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20年12月30日(水)「偉大」

正月休み初日である。どこか夢心地のままベッドから出た僕はいまだ頭のどこかで朝のルーティンを巡らせている。壁にかかった丸時計は10時を示していた。原宿の雑貨屋で購入した1,000円ほどの安物だがデザインが気に入っている。僕の家にやってきて早3年が過ぎた。

そんな相棒と時を刻んできた僕は当時から成長したのだろうか。新宿のど真ん中に鎮座する超大手のIT企業を解雇されてから縁あって今の会社に身を置いている。そして決して安定ではないけれど成長の機会もいただいていると思う。後は自分の本分である作家としての大成を果たすのみなのだ。

昨夜、実家の両親がこのコロナ禍にも関わらず車で食糧を持って来てくれた。決して高くはない距離を「ドライブついでよ」と言わんばかりにマスク越しに笑顔を振りまいてくる。その頭髪には確かな老いの象徴を抱えていた。ひと言ふた言を交わして車を発車させていった。僕が安アパートに住んでるばっかりに狭い路地を車で縫うように侵入し、通行人や他の車から不興を買いながらも確かに僕の元まで来てくれたのだ。

年末年始に実家に帰れないからと、十分すぎるほどの食糧を持ってきてくれた。その中には子どもの頃に大好きだったアニメキャラをこさえたクリアファイルまで。僕の年齢はいくつになったと思っているのか…。しかし、ただその気持ちと行動が嬉しかった。愛おしかった。陽気な母も父からの確かな「愛」を感じたのだ。この感謝、恩を報いるために僕がすべきこと。果たすべきことを考えると、自分の不甲斐なさに涙したくなる。

そしてこれを書いている今日。2020年ラスト1日を迎えて今の僕を顧みる。やるべき事は言わずもがななのに…。神から示された道を行くと思いがけない場所に着くという。言っておくが僕は洗礼を受けたクリスチャンではない。しかし、仏教もアラーも似たような教えがきっとあるから良しとしよう。この時間に僕は偉大なる作品をもう1つ書くことにした。

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