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企画の化合物理論

企画とアイデアのちがい

「アイデア」という言葉がある。辞書には次のような意味が載っている。

1 思いつき。新奇な工夫。着想。「アイデアが浮かぶ」
2 イデア。観念。理念。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
https://dictionary.goo.ne.jp/jn/1036/meaning/m0u/

ここで扱うのは「思いつき」の方の「アイデア」についてだ。

この「アイデア」が「企画」と同じような意味で使われることをしばしば目にするのだけど、「アイデア」と「企画」は明確に区別した方がいいと思う。

端的に言うと、アイデアとは部品であり、企画とは商品である。
さまざまな部品を組み合わせることで商品ができるように、複数のアイデアを組み合わせることで企画はできる。

イメージとしてはこんな感じ。

企画とは化合物のようなものであり、アイデアは原子のようなものだ。これを「企画の化合物理論」と呼んでいる。

このような見方をすると、企画のいろいろな特性が説明しやすい。


アイデアは、単体では企画にならない。

企画の構成要素には、ビッグアイデアやスモールアイデア、そしてアイデアとは言えない普通のこと(定石とか)など、さまざまなナレッジがある。


すぐれた企画には、複数のすぐれたアイデアがある。

たとえば、秀逸な広告キャンペーンがあるとき、課題設定や戦略やコピーライティングやグラフィックデザインとメディアプランがすぐれていたりする。

だから、すごくいいアイデアを思いついたからといって満足しない方がいい。満足した瞬間、企画はそれ以上よくならない。1つの企画を設計する上で「ひらめいた!」という瞬間が何度も訪れるくらいが望ましい。


企画には構造がある。

企画家は、アイデアを生み出すだけではなく、企画全体を設計しなくてはならない。
画期的なアイデアを生み出したとしても企画として成立しなければ、そのアイデアは機能しない。逆に、特に際立ったアイデアはなくても、全体としてバランスがとれているというタイプのすぐれた企画もあるだろう。

そして、ナレッジとナレッジの結合のさせ方にも、アイデアとそうでないものがある。「その手があったか」というようなアイデアがそれだ。


いいアイデアを出してもなかなか採用されない、企画が通らないという場合は、このような企画観を持ってみるとうまくいくかもしれません。

最後まで読んでいただきありがとうございます。 この記事が何かのお役に立てば幸いです。