一時帰国の思い出

2012年7月、私達母子三人は、ロンドンオリンピック開催間近のヒースロー空港に降り立った。乗り継ぎで日本に一時帰国する為だった。予想はしていたが、空港はピリピリムード。単なる乗り継ぎと言えど荷物検査は容赦ない。私達のすぐ前に並んでいた家族は、「この場でそのベビーフードを毒味しろ」と言われていた。仕方なくお父さんが一口食べる。赤ちゃんに新鮮な食事を、と用意しただろうに。。
とうとう私達の番が来た。緊張が高まる。「万が一の為」と持参していた、抗アレルギー薬のシロップが早速没収される。持ち込み可能な容量を超えていたのに、医者の処方箋が無かった為だ。又検査官の目がキラっと光る。「これは⁉︎」

当時8歳だった息子が大事に抱えていた、爆弾の形のクッション。「BOMB‼︎」一瞬その場が和んだ。笑い声までが聞こえて来た。旅の始まりの忘れられない思い出。