は違う切り口から書いてみた
やっと、本質が見えた
現場から離れようとした本当の理由は、現場からの「逃避」だった
現場にいるスタッフたちに自分から関わることが怖かったのだ
スタッフの輪に入りたいのだけれど、入れててもらえなかったらどうしよう。。。という不安があった
「登校拒否」「引きこもり」のようなものだ
3年くらい前までは、病院をでかくすることで頭がいっぱいだった
中毒のような状態で、周りが見えておらず、正気ではなかったと今は思う
来院患者数を増やすためにマーケティングを学び、人材の採用と定着のためにマネジメントを学ぶ必要があった
学ぶためには、診療業務を削らざるを得ないと思っていた
時間が足りないから、診療が重荷になっていた
でも、その時すでに、スタッフに自分から関わることから逃げようと思っていることを何となく気付いていた気もする
そのことを認めたくなかったし、まだ認められなかったのだろう
病院をでかくする
そのためには、スタッフの頭数が必要だ
だから、この病院で働きたいと思ってもらうこと、辞めたくないと思ってもらうことが病院の存在目的になってしまっていたのだ
開業当初から大切にしてきたことよりも、スタッフを不快にさせないことを優先してしまっていた
僕のスタッフに対する振る舞いは八方美人で、自由や自発性を重んじるという大義名分の元、ただ放任して甘やかしていただけだった
そんなトップの振る舞いに甘え、僕や幹部スタッフのことをナメるようになったスタッフもいる
そういうスタッフ達 VS 僕が育てた古株スタッフ という構図が出来て、スタッフ間に溝ができた
すべて、自分が作り出したものなのに、そんなチームの状態がすごく嫌で、マネジメント手法を駆使して何とかしようと色々学び実践したけど、どうにもできなかった
自分からスタッフに関わることが怖かったことに拍車がかかり、そこから逃げたしたいたくなった
2年半くらい前、ようやく病院の拡大路線が問題の根底にあることに気付き、路線変更することを決めた
その後、少しずつ自分の振る舞いが変わっていく
それに伴い、多くのスタッフが離脱していった
病院をでかくしなくていいので、スタッフに対して気を遣い過ぎることがなくなり、幹部メンバー以外のスタッフに対して無関心になっていったように思う
主には、僕が関わりにくいと感じていたスタッフが離脱していった
居心地がいいチームになったはずなのに、僕は2021年1月から完全に診療から離れた
古株の幹部メンバーが成長したので、彼らに現場を任せると正当化した
実際、ほとんどのことは彼らに任せておけば大丈夫だった
でも、難しい課題もある
手を焼くスタッフが減ったけど、まだ人対人の問題は絶えない
そんな状況に、やっぱりストレスを感じ、また逃げようとしている自分がいた
病院を幹部メンバーに任せて、自分は別の事業を始めようとしていた
本気で農園を開業しようと考えて
でも、流石に今すぐ農園を開業することは思い留まった
農業は好きだけど、仕事ではなく、趣味だと考えられるようになり、もう一度、チームに向き合おうと思えるようになっていた
ガーデン動物病院のpurposeを探求するという取り組みが、もう一度チームに向き合おうと思え流ようになったきっかけの一つだ
専門家のファシリテーションの元、古株メンバーが集まって、purposeを探求した
頭で考えるのではなく、各メンバーが病院の声をに耳を傾けるような、ちょっとスピリチュアルなアプローチだった
「スタッフが心身共にいい状態で働けるように、チームの体制を整える」
「既存患者のことを大切にする」
というメッセージを受けとることができた
また、探究するプロセスの中で、幹部メンバーと色々なことを話し、このメンバーを大切に思う自分の気持ちを再確認できた
病院拡大の中毒になる前の古き良きガーデン動物病院、そのころの自分を思い出すこともできた
そして、僕は動かされた
purposeの探求については、前回の記事に書いたので参照してほしい
あるスタッフに辞めてもらうことを決意し、その旨をすぐに伝えた
結果、人員不足は深刻になり、今の診療体制を維持することが難しくなっていった
うちの病院が大切にしてきた「いつでも診る」という方針、年中無休と深夜12時までの夜間救急を手放すことも決めた
毎週火曜日を休診日として、夜間診療を大幅に縮小することで、スタッフのシフトをゆとりあるものに変更した
「規模拡大路線」を手放せたけれど、次は「年中無休と夜間救急を守ること」に僕は縛られていたのだ
新しい方針をことばにして掲げるのではなく、有言実行によって示すことにしたのだ
診療を縮小することで、売上ダウンは避けられない
だから、人員不足の状況にあっても、なかなか診療の縮小に踏み切れなかった
そういう決断を昨年末にして、今年1月からは新体制での診療が始まった
今まで逃げてきたことに向き合い、今まで出来なかった決断をし、実行出来たことによって、色々な感情や思いが湧き上がってきた
自己信頼を取り戻すというか、これまでの自分を超えるというか、何とも言えない、晴れやかさを感じた
そんなこんなで、2月から週2日だけ診療に復帰することにした
人手不足だから、助っ人として、ということもある
「嫌だけど、仕方なく」という感じではない
今のメンバーなら安心して関わることができるというもあるけど、チームの面子の問題だけではない
自分の内面に変化が起こり、内発的な動機に動かされたのだ
自分からスタッフに関わりたいという感覚がある
本当に不思議だ
そして、2月に入り、2回診療に出た
診療に出てみて、「楽しい」と感じた
たぶん、「ずっと前からこれが欲しかったんだ」という感覚だ
義務感からではなく、出勤メンバー一人一人に声をかけたくなり、仕事の合間に多くのスタッフと短い会話を交わした
そんなこと、「普通やん?」と思われるだろう
でも、診療から抜ける前の1〜2年は、少ないなりに診療をするために現場には出ていたものの、用が済んだら、逃げるように院長室に戻っていたのだ
たぶん、あいさつはしていたけど、スタッフへの関わりは必要最小限にとどめていたと思う
スタッフに気を遣い過ぎてしんどかったのだ
その頃は、早く診療から完全に抜けたいと思っていて、2021年1月から本当に診療を全て手放したのだ
まさに、「登校拒否」「引きこもり」だった
そんな時期を過ごしてきたのだが、ようやく引きこもりをやめて、再び学校に行ってみよう、現場復帰しようと思えるようになったというお話だ
結局、スタッフマネジメントの問題ではなく、自分のスタッフへの関わりの問題であり、自分自身の在り方の問題だったのだ
振り返えり、このように文字にしてみて、読み返してみると、ちょっと大袈裟に書いてしまったかもしれないが、「辛かったなぁ」と思う
動物病院の院長仲間達から、チーム作り、人材マネジメントの相談を受けることが増えてきた
それなりに大きな動物病院を作ったという実績と、引きこもっている時に学んだこと、実体験を通して気づいたことなどをシェアしたことがきっかけだろう
引きこもっていた時に、色々と勉強して、僕には「自分から人に関わっても、どうせ受け入れてもらえない 分かってもらえない」という思い込みがあるということが分かった
要するに、自分のアクションによって相手がとるリアクションがすごく気になるのだ
相手に不快そうにされることがすごく痛いのだ
なので、「辞めろ」と伝えることは痛くて痛くて死にそうに辛かった
その痛みを味わいたくないので、言いにくいことを言うことから逃げてきたし、スタッフに対して甘い振る舞いをしてきたのだ
また、病院の規模拡大、年中無休と夜間救急を死守すること、いずれも回避行動だった
そんな病院を作り、維持することで注目を集めて、自分からは人に関わらなくても良い状況を作り出そうとしていたのだ
向こうから関わってもらえば、自分から関わるというリスクのある行動をとらなくていいからだ
本当に僕が欲しかったものは、大きな病院でも、いつでも診てくれる病院でもなく、自分から人に関わり、つながりを感じることであったり、自分を表現しても大丈夫だと思えることだったのだ
その学びによって自分のことを理解し、ネガティブな感情に振り回されにくくなったということは、引きこもりから抜け出すために大きな力となった
→このアプローチについては、こちらの記事を参照
色々なことを学び、インプットし、自分を高めようとするフェーズが終わった気がする
去年の夏ごろから、理由は分からないけど、ビジネス書を読むことや、学びの場に参加することに抵抗を感じるようになっていった
この半年が次のフェーズへの移行期だったのだろう
診療に復帰することは、その流れを締めくくるイベントなのだと思う
人手不足を補うための診療面の助っ人としてだけではなく、スタッフと関わり、現場を理解し、チームをエンパワーしたい
細々と続けている、動物病院経営者向けの個人セッションも、本腰を入れてやってみたいという気持ちが湧いてきた
今年からは僕がオープンするキャンプ場で、焚き火会を開いて、関わる人たちと語り合い、エンパワーし合いたい
将来、余裕ができたら、他の動物病院のチーム作りのサポートをしたいとも考えている
次のフェーズで色々な体験をしてみて、感じたことをまた書きたいと思う
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