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私がADHDの夫と平和に暮らすために心がけていること①


カサンドラ症候群経験者のキッカです。
「経験者」とつけたのは、今、もう私は心療内科から卒業しているから、というだけです。
本当はまだまだ「カサンドラ」の真っただ中なのかもしれませんが、家庭がぐちゃぐちゃだったときより何百万倍も楽に暮らせているので、とりあえずは経験者ということにさせてください。

心療内科にかかった当時は、うつ状態で自死に走りかけたこと数回。外にも出られなくなり、人とも会えなくなり、数か月休職を余儀なくされましたが、おかげさまで今は仕事にも通い、夫とも少々の衝突はありながらもそれなりに暮らしています。

私が行ったステップ① 私と夫の状態を分析したり、客観的にとらえたりする

私が本当にどん底にいたのは2019年の9月でした。寝て起きて食べて、生きていたら花丸だな!と自分で自分を励ましている日々でした。
ただ、私の場合は夫と離婚するならば職場を変わらなければいけなくて、どうするか決断をしなければいけないリミットが12月末と決まっていたので、少しずつ動けるようになってきた10月半ばあたりから、夫と自分について考えるようにしていました。


本当は夫と面と向かって話し合いをしようとするとパニックに陥ったり、少し良くなっていた具合も逆戻り……ということが何回もあったので、自分でできることと言ったら本を読むこと、主治医と話すことくらいしかできなかったというのが正しいのですが。


「カサンドラ症候群」という病気ではないと知る

その中で「カサンドラ症候群」は診断名ではなく、発達障害の配偶者とうまくコミュニケーションが取れないことが原因で鬱や心身の不調をきたす状態のことを言うとお医者さんに言われました。
どれだけの方が私のnoteを読んでらっしゃるかわかりませんが、ネットの海の中にいるとどうも「カサンドラ症候群」という病気だと思ってらっしゃる方が多そうな気がするなあと思っています。実際私もそうでした。

「風邪」と言ってもその症状に「はな風邪」「のど風邪」「発熱」「嘔吐」「腹痛」などがあるのと同様に
「カサンドラ症候群」という状態の中に「うつ」「抑うつ」という症状がある、とイメージするのが一番わかりやすいのかな?と私は思っています。(参考文献:カサンドラのお母さんの悩みを書行けるする本)

自分自身のうつと向き合う

「うつ」に関しても何冊か文献を読みましたが、「うつ」になる人は考え方にこだわりがあるそうです。
夫とのことをどうにかするより、まずは自分自身が回復しなければならないと思ったので、それについても調べたり、考えたりしていました。

うつになった私には

「~すべき」
「~しなければいけない」
「善か悪しかない」
「物事や人のことをすぐに自分のものさしで決めつける」
「物事をすぐに自分のせいにする」
「結論を急ぐ」

などなど、実際、文献についていたチェックリストなどを参考にすると、私自身の考え方も偏りがありました。

例えば、我が家はみんなよく食べるのですが、うつになった当時、育休明けでフルタイムに復帰したばかりだったのにも関わらず


「毎日夕ご飯はお味噌汁などの汁物+メイン+副菜2種」
「野菜は必ず緑黄色野菜+葉物」
「しかし、ほとんどが手作りでなければいけない。お惣菜も生協などの少し手を加えるものでなければいけない」

など自分ルールを決めていて、夫も当然それが当たり前だと思っていました。
しかも、そこに食費の制限とかまで考えていたので、仕事+家事にも頭を働かせ続けなければいけないと言う状態。
その上時々不機嫌な夫に「お前は家事が苦手だ」とまで言われる始末。
私が決めた自分ルールが、私自身の首を絞めていたのでした……。

認知行動療法の本によるとこういった考えは「認知の歪み」というそうです。
もちろん、この「認知の歪み」はADHDである夫にもあるものです。
認知の歪みがある二人が共に暮らしていたら、当然のことですが上手くいくはずもありません。

でも、本当に辛いときは、「私が悪い」なんて考えたくないんですよね…。
だって、うつに追い込まれている原因は間違いなく夫にあるから……。
私も、「自分にも認知の歪みがあるんだな」と思えたのは、半年以上たってからでした。
そして偉そうにこんなことを書いている今も、私は私自身の認知の歪みよりも夫のADHDの特性の方が目につきます。

ただ、「夫に自分の気持ちをわかってもらえないのは、自分の伝え方が悪いからだ!」と決めつけなくてもいいと思います。
私の気持ちが判らない夫はどんな人間なんだろう?と分析してみるのはひとつの方法なんだろうなあと思います。
なぜなら「夫は私の気持ちを絶対にわかってくれない!」という「決めつけ思考」がそこに発生しているかもしれないのです。(実際私はそうでした)

と言うわけで、離婚をしたくない場合のカサンドラという症状は、夫側だけでなく私たち妻側にも「一体私たちがうまくいかないのは何が原因なのか」を考える余地があるのではないかと私は思います。

「配偶者の」発達障害について理解を深める

ADHDがどんな症状か、アスペルガー症候群がどんな症状か、今の時代はググれば判るので私ごときが再度まとめるのは省きますが、本当はみんな何かしら偏りを持っています。
それでも、何とか自分でその偏りを修正しながら生きている……
発達障害の人たちは、その偏りを自分では修正できないので、周りの力を借りなければいけないのだと思います。
視力の悪い人に眼鏡をかけるなとは誰も言いません。
それと同じように、ADHDで物のありかが判りにくい人には、それを固定して一緒に決めたり、アスペルガーで人の気持ちが判らない場合は「今、こんな風に悲しい気持ちでいる。」と感情的でなく細かく伝えることが大切なんだなと感じています。

これはすぐにできるようになることではありませんし、実際私はADHDという診断ではないのに、感情的になってすぐに思ったことを口に出すときがあるので、日々精進、としか言いようがないです。

さて、発達障害とひとくくりに言っても、夫の場合はいろんなことが付随していると感じています。
まず、ADHDに関してはお医者さんから診断が出ていて確定しているのですが、アスペルガーに関しては『傾向がある』というタイプではないかと私は考えています。
夫は普段は人の気持ちが判るんですよね…でも、精神状態によってアスペルガーの傾向が強く出てしまうことがあるように思っています。また、夫の場合はADHDの衝動性は完全に強いので、人の気持ち<衝動性 という状態になったときは完全に相手の事なんか考えず自分の意見を貫き通してしまうこともあります。最近はほとんどないですが。

また、ADHDなど発達障害を持っている人は二次障害としてうつを発症することがよくあるらしく、私がうつのときは夫もうつだったので、うつ患者VSうつ患者の会話は会話にもなっていなかったなあと思います。

マルトリートメント症候群など、他の原因にも目を向ける

発達障害は生まれ持った脳の機能の障害なのですが、
ただ、発達障害に似た状態を作り出す事象が、一つだけあって。
それは、虐待です。

虐待を受けた子どもは、脳にダメージを受けます。
視野が狭くなったり、発達障害と同じような症状が出て来たりするということを発達障害の大家の竹田啓一先生の講演で聞いたことがあります。
実際夫はとても視野が狭くて、物が散らかっていたりすると視点をどこに合わせていいかわからなくて混乱すると言っています。
あと、「●ォーリーを探せ」のような細々したイラストを見るとき、視点が定まらず探しているものが見つけにくそうにしている様子も見たことがあります。


夫の場合は、子どもの頃父親(私から見ると義父)がDVをしていた経緯があるので、持ち得た発達障害の傾向をさらに強めているのではないかと推測しています。
(ちなみに、おそらく義父がアスペルガーなのではないかとも思います。)
発達障害は遺伝する部分も少なからずあるので、いろんなことが我が夫はいろんなことが複合しているのでは?と思うわけです。
これらの症状については本当に近年、専門家の方々が提唱されるようになってきた事柄なので、カサンドラ症候群に悩まれている方は一度調べてみる価値はあるのではないかと思います。
一部では、「愛着障害」という言葉も上がってきています。もう少し私自身も学びを深めたい部分です。


いつ離婚してもおかしくないと思っています。

私は、夫と暮らしている中で家の中で細々と「合理的配慮」を行うよう心がけています。
それは私が職業柄、発達障害について専門的に学んでいる人間だからです。
夫を介して、発達障害を持った人の考えや困り感を学ばせてもらっている部分は少なからずあります。

それって、普通の夫婦関係ではないのかもしれないです。
でも、私はそれでも夫といて楽しいと思っています。

家族で食卓を囲む夕方が、川の字になって眠りに落ちる瞬間が、小さなビニールプールで子どもと共に水遊びをする時間が、私にはこれ以上なく楽しく、愛おしいのです。
楽しい部分を守るためなら、まあ、それが「普通の夫婦」でなくてもいいかな?と思っています。
一度行きつくところまで行ってしまったので、もう「普通」はその時に捨て去ってしまったので。

ただ、世の中すべての妻が発達障害に理解があるわけではないし、発達障害だとしても、被虐待児だったとしても、配偶者のDVや浮気、ギャンブルなどは許してはいけないことだと思います。
だから、離婚した方がいいと思うなら、そうされた方が幸せだと思います。

うつの最中は、私は離婚に抵抗がありました。
でも、今は、離婚する時が来ても仕方ないな、と思っています。
夫も、もし離婚しても仕方ないかもね、と言っています。
ただ、お互いにお互いをしっかりと認め合わずに離婚するのは嫌だと思っているだけで、もしまた私や夫がうつを発症したら、間違いなく離婚します。それは、もう決めています。

ただ、決めているからこそ、日々が楽しめるのかもしれません。

気持ちは浮いたり沈んだり、あっちこっちにゆらゆらします。
それでも、自分で自分の人生が楽しい、と思える方をいつでも選んでいきたいと思っています。


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