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私が福島に8年間通い続ける理由。

【関係人口コラム】 vol.9

こんにちは。きっかけ食堂@京都の小南理華です。

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(きっかけ食堂メンバーとin気仙沼)

今回、私と東北との出会い、福島に通う理由についてお話しさせていただきます。2013年に初めて東北に行って以来、8年間、毎年福島には足を運び、忘れられない第二のふるさとのような存在です。きっかけ食堂には昨年からメンバーとなり、福島以外の地域にも行くようになり、また新たな東北魅力を感じている今日この頃です。

コロナ渦でなかなか東北との距離は離れてしまいがちですが、こころの距離はいつも変わりません!

福島との出会い

私が東北に初めて行ったのは震災があってから2年後の2013年。

大学の授業の一環で行った場所が福島でした。

東北は、広くて関西からもすごく遠い未知の場所っていうイメージ。テレビで見ていた津波の被害があった場所ではありませんでしたが、道端には汚染された土が土嚢で山積みになって、街の至る所に放射線測定器。空港や駅前、大学の中にまで、なんだか、大変な場所に来てしまったと思いました。

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(放射線の測定器がまちの至るところに。)

福島が抱える問題を感じた

福島市内を車で走っているとフルーツロードという道があり、たまたま道沿いにあった「もも1個500円」という看板。美味しそうだなと思い車を止めて、お店に入りました。

試食してみると、甘くて美味しい桃。「めちゃくちゃ美味しい!」と感動しているとお店の人が「これも食べれるよ。」と丸々の桃を渡してくれました。あ、持って帰ってかな?と思ったら、いやいや「皮ごと食べれるんだよ。」と促され、皮ごと一口!食べるやっぱり美味しいなと笑顔がこぼれました。

桃なんて普段あまり食べないし、食べても缶詰。食べたことのない味だったことが記憶に残っています。

もも味わった後、「震災があって大変ですね。」と話すと

「それは大変だったし、ここにもあちこちに人が逃げ回って。津波は来なかったけど、大変だったんだよ。けれど、もっと大変なことは、福島は他とは違って出荷の制限がある。第一原発から放射線が漏れていて線量値を測って基準値を超えていると出荷できないんだよ。今はクリアしてるけれど、当時は大量に捨てられてしまっていた食材も沢山ある。」

こんな美味しいものが捨てられてしまっていたなんて。

農家さんが一生懸命つくったものなのに、自分たちのせいではないのに、その時私は理不尽だなと思いました。

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(福島の桃は絶品!皆さんも是非食べてみてください!)

そこから福島の食の問題や情報発信など、関西には届かない福島の現状を伝える活動に取り組んだり、放射線に関する勉強会などを行いました。

実際に食品の放射線量を計測する現場を見せてもらったり、周りから見ると、多分変な学生だったと思います・・。

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(よく通っていた果樹園の方。いつも沢山の果物をくれた。)

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(食品の放射線量を測っている様子)


東北に継続的に関わる理由

東北に関わり続けるきっかけになったのは、その後ボランティアなどに携わり、学生団体を立ち上げ、活動をすることになったことでした。事務局長で当時、関西大学の学生だった弘田ともそのときに出会いました。

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(学生の頃のイベント。痩せている事務局長はどこにいるでしょうか?笑)

福島に関わる前、現地の学生や人々は震災ですごく大変な被害を受けて、ダメージを受けている人たちがいると思っていました。

しかし、福島で出会った人たちは私たちと何も変わらない学生で、自分たちの地元を愛し、これからの福島のために何かしたいと真っ直な想いを持っていました。

現地で会ったスパリゾートハワイアンズの館長さんは自分たちも被害に合いながら、困難の中でもお客さんの心配をし「自分は何かできないとこはないかと考え続けている」という言葉に心がうたれました。

被害に合った人たちがこんなに強い想いで頑張っている。関西で暮す私たちが何も知らなかったことが、なんだか恥ずかしくなりました。

そこで、福島のこともっと知りたい、知ろうと強く思いました。

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出身の地域を知らない自分

話は変わりますが、私の出身は奈良県の吉野町という所で、世界遺産もある観光地ですが、過疎が進む、そんなで育ちました。

地元を離れるまで、田舎だし何もないし、良いイメージはありませんでした。けれど地元を離れると、「桜を見に行ったことがあるよ!良い所だよね。」といろんな人から言われて、驚きました。吉野町は何もないと思っていたけれど、外から見ると違うイメージなんだと知りました。

地域の良さって住んでいたら当たり前だけど、少し都会に出るとそれが当たり前ではなくなる。同じ日本でもその差異が面白いなと思いました。

東北で出会った人々は自分の地元を愛し、地域の魅力を知っている。

「福島に来たらここに行って欲しい。あの人に話し聞いたら良いよ。この場所はこういう歴史があって・・」

福島の人と話していると、自分は地元のことをこんな風に話せるだろうか、地元のことは知っているようで全然知らない自分がいました。


地域を知り、自らが地域のキーパーソンになりたい

東北に行くと「人」を紹介されることが多く「この人に会ってみなよ。」と必ずと言ってよいほど各地域にキーパーソンを紹介いただけます。

そのひとに会って話を聞くと、次は「この人と会うといいよ」とまた紹介をしてくれる。数珠つなぎでどんどん地域の人とつながっていくことが面白いなぁと感じました。

東北も自分の地元も過疎が進みや活気がなくなってしまうのが、他人事ではありません。温かい人、おいしいもの、変わらない場所が東北、地元にずっと残り続けてほしいです。

そのために、東北に行って私が沢山繋げてもらったように、自らが住む地域のキーパーソンになって、吉野町に関わってくれる人に地域の人、物、場所を紹介できるようになることが目標です。


きっかけ食堂というで場で福島、東北に関わり続ける

「きっかけ食堂」は食という誰もが関わりやすいテーマで、関西や東京にいても毎月11日になると東北に想いを馳せることができます。

震災から10年を迎える今日までそういった場所があるということが、私にとってもすごくありがたいです。

現地に行かなくても関わり続けることができるのが、きっかけ食堂の魅力。これからも、私自身がきっかけ食堂を通じて東北、福島と関わっていきます。

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(きっかけ食堂@京都の皆さん、引き続きお願いします!)


【関係人口コラムとは】
きっかけ食堂に関わる東北好きの皆さんに、東北と関わり続ける理由についてお聞きします。

コラムを通じて、多くの人が都市から東北、地域に関わることの「楽しさ」や「関わりしろ」を知るきっかけになれればと思います。是非、ご覧ください。

関係人口とは?
「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々をさします。
(総務省関係人口ポータルサイトより引用)


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