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smashing! いきなたんぷれをこころに

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。彼らの友人、結城卓。若い庭師小越優羽とは同性で恋人同士。

俺はクリスマスイブが誕生日。今年も鬼丸やちぃたん、伊達くんたちが祝ってくれるらしくて、ちゃんと招待状もメールで来て、イブの夕方から優羽と一緒に鬼丸の家に行く。事前に聞いたご馳走が凄そうなんで、今から楽しみすぎて前乗りしそうで怖い。

冬至には柚子を沢山お風呂に入れてくれる、そんな銭湯・ウミノ湯。食堂で昼間っからビール出してもらって、店主の羽海野マミたまとその彼氏の九十九リウ先生と一緒に呑み会に。二人はなんだかんだで仕事中だから呑むのは俺だけなんだけど、付き合いが良くてさ、どっちかが残ってずっと話聞いてくれるんだよね。

二人とも渋くて背高くてイケメンで、俺の優羽には負けるけど、紳士的で優しい。仲間内で俺より上はこのリウ先生だけだけど、全然年上ぽくない。てか年齢わかんない。先生はさ酔うとずっと謎の言葉と英語で何か喋ってて、マミたまが言うには多分フィンランド語じゃないだろうかと。多国籍な国だからってなんで北欧なんだろね、そしたら仲良しの同僚さんがそうだって。

たとえ何語であっても、明るい話か辛い愚痴かは何となく掴めるものだと俺は思うんだ。俺やマミたまにナントカ語でブツブツ言ってる時、すごいデレた笑顔で。オレソポ、オレソポ、としか聞き取れない。
マミたまがこっそり教えてくれたのは、オレットソポ。Olet söpö 可愛い。そう言ってるんだって。ただ、リウ先生がそのへんをよく覚えてないみたいなんだよね。えー俺なんか言ってたあ?どっかの伊達くんみたいにヘラッと笑って。こういう顔いいなあ、リウ先生。可愛い言われ慣れてる俺だけど、このオレソポは俺にはちょっと勿体ないな、そう言ったら。

せっかくだから貰っとけばいい、結城の誕生日明後日だから。

いつも仏頂面のマミたまが優しく言ってくれて、なんだろ俺さ、毎年いろんなとこのロックが外れてく気がする。可愛い、それをすっと心に沁み渡らせる、そんな受け取り方も、ありなんだな。


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