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読書感想文~あの言葉といえば~

お久しぶりです。環です。

「お久しぶりです。」
この言葉と私の名前を見れば、これから私がどの小説について書こうとしているかなんとなく分かった人もいるかもしれません。
本当は他の事柄を書こうと思っていたんですが、
この言葉を書いた瞬間、本来書こうと思っていた事柄は後回し。
あの小説について書くしかない!と思い立ちました。

『スロウハイツの神様』(上・下)/辻村美月 著

読書好きの中でも、この本を好きな小説に挙げる人は多いのではないでしょうか。

下記、私の解釈に基づくあらすじです。

舞台は、脚本家・赤羽環がオーナーを務める、児童漫画家志望ら天才クリエイターの卵らが暮らすマンション・スロウハイツ。
ある事件を発端とした、スロウハイツで暮らす人々の人間模様を丁寧に描いた、青春群像劇。

一般にはミステリに分類されていますが、
がっつりミステリではなく、個々の人間模様を描かためにミステリが要素としてある組み込まれている作品かなと思います。

わたし的、『スロウハイツの神様』好きな要素は
大きく2つあります。

①スピード感のある、華麗な伏線回収
物語序盤で出てくるチヨダ・コーキのセリフ
"お久しぶりです。"
私はこのセリフを聞くたびに、今も、そしてこれからも感動と興奮で身震いしてしまいます。
このセリフの意味といい、
とにかく、上巻終盤から下巻にかけての伏線回収が圧巻。
伏線の多さに、回収が無理矢理だったり焦っている感じが見え隠れする小説も多くありますが、
この小説の伏線回収は本当に綺麗。
何度も読み返したくなること必須です。

②スロウハイツの住人
一つ屋根の下で暮らす、個性豊かで魅力的なクリエイターの卵たちもこの小説推しポイントのひとつ。
事件の顛末だけでなく、登場人物一人一人について、そこに行き着くまでの経緯や感情が細かく描かれています。
きっと、誰しもが登場人物を好きになることでしょう。
ただ、それで終わらないのが辻村作品の登場人物。
まるでどこにでもいそうな登場人物に感情移入し、嫌いな部分が見えることもあれば、愛おしく思える部分もあるはずです。

また、この小説のスピンオフ小説も出ています。
それは、辻村美月の小説ではなく
スロウハイツに住んでいる作家チヨダ・コーキの小説。

ありきたりとも思える展開ですが、この小説のあとがきを見た時、震えました。


とにかく大好きで、この感動をぜひ体感してほしい。
そんな想いを抱かせてくれる小説の一つです。

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