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冬の夕方とお鍋。

冬生まれなのだけれど、冬が苦手だ。
冬生まれだから冬が得意とか好きという根拠はないが、
冬生まれはなんとなく冬が好きそうな気がする(という決めつけ)。

冬のどんなところが苦手なのかというと、寒さではない。
冬の夕方の暗さが苦手なのだ。夕方は学校や仕事が終わるので、布団から出ないといけない朝より好きなのだけど、冬の夕方はどうしても苦手だ。

なぜ冬の夕方が苦手なのかというと、とてもとても寂しく、ときには悲しい気持ちになるから。特に寂しいことや悲しいことがあったわけではなくてもなんとも言い難い物悲しさや寂しさを感じる。それが冬の夕方なのだ。

同じ冬でも1月や2月の冬の夕方は寂しく悲しい気持ちにはあまりならないのだけど、11月の秋から冬にかけて、だんだんと日が暮れるのが早くなってからの時期と12月の夕方はとても苦手。「かな〜しくて、かなしくて、とて〜もやりきれない」なんて歌詞の歌があったが、そんな気分になることもあるくらいだ。

そんな冬の夕方の寂しさや悲しさをやわらげ、心をあたためてくれるものって何だろう…と考えて頭に浮かんだのは、ほかほか湯気のたったお鍋料理。お鍋料理は季節を問わず食べようと思えば食べられるが、はやり暑い季節より寒い季節のほうが似合うし、美味しく感じる。食べたくなる。
それは、気温が寒いからだと思っていたけれど、じつは心が寒く、寂しいから、あったまるお鍋を欲してしまうのではないだろうか。

まあるいお鍋を家族でつっついて食べる。今は四角いお鍋もあるが、お鍋はやっぱり丸がいい。まあるいお鍋の中で、ぐつぐつとアッツアツになった野菜やお豆腐、マロニーなどなど。その日によって違うお出汁。ふぅふぅしながら口に運ぶと体もあたたまるし、気持ちもあたたまる。あぁ、美味しいなぁ、あったまるなぁと、ほっこりしながら食べていると、夕方の寂しさのことなんて、とうに忘れている。「冬が、冬の夕方が苦手だ」というわりには単純だ。

冬生まれだけれど、冬が苦手だ。
寒さではなく、冬の夕方の薄暗さが苦手なのだ。
11月に入って10日がすぎたところだけれど、食卓にお鍋が登場したのはすでに2回。夕方の薄暗さが深まるのに比例して、お鍋料理を食べる回数が増えそうだ。今年はとくに増えそうな気がする。

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