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読書感想文~中毒性のあるマンガ~

ハッピーエンドじゃない方が好き、環です。

数は少ないですが、漫画もそれなりに読みます。
今回は、わたしの好きな漫画家さんの短編集を紹介します。
読んでいて苦しいのに、何故か何度も読み返してしまう。そんな中毒性のある作品です。
(この漫画も友達に貸したまま、帰ってきません。)

『世界の終わりと夜明け前』/浅野いにお 著

わたしの解釈によるざっくり内容です。

ハッピーエンドでも、かといってとびきりのバッドエンドでもない、
だらっとした毎日に、どこにでもいそうな人とどこにでもありそうな場面。
今日と明日が劇的に変わるわけじゃない。
そんなこと分かってるけど何かに縋ってみたくて、何かを信じてみたい。
そんな不器用に生きる、等身大の"誰か"を描いた短編集。


浅野いにおさんのマンガは、人間のずる賢さ、不器用さを描いている作品が多いなと思います。
そういったマイナスに見える感情を描き出すのが本当に上手い。

静かで、穏やかで、暗さを感じるけど夕暮れ時のような、静かな優しい光を感じる作品。
生きることそのものに感じる気だるさや、
気だるさの中でなんとなく生きている"誰か"を描いた
この短編集は、読んだ後に鬱々とするわけではないけれど、元気になるわけでもありません。
人間の汚い部分をありありと描いた本作は、まるで自分が描かれているんじゃないかって、読むのが苦しい作品でもあります。

ただ、「もうちょい頑張って生きてみるか。」
後押しされているわけでもないのに、ちょっとだけそんな気持ちになります。

漫画でだから軽く読めるっていうのもあるけど、
苦しくなるのに何故か何度でも読み返したくなる漫画の1つ。
それは、あたかも現実世界を写したような漫画の登場人物である"誰か"に自分を投影させることで、
何も信じれなくて、縋るものもない暗闇の中から、一筋の光が見えるような読了感を味わいたいからなのかもしれません。

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