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レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドで「ハイ・コンセプト」な人材を創る

 ダニエル・ピンクは、ビジネスに関する書籍のベストセラーを連発させているアメリカの作家である。
 TED Talkにも登壇しており、そちらで名前を知った方も少なくないだろう。

 彼の著作の中のベストセラーのひとつが以下の『ハイ コンセプト』である。

 本書の発売は、2005年(日本語版2006年)であるのでもう20年近く前の本である。今、読み直しても内容は全く色あせておらず、発売当時には「本当にそうなるのかな」と訝しがった読者も、世界がその通りの方向に動いていっていることを認めざるを得ないであろう。

 英語の原著タイトルは「A Whole New Mind」であり意味としては「全く新しいマインド」となる。

 その新しいマインドの2本柱が日本語版の題名にもなっている「ハイ・コンセプト」と「ハイ・タッチ」である。これについては日本語版では以下のように紹介されている。

 「ハイ・コンセプト」とは、パターンやチャンスを見出す能力、芸術的で感情面に訴える美を生み出す能力、人を納得させる話のできる能力、一見ばらばらな概念を組み合わせて何か新しい構想や概念を生み出す能力、などだ。
 「ハイ・タッチ」とは、個人と共感する能力、人間関係の機微を感じ取る能力、自らに喜びを見出し、また、他の人々が喜びを見つける手助けをする能力、そしてごく日常的な出来事についてもその目的や意義を追求する能力である。

ダニエル・ピンク『ハイ・コンセプト』日本語版 28~29ページ

 この「ハイ・コンセプト」と「ハイ・タッチ」という能力を得るために、必要なことが「6つのセンス」である。これらのセンスは21世になって、アメリカ(および先進経済国)で求められるようになってきたものである。経済のグローバル化と通信を中心としたテクノロジーの発展で、安い仕事は海外に逃げて行ってしまうからである。

6つのセンス

 この「6つのセンス」はそれまで重要なものだったことと比較して以下のように表現されている。

1.「機能(実用性)」だけでなく「デザイン(有意性)」
2.「議論」よりは「物語」
3.「個別」よりも「全体の調和(シンフォニー)」
4.「論理」ではなく「共感」
5.「まじめ」だけでなく「遊び心」
6.「モノ」よりも「生きがい」

 われわれは、この後者の「6つのセンス」をこれまで全く持っていなかったわけではない。なぜなら、われわれの「脳」は、この後者の「6つのセンス」を発揮できる可能性に満ち溢れているからである。
 これまでの社会(20世紀の社会)は、前者の部分を求めすぎて、多くの人は後者のセンスを前に出さないように抑えつけてきており、いつの間にか、その能力を発揮することを忘れてしまったというべきである。

レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドと6つのセンス

 レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドは、この「6つのセンス」を使って物事を考える場を作り出す。

(1)レゴ🄬ブロックを使って問いに答えるように作った作品には、意味がつけられる。その作品は「有意性」にあふれたものとして作られる。

(2)参加者はレゴ🄬ブロックの作品を使って「物語」を語る。そこに込められた思いは語り手自身の経験を有意義なものにまとめると同時に感情も高める。

(3)レゴ🄬ブロックの作品ではメタファーや比喩が使われる。それは「物語」の力も使って、バラバラな経験や情報をまとめ上げる作業である。

(4)参加者はお互いの「物語」を聞きあいながら、相手の考えの理解を深める。物語を聞きながら、私がその人だったらどうなんだろうと考える。その中で「共感」のセンスが育くまれる。

(5)「シリアスプレイ」とあるように、何か一つの答えがあるわけではなく無限の答えの在り方、そして無限の状況があると考える。「もし~だったら」ということも多く考えるには想像力とそれを自らに許す「遊び心」が欠かせない。

(6)レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドのワークショップで、常に大切にされるのは参加者一人一人の「生きがい」である。このことは、全員がワークに参加し、お互いのことを十分にわかり合おうというワークの哲学を実現するために欠かせない事項であるからである。

 このように、レゴ🄬シリアスプレイ🄬のワークショップを重ねていけば、「ハイコンセプト」で「ハイタッチ」な脳の使い方を思い出せるのである。

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