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雨の日の漫画クラブ

2月15日(月)

今日は久々に大雨だ。しかし雨でも嬉しいこともある。そこで雨で連想できることを人生のフェーズで考えてみた。学生時代ならば部活の中止。嬉しい。社会人であれば電車遅延、遅刻。嬉しい。

個人的に雨の恩恵を最も受けたのは部活の中止だろうか。運動部でめちゃめちゃ嬉しかった。しかし、小学校時代はそうでもない。なぜなら屋内のクラブに属していたからだ。

僕の小学生時代はモチモチしていて…要はデブだった。あだ名はドラえもんと呼ばれるくらい丸々としていた。しかしドラえもんは大好きな漫画なので、むしろ光栄だった。

そんな僕が小学5年に上がると、クラブ活動が必修科目で加わり、どこかのクラブに所属しなくてはいけなくなった。僕はマンガクラブに入部。理由は先輩に「漫画読めるよ」と耳打ちされたから。

運動クラブなど絶対嫌だったので、格好のクラブだったのだが…

そのクラブは男がいなかった。友だちもみんな運動クラブに散っていった。男1人、その他全員女子という今思えば最高の環境でも、当時は小学生特有の男女意識がある。席順(自由)も僕1人孤立し、女子は冬眠中のてんとう虫のように固まった。

さらに、最悪なことに漫画クラブの特権である「漫画読めるよ」のアレは、児童の持ち寄りらしい。つまり漫画を貸し合うわけなので、男友達がいない僕は新しい漫画を読めない。仮に女子と交換しても少女漫画…(あれもあれで面白いと高校生のとき知った)。そもそも貸してくれない。

その残酷な現実を受け止めて一年間耐えるしかなかった。しかも屋内なので雨が降っても関係なくクラブは活動する。

僕はやる事がなかったので、自分で4コマ漫画を創作していた。その名もトラ型ロボットの「トラえもん」。シマシマ模様のトラえもんが、出来の悪いノビオを助けるという清々しいほどの「パクリ」だが、なかなか面白かった。ちなみに虎ノ門ヒルズの「トラのもん」の容姿は20年前の僕の創作物の真似だと言っても過言ではない。パイオニアは実は僕だ。きっと。

そんなわけで、僕のクラブ生活は過ぎた。2学期になると、先輩が後輩の指導?をすることになり2人1組で創作することになった。その時、聞かされたのだが、実は男1人の僕はクラブ内で相当浮いていたらしく、顧問の先生も心配していたそう。気遣ったのか、僕には6年生の部長があてがわれた。ちなみに6年生も全員女子である。

先輩(名前忘れた…)は、僕の傑作「トラえもん」を見て微妙な顔をした…と思う。しかし反応は「…いいじゃん!面白い!」とまあ適当な評価。「じゃあ、あたし漫画読むから続けて」と僕の創作に太鼓判を押して、自分の世界に浸り出す。

その日は雨が降っていた。すっかり作家気分の僕は、もはや使命感にかられるように「トラえもん」の4コマ漫画を描き続けていた。先輩は外を眺めて「よっしゃー雨だ。漫画読めるー」と積み上がった漫画を読み始める。

「こんな日は漫画読むに限るよね。こんな日に外でクラブとか意味わかんないもん」

初めて先輩とシンパシーを感じたと思った。今思うと、先輩は数年後に世間を席巻する「干物女」の先駆けだったのではないだろうか。

この日から、雨の日の良いことが1つ増えた。雨の日は部屋で漫画を読もう。

今どこで何してるかわからない「先輩」へ。
今日は雨ですね、まだ漫画読んでますか?
僕は「トラえもん」描くのやめてしまいました。名前覚えてなくてごめんなさい😊
でもたまにコタツで漫画読んでると、本当にたまーっに、先輩を思い出します。
ではお元気で。

ちなみに、僕のクラブ活動の評価は「よくできる」の最高点を獲得した🌸

ありがとう、トラえもん✨

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