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物証の信用


 何がしかの事件が起きた際、警察の方は一に物的証拠物、二に証言、三に犯人の供述によって捜査を行うようだと聞く。犯人が一番嘘をつく確率が高く、証言もまた人によっては犯人と繋がりがあり嘘の証言をされるかもしれない、それのみならず見間違いなどが起こる場合があるため、物的証拠は一番信用される。
 だからこその危うさがあるのだ。例えばこんな事件がある。
 ドイツで警官二人が撃たれているのを通行人が発見、一人は死亡、もう一人は重症で重い障害が残った。
 この事件の現場で採取されたDNAがドイツ国内のみならずヨーロッパの様々な凶悪犯罪の現場で確認され、連続殺人事件とみなされ、大規模な調査が行われることとなる。
 その結果、マスコミは犯人をハイルブロンの怪人と呼びこの連続殺人事件の事を大々的に報道した。
 犯人像は様々な国に行っているとみられることから多言語を使いこなす犯罪組織と関わりのある人物と推測されたのだが真相はこうだった。
 なんと捜査に使う綿棒の製造会社の従業員が作業の際に手袋をつけず綿棒を触っていたためにその従業員のDNAが付着していたのである。
 この事件は捜査に三年近くの時間を割いており、その分事件の解決も遅れたために「戦後のドイツ警察の歴史の中で最もお粗末」だと言われている。
 この事件のように科学や物的証拠が信じられやすいがために起こるミスは意外と多い。動揺を利用した嘘で紹介した熊本地震ライオンデマ事件は写真があったために広く信じられたとも言える。
 今は写真が素人でも加工できる時代、切り取って色を合わせて貼ったら浮気をして女の人と会っていても男友達と遊んでいる風の写真はつくれる。
 写真のみならず、この時にこういうことをしたと記録が残っているものは使いやすい。
 記録は簡単に改ざんできる。紙なら元のものにそっくりでかつ自分に好ましい内容の物を印刷すればいいし、電子なら変えるのは容易だろう。
 大切なのは証拠を求められる前段階から偽の物的証拠を用意をしておき、証拠はあるのか?と聞かれた時にそれを出せる状態にしておくことなのだ。
 そうすればあなたの作った嘘は本当として捉えられるだろう

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