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思考ルーチンとレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッド(1)思考ルーチンとは何か

 上記の本では「思考ルーチン」という考え方が紹介されている。

 思考ルーチンとは「思考をうながすツール」とされる。思考ルーチンを使うことによって、使うものの思考を引き上げ、繰り返し使う中で、教師からの指示がなくとも、その人が自発的にその考え方を使うことが期待できる。

 思考ルーチンの一つとして、「見える・思う・ひっかかる」というものがある。最初に「見えたもの」について言語化し、次にそれを見て「思う」ことを言語化し、その上で「ひっかかる」ことを言語化する。そうすることで、いきなり「問い」をあげさせるよりも、スムーズに問いの発露まで思考を導けるというものである。

思考ルーティンの特徴

 思考ルーチンはオープンエンドで、特定の答えを引き出すものではない。つまり、答えは評価対象とならないが、ルーティンが示すプロセスおよび考え方の原則にどれだけ従っているかについては評価できる

 この思考ルーチンをそれぞれの個人が習得していき、そのような個人が多く集団に属していれば、それはその集団の文化となっていく。集団の文化となれば、この思考ルーチンがより安定して使われるようになり、集団に属する人々がお互いに思考ルーチンの正しい使い方ができるように助け合うことができる。

 「ツール」なので、使いどころが重要である。紙を切りたい時に金槌が役立たないように、特定の思考ルーチンでは突破できない問題なども存在するだろう。
 実際に、本書ではタイトルに「21のルーチン」という言葉を入れており、この問題については、ある程度、回避している。「ある程度」としたのは、この21のルーチンでも突破できない問題(うまく思考できない)の存在は否定できないからである。
 この点がどのくらい大きな問題であるのかについては21のルーチンを全て吟味してから判断しても遅くは無い。

レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドに対する影響への期待

 「思考」という言葉にフォーカスすれば、本書は教育現場のみならず個人や組織の能力開発に関わる方すべてに関わってくる。

 その中でも、私の関心はレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドが人の考えるということにどう関係しているのか、どうこれらの思考ルーチンがメソッドを強化してくれるのかにある。

 レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドの中核には、コア・プロセスという4つのステップがある。「問いを出す」「モデルをつくる」「モデルを使って語る」「振り返る」という4つのステップである。このプロセスに忠実に沿うことによってレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドを使ったワークショップは実にスムーズに進む。

 「見える・思う・ひっかかる」のような思考ルーチンの例に重ねても、このコア・プロセスは、思考ルーチンの一つであるといってもよさそうだ。逆に言えば、本書に含まれる21の思考ルーチンを取り込むことによって、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドを使ったワークショップ設計やファシリテーションにも良い影響が与えられるのではないかと期待している。

 Noteをシリーズ化しようとナンバリングを振った。次からは個々の思考ルーチンにフォーカスしてレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドとの関係をより深く考えてみたいと思う。

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