自分を変えるきっかけに。
※こちらの記事は「聞き書き甲子園」事務局による連載となります。
全国約80名の高校生が、「名人」(林業家や漁師、伝統工芸士など)を訪ね、一対一でインタビューをする「聞き書き甲子園」。そもそも、こちらの「列島ききがきノート」もそのOB・OGが立ち上げたチームです。
昨年はコロナ禍で休止していましたが、今年は工夫を凝らして、聞き書き甲子園を開催する予定です。今回で20年目となる当プログラムに参加する高校生の応募が始まっています!(6/24締切です!詳細はこちら)
この連載では、過去の参加者たちの体験談をご紹介しています。参加を考えている皆さん、「聞き書き甲子園ってなんだろう」と思った皆さん、ご覧ください。
高橋 龍晟(たかはし りゅうせい)
公立鳥取環境大学経営学部経営学科4年。高校1年生のとき、第14回聞き書き甲子園に参加し、地元である徳島の吉野川で水質調査をしている名人を取材。第17回・第18回聞き書き甲子園では参加高校生のサポートする学生スタッフとして参加。現在、絶賛就活中。(以下たかぽん)
土屋 瑶夏(つちや ようか)
筑波大学社会国際学部社会学類3年。高校2年生のとき、第16回聞き書き甲子園に参加し、熊本県人吉市の鍛冶屋をしている名人を取材。第18回聞き書き甲子園では学生スタッフとして参加。趣味はカフェ巡り。(以下ようちゃん)
紅野 優(こうの ゆう)
早稲田大学人間科学部人間環境学科3年。高校1年生のとき、第15回聞き書き甲子園に参加し、福岡の鐘崎で海女をしている名人を取材。第16回・第18回聞き書き甲子園では学生スタッフとして参加。最近は新調したヘッドホンで音楽を聴くことにハマっている。(以下べにちゃん)
(聞き手:聞き書き甲子園事務局 大谷)
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◎参加後の自分自身の変化
大谷:参加したあと、自分自身の変化とかは感じましたか?
たかぽん:僕は進路について視野が広くなった、と思います。参加前は将来のことも漠然と専門学校とかかな、としか考えていなかったんですが、学生スタッフさんたちからいろいろな大学の話を聞いて、自分も大学目指してみるのもいいんじゃないか、と。そこから徐々に勉強に力を入れだして、最終的に国公立受験をし、今に至ります。
↑ 夏の研修でのワークショップの様子。聞き書き甲子園に参加する高校生の中には、将来の進路について悩んでいる人も多数います。ワークショップでは、お互いの考えていることを話したり、話を聞きながら、思考を整理しています。
べにちゃん:私は高1で参加したあと、高2では学生スタッフとして参加したのですが、だんだん聞き書き甲子園が第2の居場所みたいに感じるようになりました。例えば高校で何か嫌なこととか、どうしようもないことがあったときも、自分には聞き書き甲子園でできた仲間がいる、大変な作業も頑張った経験がある、と思い出せて、狭い世界に閉じこもることなくいられました。
ようちゃん:私も2人と同じく、他の高校生や学生スタッフさんにたくさん刺激をもらって、何か自分でも活動を起こしてみるのもありかも、こういう研究もしてみたい、と思うようになりました。実際に活動できたこともあり、仲間や先輩の存在は活力になっていたと思います。
たかぽん:それから、大学に入ってから思うのは、聞き書き甲子園がきっかけで自分に主体性が身に付いたと思います。僕も大学生になってから学生スタッフとして参加したりもしましたし、高校のときと比べてよりいっそう、新しいことに挑戦するようになりました。
ようちゃん:私は、取材のときにいろいろ質問を考えたりした経験が、今アルバイトでお客さんと話すときとか、サークル活動のときとか、人と関わる場面ですごく役に立っているのを実感します。
べにちゃん:私もようちゃんに似てますが、人に話を聞く姿勢だったり、質問を組み立てる力がついたと思います。
↑ 夏の研修では、学生スタッフが「聞き書き」の手法や取材の注意点などをレクチャーします!
◎聞き書き甲子園と「地域」
大谷:さて、ここにいる3人はみんな、第18回の学生スタッフでもありますね。実は聞き書き甲子園は第18回から、(取材はあくまで名人との一対一ですが)取材先の地域ごとにグループを作って活動をするようになりました。以前とくらべて、今回“地域”という共通項ができたことについてはどう思われますか?
↑ 2021年度の聞き書き甲子園に参加する高校生の皆さんは、全国12地域のいずれかを訪ね、名人を「聞き書き」します。
べにちゃん:すごくいいなと思います。グループとしてより一体感がでますし、参加したあともみんなでその地域に愛着を持つことができるので、いいことばっかりだな、って思います。
ようちゃん:私も同感です。私が第18回で担当した班の地域はけっこうなまりがあるところで、それぞれ違う名人にしろ、地域特有なことについて情報を共有したり、相談しあったりができたのは本当に良かったと思います。高校生同士で地域で何かやろうとか、地域の人から声をかけてもらったりとか、新しい活動が生まれやすいという点もあると思います。
たかぽん:第18回以前よりも、取材先との関わりが深くなりますし、自分のグループの地域だけではなくて、他の地域についても興味が出てくると思います。実際僕もこんな地域もあるんだ、と思ったり、こっちの地域にも、あっちの地域にも行きたいな、と楽しめました。
大谷:なるほど、第18回からの取り組みだったのでそれを聞いて安心しました。
↑ 夏の研修では、地域の方から直接、取材先の情報を教えて頂きました。
◎聞き書き甲子園が高校生に与えた影響
大谷:さて、ここまで聞き書き甲子園の体験談についていろいろお聞きしてきましたが、皆さんにとって、聞き書き甲子園はどんな影響を与えたと思いますか?
たかぽん:良いところめちゃくちゃいろいろあるんですが、僕にとっては、もっともっと新しいことにチャレンジしていきたい!と思えるようになったきっかけですかね。参加して、取材や作品づくりを経験したことは自分の中で成功体験になっています。チャレンジして、それをやり切ったということは今の自分にとってものすごく自信につながっています。
ようちゃん:私は、すごく贅沢な、貴重な経験だったなと思います。全国の高校生が100人規模で集まるイベントってそうそうないし、ましてや自分よりも何十歳も年上で、すごいキャリアを積んでいる、確かな技術を持った名人と出会える機会なんてめったにないので。
べにちゃん:本当にそうだよね。一言で良さを表すなら、日常から飛び出せることかなって思います。いつもの学校に行って、家に帰って、という往復の日常から飛び出して、いろいろな新しい世界をみれるという経験を高校生の時点でできることが、聞き書き甲子園ならではの良さだなって思います。
↑ 第17回聞き書き甲子園フォーラムでは、20代の若手社会人の方をゲストに迎えて、これからの進路を考えるワークショップも開催しました。世代を超えて様々なつながりが出来るのも魅力ですね。
◎参加を考えている高校生へメッセージ
大谷:それでは最後に、今参加を考えている高校生に向けて、一言メッセージをおねがいします!
ようちゃん:高校では絶対に学ぶことができない、すごく貴重な経験ができます。もし今、何かやってみたいとか、自分を変えてみたいとか、そういう気持ちが少しでもあったら、ぜひ参加してみてください。
べにちゃん:私からは、このとても恵まれた機会を最大限に生かしてほしい、チャンスを逃さないでほしい、ということを伝えたいです。ようちゃんが言ったみたいに、すごく貴重な経験になるし、それも自分の行動次第で本当にいろいろなことが変わってくると思います。実際に参加したときには思いっきり、挑戦してみてもらえたらと思います。
たかぽん:そうそう、自分から動くって経験はその後の自分の自信にもつながるし、成功するとか失敗するとかではなくて、実際にやってみたら意外と楽しいなってことがすごく多いです。だからもう、迷ってる人はとりあえず、でもいいので応募してみてほしいです。
大谷:お三方、今日は本当にありがとうございました!
高校生の皆さん、聞き書き甲子園では全国の高校生や名人、聞き書きの先輩たちとの出会いが待っています、皆さんからのご応募、お待ちしています!
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聞き書き甲子園について興味を持って頂いた方は、以下の動画もご覧ください!聞き書き甲子園に参加するとどんな活動を行なうのかご紹介しています。
動画後半には、今回のインタビューにご協力頂いた3人のコメントも取り上げています!
※なお、新型コロナウイルスの影響で開催プログラムが変更・延期・中止となる場合があります。予めご了承ください。最新情報はWEBサイトをご確認ください。
ありがとうございます。 列島ききがきノートの取材エリアは北海道から沖縄まで。聞きたい、伝えたい、残したいコトバはたくさんあります。各地での取材にかかる交通費、宿泊費などに使わせて頂きます。そして、またその足跡をnoteで書いていければ。