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01_「広さ」を求めて

くるくるハイツとは福岡県糸島市にある古民家だ。そこは私にとって新しい居場所になるかもしれないし、新しい私が生まれるかもしれない場所である。その「かもしれない」を「そうである」と断言できるようになることが、今の私の密かな目標だ。(書き手:大津恵理子)

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くるくるハイツの家主、天野百恵さんのブログはこちらです。
百恵さんの職業はアーティストで、絵をかいたりデザインもする。二児の子供と、古民家(くるくるハイツ)を改装しながら生活していて、木の裁断やくぎ打ち、ペンキ塗りも朝飯前のように器用にこなすDIYの達人でもある。

育児や仕事の合間に息抜きでDIYをやっているような感じで、いつ休んでるのかわからないくらいアクティブな人だ。(すごい)

くるくるハイツに行く理由

なぜここに行くことにしたのか。それは、「行きたかったから」という一言に尽きるかもしれない。

だけどもう一歩踏み込んで考えてみると、誰かの友達の自分、娘としての自分、バイトをしている自分、学校にいる自分、ではなくて何にも所属しない自分っているのか。それを見つけたい、そう思って行く決心をした気がする。

嫌だったから逃げた

コロナで変わったものって何だったんだろう。毎日学校へ行って、たまに友達と遊んで息抜きをして、という絶対に変わらないと思っていた生活は変わった。でも、目に見えない人間関係も学歴も過去もそのままで、将来への不安は増していた。

私の将来への選択肢は就職しようか院進しようかその二択だけだった。私は真面目だ。自分で言うけど。授業もバイトもズルはしたくない。親にも迷惑かけたくない。オンライン導入が始まった前期の授業は、大学に入って一番真面目に取り組んだのではないかと思うくらい頑張った。

一日中パソコンの前でレポートとオンライン授業。それから週4、5日はバイト。毎日同じ時間に同じ人と会う生活。つまらなくただただ疲れていた。それに追い討ちをかけるように、前期のひどい成績が明らかになった。最悪だった。頑張ったのに、なぜ…ワタシマジメニガンバッタノニ‥ナンテコッタ‥マジメニヤルノッテイミアルノ‥ヤダヤダ…

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このころの自分は本当に切羽詰まっていた。なんとかこの状況から抜け出せる方法はないのか。大学生は自由な時間が多いと思われがちだけど、自分にとってはそれがプレッシャーだった。いかに充実させるか、将来の糧になる時間にできるか。この考えが時間を使う軸になっていた。

周りは就活だのサークルだの意識高めでSNSにはそのキラキラがあふれている。それを見るたびに心の奥がぐっとえぐられているようで焦っている自分がいる。そして後れを取らないように自分も同じように投稿してしまう。

やること全てがSNSに投稿するためにやっているような気がして、他人からの目を気にして、今の自分がその世界にいるのが嫌になった。

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別の世界はないものなのか

そう思い始めて、やけくそになっていた9月ごろ、不幸中の幸いなのか福岡ではコロナウイルスの感染者が減って外出もしやすくなった。新しい体験ができそうな場所はないものか、本当にテキトーに検索をかけていた。

「シェアハウス、糸島」検索、ポチッ。

なんでシェアハウス、糸島、にしたんだろうと今になると思うけど「シェアハウスに行けば知らない人に会って、知らない人に会えばなんか変われるんじゃ?」と思ったことと、糸島は何度か行ったことがあって好きな場所だったから、という単純思考回路だった。

糸島は海と山が混在している場所だ。ところどころに洒落たカフェやお店があり、トトロの森なるものや二見ヶ浦の夫婦岩は観光地としても有名である。そしてなにより「広さ」を感じる場所である。大きい海、山、開放感のある空間。ほとんど家から出ない生活で私はこの「広さ」を求めていたような気がする。

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検索すると、くるくるハイツの天野百恵さん(家主)のブログがでてきた。
古民家、DIY、家主は美術作家、家は未完成だけど入居者募集中、一緒に作りながら暮らす…ブログをざっと読み、雰囲気を掴んでみる。いつのまにか自分が住んで生活している想像をしてワクワクしていた。

「ふむふむ、なんか良さげだ、行ってみたい。」

そのまま百恵さんに連絡を取り、一度オンラインでお話を伺うことになった。百恵さんとオンラインではじめて対面したとき、落ち着いたトーンで話されている姿にクールだなと感じた。でも言葉はやさしく冷たさは感じない。緊張もすぐにほぐれた。

私自身のことや大学生の今の状況を話すと、それを受け止めてくれて、何か一緒にできることはないかと考えてくれた。見知らぬ人間の話を聞き、「家に来てください。」と言える人なんてそういない。

そんなことをすんなりとできるのが百恵さんだ。そして、そこに百恵さんの心の「広さ」を感じた。それは私が必要としているもので、身に着けたいと思っていることだ。

もっと百恵さんと話したいと思ったし、百恵さんが創り出す生活で呼吸してみたいと思った。それから即決でくるくるハイツへ行くことに決めて、実際に訪れることとなった。

これが百恵さんとくるくるハイツと私の出会いである。

この出会いが自分にとってどのような形になるのかまだわからない。
今はとりあえず、遠足前日の小学生みたいに楽しみと期待に胸を躍らせている。

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vol.02へつづきます。

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