THE GAZETTEを読む(43)2021年2月号 リモートミーティング2.0
本記事は、ラスムセン・コンサルティングが発行しているメールマガジンTHE GAZETTEのバックナンバーを、日本語訳をしながら、コメントを加えながら読んでいくシリーズの一つである。レゴ®︎シリアスプレイ®︎(LSP)のファシリテーター・トレーニング修了者向けに書いている。
この記事の引用元原文はこちらのURLから確認することができる。
ここに書かれているように、新型コロナが本当にもたらしたのは「対面会議ができなくなった→リモートに切り替え」ではなく、会議のあり方(会議はどうあれば良いのか)を見直す機会とという見解に私も賛成だ。だから、コロナを契機に強くなった組織も少なからず存在すると思われる。みなさんの所属する組織・集団はどうだろうか。
レゴ®︎シリアスプレイ®︎はブロック以上のもの
先程の会議に関する見直しと同じように、コロナ禍はレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドのあり方を見直す良い機会でもあったといえるだろう。その見直しは、LSPで使う道具やプロセスではなく、その底に眠る「あるべき状態」をより抽象化することによって得られる。プレイフル原則(Playful Principles)である。
こうした抽象化によるアプローチは今回の話題に限らず、ある困難にぶつかった時に組織がそれをどう乗り越えるかの指針を導くワークショップの基本設計にも応用できそうだ。例えば、資金難や生徒募集がうまくいっていない学校の改革であれば「学びの原則」に立ちもどる問いを投げるということである。
プレイフル原則 - ブロックを使わずに
ここで紹介されている十数個の原則は14個で以下のLinked Inの記事にまとめられている。
ここでは14個のプレイフル原則のリストをあげておく。
100/100の参加
手で考える
目で聞く
ほぼ同じ発言時間にする
考える時間をとる
心理的安全性を確保する
アイデアを持ち込んだ人ではなく、アイデアについての対話をする
強いアイデア、軽い気持ちで
「十分に不明瞭」な問い
今ここに集中する(フローの回廊をのぼる)
ストーリーテリングで感情的なつながりがでる
システム的に思考し、創発を伴うように活動をする
成果へのコミットメントへと導く
会議のトピック以上のことを得ようとする
実際にブロックを使わずとも、これらのプレイフル原則に沿うように会議をデザインしていけば機能するというわけである。
このうち「2.手で考える」「3.目で聞く」「8.強いアイデア、軽い気持ちで」が少しわかりにくいかもしれない。「2.手で考える」は椅子に座り続けず身体を動かすことで参加者に刺激を与えるということで、「3.目で聞く」は耳だけでなく、視覚(ノンバーバルな側面ともいえる)も使ってコミュニケーションのやり取りをしようということである。「8.強いアイデア、軽い気持ちで」は、アイデアをどんどんぶつけるが、それに固執したり他を排除するのではなく、他の人と組み合わせたりしながら、できるだけ全てのアイデアを活かすように考えていくことを大事にするということである。
みなさんはレゴブロックを使わずにどのくらいの項目を意識して会議をファシリテーションできるだろうか。もちろん、ブロックを使った標準的なレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドを使ったワークショップにおけるファシリテーションのチェックリストとしても使うのもよいだろう。
20/80ミーティングから100/100ミーティングへ
上記の太字になっている「100/100の原則」については、以下のページへのリンクが貼られている。こちらもブラウザの翻訳機能があれば簡易訳を読むことができる。
ページ先では、100/100ミーティングと20/80ミーティングでは理解がしにくい人のために「リーンバックワードミーティング」と「リーンフォワードミーティング」という2つのコンセプトが紹介されている。
日本語訳を当てはめれば、それぞれ「ふんぞり会議」と「前のめり会議」という感じだろうか。これらについても、実現したい会議のイメージをわかせる言葉として有効なので、上手く使って目指すべき会議の状態を活き活きと語れるようにしたいところである。
非常に興味深い点が「8分ごとに参加者に何かをさせないと、参加者が離れていってしまう」という点で、ファシリテーターによる説明や解説は、連続で長くても5分程度に抑える気持ちでむかう、と心掛けておくべきだろう。また、一つに長く時間をかけすぎず、同時にそれぞれのしていることに関連性を持たせる、というのもワークショップ・デザインに大いに参考になる点だといえるだろう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?