他人軸で仕事をしてきたら自分軸が見えてきた話

フリーランスになって約20年。
自分を持っていないことにコンプレックスを持っていたわたしが仕事をしていくなかで「アレ?! これがわたしの自分軸かも」と思うに至った話を綴ります。

「自分に向いているのだろうか」というモヤモヤ

大雑把に言えば、地方の広告代理店でコピーライターとしてキャリアをスタートしたわたし。その会社で師匠に出会い、広告以外のまちづくり等でコンセプトワークやコンセプトコピーを書く仕事を経験したのちフリーランスになりました。

今はわかりませんが、当時、わたしのまわりにいたコピーライターと名乗る先輩たちはキャラが強くて、独特な雰囲気のある人ばかり。没個性な自分にコンプレックスを持っていたわたしは、先輩たちと自分を比べては「ムリ!」とネガティブになっていました。

コピーライターといっても、華々しい経歴はなく、私はキャッチコピーよりボディーコピーを書くほうが向いているかも…なんて思っていました。コピーライターの仕事は好きだったし、コピーライターと名乗りたい気持ちは強かったのですが「自分なんかがコピーライターと名乗って良いのだろうか?」というモヤモヤを抱えたままフリーランスになりました。

「他人軸」で依頼されることを愚直に行ってきた

考えた結果、フリーランスとしての名刺にはコピーライターではなく、ちょっぴり小っ恥ずかしかったのですがコンセプトプランナーといったようなことを書きました。師匠が使っていた肩書きを使わせてもらった次第です。

ただ、この肩書きを使っている人は当時の地方ではあまりいなかったのか、名刺交換をすると「え? どういう仕事をしてるんですか?」と聞かれることがたびたびあり、結果的に良かったのだと思います。

わたしにお声がけくださる方は、なぜか自分を持ったオーナー様がほとんどでした。コンセプトプランナーとは言いつつも、わたしがゼロからコンセプトをつくるわけではありません。オーナーさんの想いや業界の状況を伺い、それらとニーズを掛け合わせて整理した結果、導き出されたことをコンセプトとして落とし込む、そうといった仕事の仕方をしていました。

コピーライターやコンセプトプランナーという仕事の枠組みにこだわりはありませんでした。そういった肩書きに対して自分に自信がなかったというのが正直なところです。

そのような背景もあり、依頼してくださる方がわたしにしてほしいと思うことを大切に、愚直に行なってきました。他人軸で仕事をしてきたわけです。

幸いなことに、知り合う方々は「何かわからないけど、考えをまとめてくれたり、整理してくれる人」といった印象を持ってくださり助かりました。例えば、絵を描いて欲しいとか、畑を耕して欲しいとか、わたしにはムリと思う依頼はありません。

たまにパンフレットやフライヤーなど、印刷物の相談をいただきますが、その場合は、「わたしはデザイナーではない」としっかり伝えました。そのうえで、例えばデザイナーさんに入ってもらい、構成、ディレクションとライティングなど、わたしにできることをお手伝いしています。唯一こだわっていることと言えば、お客様が望まれることプラスαを提出することですが、これについてはまたいつか……。

「あれ? これ、楽しいかも!」という気づき

頼まれたことを一生懸命行う。その繰り返しで仕事をしてきた結果、相談してくださることに一つの傾向を感じるようになりました。

例えば次のような相談をいただきます。
・いろいろ考えていることはあるんだけど、なんだかモヤモヤしている
・企業理念を整理したいんだけど、どうしたらいい?
・会議でいろんな意見が出たんだけど、どうまとめたらいいのか…
・方向性を整理したいんだけど聞いてもらえないかな…
・自分の考えをスタッフに伝えたいけど、どう伝えたらいいのか……etc.

ご依頼いただく内容はどれも、なにやらそこに漠とした考えや知識はあるものの、モヤモヤしているのでどうにかしたい!  といったことがほとんどでした。

「これはもしや暗黙知の言語化では!」とわたしのなかで腹落ちするものがありました。同時に、考えてみると、そういったモヤモヤを解きほぐし言語化している作業を「楽しい!」とワクワクしている自分がいることに気づいたのです。

他人軸で仕事を続けた結果、わたしがたどり着いたのは、モヤモヤや暗黙知の言語化でした。手間のかかることなので苦しいときもありますが、でもやっぱり楽しい!  

「たのくるしいこの仕事が私は好きだ」と改めて思ったとき、もしやこれが自分軸というものなのか?! とハッとしたわけです。

以来、わたしは自分の仕事を説明するときに、モヤモヤの言語化・編集、暗黙知の言語化といった言葉を使っています。そして数週間前に言語家という言葉にたどり着き、SNSで使い始めたばかりです。

他人軸で仕事をしていたことは、もしかしたら遠回りだったかもしれません。でも、わたしの軸を自分で決めるのではなく、ほかの人が必要としてくれることのなかに自分軸が隠れていることもあるのではないか、今はそのように思っています。

キャラが立っていない自分にコンプレックスを抱き、自分軸なんてないと思っていたわたしがようやくたどり着いた自分軸。これからも大切にしていきます。

もしあなたが、自分軸がないとか自分軸を決めたいと思っているとしたら、「ほかの人が感じているあなたの良さや強みについて聞いてみる」というのもいいかもしれません。自分軸、自分軸、ジブンジクーーーと心をギュッとかためるのでなく、ふっとチカラを抜いたときに見えてくるものもあるかもしれませんね。

またここで会えますように。
楽しい毎日をお過ごしください♪

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