THE GAZETTEを読む(4) 2013年2月号 5つの世代の知恵を結集させることを助ける
本記事は、ラスムセン・コンサルティングが発行しているメールマガジンであるTHE GAZETTEのバックナンバーを、日本語訳をしながら、コメントを加えながら読んでいくシリーズの一つである。レゴ®︎シリアスプレイ®︎のファシリテーター・トレーニング修了者向けとして書いている。
この記事の引用元原文はこちらのPDFから読むことができる。
私たちが日頃から触れるテクノロジーの変化は、その間に育った世代の感覚を変えていく。日本でも、1980年代にはテレビゲームが、1990年代にはインターネットが、2000年代からは携帯電話・デジカメ・携帯メールが、2010年代にはスマートフォンやiPad、さまざまなSNSが、その時代に生まれ育った人たちの生活習慣や価値観を形成していると感じる(私自身、その影響を詳細に研究したわけではないが何か影響はあるだろうと強く感じている)。主流なテクノロジーが10年単位で変化すれば、世代間の差が大きくなるのは必然ともいえる。
レゴ®︎シリアスプレイ®︎がその差を埋めるとともに、逆に多様性から創造性やパワーを引き出すという考えは、現在でもワークショップ設計や企画提案にとって有効な観点でありつづけている。
ミレニアル世代とは
ここでの記述は、主にアメリカを中心とした世代論であると思われる。日本についてはどうだろうかということで検索したところ、以下の記事にあたった。
上記の記事の分析においては、Y世代とミレニアル世代を区分している。日本のY世代は「おおむね1970年代後半から80年代半ば生まれの世代」と位置付けられている。インターネットの影響を受けつつ、就職氷河期も経験してロスジェネともいわれた世代になるという。厳しい環境を生き残るために自分という個を重視する傾向があるようだ。
一方、日本のミレニアル世代は「1980年代半ばから90年代半ばに生まれ」と上記の記事では位置付けられている。「ゆとり教育」の世代ともされ、つながりや空気読みが重視される世代だという。
そして上記記事では、THE GAZETTEの記事では触れられていない(10年前の記事なので当然ではある)、「1990年代半ばから2000年代半ばくらいまでに生まれた層」としてのZ世代にも言及がある。スマートフォンが当たり前にある世界で、さまざまなSNSとYoutubeに代表される動画に浸かった世代で、顔を知らない人とでも交流することに抵抗がない世代のようである。また、2011年の東日本大震災をはじめ、気候変動による風水害、近年のコロナ禍までさまざまな災禍が連続して襲ってきている時代で育ってもいる。
組織全体に目を向ければ、さらにY世代の上に働き盛りのX世代(1960年代後半から1970年代前半までぐらいに生まれた)と会社の重鎮であるシニア世代(1960年代前半より前に生まれた世代)がいるわけなので、THE GAZETTEの記事通り、まさに組織は5層構造である。そして改めてそれぞれの世代で起こってきたことを概観すると、日本では海外よりもその断絶がより強いのかもしれない。
この記事の横のコラムには、まとめ的に以下のような写真とコメントが添えられている。
ここで示されているように、日本においても、ミレニアル世代の世界観そしてZ世代の世界観とレゴ®︎シリアスプレイ®︎のワークが作る世界観は重なるのかもしれない。そして、上記の世代論があっているとすれば、お互いの結びつき方の表現は、Y世代はAT3 ランドスケープ、ミレニアル世代はAT2 共有モデル、Z世代はAT4~5 コネクション/システムが感覚的に合うのかもしれない。
もちろん、これはあくまで世代論とその感覚をレゴ®︎シリアスプレイ®︎の応用テクニック(AT)と重ねてみただけであり、Y世代に使うのはAT3に限定するということはない。目的や狙いに応じて適切な応用テクニックを使い、参加者は安全にそのプレイから学べるのがレゴ®︎シリアスプレイ®︎の真価である。
職場の外で世代間の理解を深める
ここからは事例が2つ紹介される。
ここでは「リーダーシップ・フォーラム」という枠組みであるが、同じようなプログラムで、家族経営の事業承継問題にアプローチすることにも使えるかもしれない。
こちらは「親子LSP」といったところで、子供たちのことを親がより深く理解して、よりよい教育環境をつくることに貢献できる取り組みだといえる。この記事から10年がたった今の日本でも、このような枠組みでの取り組みの必要性はますます高まっているといえよう。
この文章の横には、以下のような写真とメッセージが添えられている。
フェラーラ イタリア 3月20日~23日
この号の最後にでてくるのが、上のイベント記事である。Restauroは今でも行われている。どのようなプログラムだったのだろうか(レゴの使われ方については、リンクが切れているので知ることができない)。よりよい遺産の扱い方や活用についてモデルで作るのだろうか。遺産を探検するともあるので、見学や解説を聞いた後に考えたことをモデルにして対話するのだろうか。いろいろと興味は尽きない。
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