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smashing! それぞれがあいのスタイル

夜勤明けでペントハウスの方に帰ったら、ウチの兄さんら二人が半裸で重なり合って爆睡してた。酒入れすぎて事に及ぶ前の未遂かと。上掛けもなしで何してんですか綺麗な兄さんと可愛ゆ兄さんは。風邪引くでしょいくら空調効いてても。そのへんにあったブランケットを掛けようとしたら伊達さんが目を覚ました。

あ帰ってたんかおかえりい、うわ半目ちょいぶすっ…可愛いな伊達さん。だいぶ呑みましたね、そしたら、そんなことないよう微発泡だもん。意味のわからない返しに、ようやく雲母さんもお目覚め。二人で風呂入っちゃってください、ブランケット巻いて一まとめにした二人を風呂に誘導。諸々を洗濯機に放り込み、寝る前に三人分の飯を作る。

夜勤明けってのはなんだろ、普段より動ける。てかほぼ徹夜明けだからギアが入ったままなんだろうな。だから家事も難なく片付けられる。今日は流石に仕込みする時間はないんで、ミールキットで冷麺。茹でて流水で冷やしてキットに付いてるスープ入れてやれば出来上がる。そんですごく美味いんだから天才だ。あとは豚バラの固まり、周りをよく焼いてスライスしてもう一回塩胡椒で炒めたのを添える。キムチは午前中だから出さないでおくか。オレはかまわず食べるけど。

キャッキャウフフな声とともに、あの二人が風呂から出てきた。朝からサムギョプサル嬉しいん、伊達さんはオレが出す肉料理が好きらしい。二人からのハグとおはようのキスを受け、トング片手に右往左往。設楽ヒゲが増えてんね、伊達さんが嬉しそうに頬ずりしてくる。夜勤明けなのに無理させましたね、ちょっとすまなそうにしてる雲母さん。問題ありません、オレはその手の甲に軽いキスを落とす。

キッチンのカウンターで並んで遅い朝食。いいねファストフードぽいねこれ。冷麺は啜ってこそ美味いんだけど、雲母さんは麺が上手く啜れないからいつも悔しそうだ。僕もいつかお二人のように麺を華麗に啜れるようになりたいんです。そんな、なんとか王になるわけじゃないんだから。

雲母さんの横で、サムギョプサルで冷麺を挟み大胆に食ってる伊達さんは、上品にもワイルドにも自在に通ずる人。ああ、食事のスタイルてのはひょっとして、愛し方、愛され方にも通じるんだろうか、なんて、オレは啜った冷麺でうっかり咽せながら、そんなことを思っていた。



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