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Smashing! 佐久間イヌネコ病院

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佐久間鬼丸獣医師(受)と喜多村千弦動物看護士(攻)とその友人達のお話。 どうぞお楽しみ下さい!
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2024年2月の記事一覧

smashing! みどりはむ そのすがたに

大学付属動物病院獣医師・設楽泰司。週一で佐久間イヌネコ病院に出向している理学療法士・伊達雅宗は彼の先輩で恋人だ。 小さい頃から宇宙や恐竜が好きだった。いつか恐竜の怪我や病気を直せる人になりたいと本気で思っていた。大きくなるにつれ、恐竜はもうこの世に存在しない生き物だと知った。 昔、確か小学生の頃。恐竜なんてもういないよって友達に笑われたんだ、ついぞ相談なんて持ちかけたことのなかった一番上の兄にそう零した。10才上の兄は、俺たちは皆恐竜の子孫なんだぞ、馬鹿にすることなくオレ

smashing! あいあふれるあいのあじ

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。 毎年、ウチではバレンタインよりも重きを置かれるのは前日のバレンタインイヴ。そう、俺、喜多村千弦の生誕日だからだ。仰々しくなったが皆さんごきげんようだ。 新年から、もしくは年末から徐々に増え続ける差し入れはほぼチョコレート。駄菓子から高級なのまでバラエティに富んでいる。一緒に暮らしているこの動物病院の院長、佐久間鬼丸は甘い物が好物。とくにチョコレート。昔からバレンタインの残ったやつセールやなんかで美味しいやつ

smashing! あいをうけとるべきそんざい

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。経理担当である税理士・雲母春己は、そこで週1勤務をしている、大学付属動物病院の理学療法士・伊達雅宗と付き合っている。そして伊達は後輩の設楽泰司とも恋人同士。 ハルちゃんが帰ってくるまでに準備準備!夜勤明けで仕事を昼で上がれた伊達と設楽は、帰宅早々キッチンに籠った。伊達はちょっと難し目のケーキを作って、設楽は鶏肉をどうにかすることに。伊達さんこのポーシェ中身が出てこないです、それ先っぽ切らないとよ、分担はされてい

smashing! いつもどおりなひび

今日の診療は午前中のみ。混みがちな半日も、意外に暇になる時がある。診察室の片付けを終えた佐久間は、昼食を用意しがてら病院周りの掃き掃除をしようと待合室から外へ出た。 いつもなら外の寄せ植えに水をやりながら歌っている喜多村の姿がない。だが耳をすませると微かに歌が聞こえる。洗濯物のとこかな、佐久間は外階段を登り屋上を見渡した。 屋上の一番奥、公園が見渡せる佐久間家ビューポイントに喜多村がいた。佐久間の足音が聞こえたのか、喜多村が振り向いて笑った。早く降りてこいご飯だぞ、吹き抜