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【読書感想文】測りすぎ

最近、ジェリー・Z・ミュラーさんの測りすぎという本を読みました。知らない人は、まぁ知らない本だと思います。でも、僕のように公共事業関係に従事している人、特にマネージャー以上の人たちは是非読むべき内容と思います。

内容は、タイトルにも表れているように、なんでもかんでも評価し過ぎで良くないという話。分かりやすいところで言うと、人間生まれてから死ぬまで公私ともに評価をされまくっていて、例えば学校ではテストの点数、偏差値、企業に入っても人事評価、各種成果の確認等々、ありとあらゆる場面で測るという行為によって雁字搦めになっている点を鋭く指摘しています。

なるほど。測るという行為自体が人生に沁みついており、その必要性自体に懐疑心を抱きもしなかったのですが、本を読み進めていると以下のような構図が社会の随所に見られるとの指摘があり、ハッと気づかされた感じがしました。

・一番簡単に測定できるものしか測定しない
・成果ではなくインプットを測定する
・標準化によって情報の質を落とす

・上澄みすくいによる改竄

・データを抜いたり、ゆがめたりして数字を改善する

・不正行為

要するに、測るという行為が標準化され作業フローの中に組み込まれているため、評価結果が芳しくない時に偽りを働いてしまう可能性がある点が問題だと。

こういう解釈をされると誰もが一度はハッと思うところがあるのではないでしょうか。

私は仕事で公共事業評価を行うことがありますが、確かにいつも事後評価がつきまとい、様々なデータを用いて効果があったことを示すことがルーティン化しています。何らかの道路や施設をちょいと整備したところで劇的にお金の流れが変わるわけないのに、金額で定量的に示すことが常態化しています。そして、総論としてそぐわない結果が出ると効果が出た部分をトリミングしてその結果を誇張するようなことも。。。

公共事業って、民間企業が行う利益優先の事業とは異なり、直接的に金額に表れないことも多いはずなのに。(例えば、図書館整備の場合、知への要求が満たされたとか。歩道整備の場合、歩きやすくなって外出率向上とかストレス減とか。)

といった感じで、この本は公共事業評価だけでなく、政治、経済、軍事、医療・・・社会構造のあらゆる面から測る行為の怪しさをすっぱ抜いていて、どんな業界の人が読んでも何かしら気づかされると思います。オススメです。

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