見出し画像

リクルートで働きながら6つ以上の副業を立ち上げ、起業家が集まるビル「弦本ビル」を創り夢を叶えた話【Fukusen LIVEレポート2023年8月】

自分の「やりたい」をベースに、小さくても魅力的なビジネスを創ってみたい人のための実践型コミュニティ【Fukusen】では、毎週水曜夜に、メンバー限定のオンラインイベント【Fukusen LIVE】を開催しています。
Fukusen LIVEでは、ビジネスアイディアを持つメンバーが代表理事である細野と壁打ちをしたり、ゲストスピーカーを招いてスモールグッドビジネスを生み出すための様々なナレッジを講義形式でお届けしています。

2023年8月9日に開催されたFukusen LIVEでは、Fukusenの助っ人でもある弦本ビル株式会社 代表、弦本卓也さんがゲストスピーカーとして登場!自身で副業として手がけた数多くのスモールグッドビジネスや、起業家を輩出するビル「弦本ビル」のが生まれたストーリーを語っていただきました。

弦本さんはおそらく僕が会った副業をやっている人の中で多分一番パワフルで、下手な人の本業よりも副業をしてきたんじゃないかと思っています。人間ここまで面白いことができるんだという事例として、弦本さんの好奇心や行動力は必見です!

※本記事では、当日の模様をダイジェスト版でお届けします。実際のLIVE映像をご覧になりたい方は、30日無料のFukusenファームよりお申し込みください。

リクルートで働きながら複数の事業を立ち上げた弦本卓也(つるもとたくや)さん

弦本さんの主な活動内容

細野 今日は特別講義ということで、弦本さんに来ていただきました。

弦本さんとは11年ほど前にリクルートで会って、最近になって久しぶりに共通の知り合いから連絡が来て、あらためて話したところFukusenに興味を持ってくれて、現在は助っ人として参加してもらっています。

弦本 ご紹介いただきありがとうございます。弦本の主な活動なんですけど、大きく4つありまして。

1個目は、さきほど細野さんとも出会ったと話したリクルートですね。SUUMOのメディアづくりから、その後に組織づくりをやっていました。

そして2個目は副業なんですが、6個以上ですね、プロジェクト立ち上げていって。3社ほど起業しました。それは「一人ひとりの可能性を活かす選択肢を提供する」というコンセプトで、専門性のある人を応援するような活動をしてきました。

3個目が、さきほど細野さんも話してくださった「弦本ビル」ですね。
こちらは2015年に買って2023年3月に売却したものなんですが、5階建てのビルに起業家たちが集まって、20代を中心に楽しく「自分のやりたいことを見つけて実践する場所」として運営してきました。

それ以外にも本を書いたりしています。というのが概要です。

細野 概要で皆さんお腹いっぱいになってますけど。笑いが起きてますけど、これが副業ですか?

弦本 そうですね、リクルートは去年の12月に辞めたのでそれまでは全部、副業として並行してやっていたという形ですね 。

人生のテーマを掲げ、自分もまわりも幸せに

弦本さんの人生の4つのテーマ

弦本 人生のテーマなんですが、大きく4つありまして。

1つ目は「恩送り」と言われていたりするんですけど、先人にお世話になった感謝を今の世代や次の世代に送っていく、還元していく。という考え方です。

2つ目は、これは「三方よし」という言葉もありますが、自分よし、相手よし、世の中よしといって。僕の中では自分がワクワクしていて目の前の人のためになって、結果的に世の中のためになって「ありがとう」と言ってお金がもらえて、それがずっと続くみたいなのができたらいいな。というふうに思っています。

3つ目が、「一人一人の可能性をもっと世の中に!」ということで、頑張っている人とか、専門性のある人たちが活躍する場所を創って、そこから花開いていくのを応援するのが好きです。

4つ目が、「幸せな個人や組織を増やす仕組みづくり」ということで、SUUMOでも組織づくりを担当して、その後にリクルート全体のエンジニアの組織づくりにも関わったり、弦本ビルでも起業家や副業家のコミュニティをつくってきたんですけれども、働きやすい環境やコミュニティをつくるのに興味をもって、この4つをテーマに掲げています。

お客さんの気持ちを理解するために、まず自分がお客さんになってみる

弦本 リクルートはSUUMOですね。あの、緑のもふもふした不動産のメディアで、家探しをする時によく使われるサイトなんですけど、2011年の4月に新卒でネット採用という、IT系の採用で入り12年間、働いていました。

弦本さんのリクルートでの仕事内容

当時は企画を作るために、家を買う人の気持ちが分からなかったので、ひたすら家を買ったり売ったりしているカスタマーにインタビューをしたり、不動産会社に行って、クライアントさんに「どういう業務しているのか?」といったヒアリングをしたんですけど、全然イメージができなかったんです。

そこで、営業同行で企業訪問した帰りにSUUMOの営業の先輩に「いやー、これではいい企画が作れないかもしれないです」「家を買う人や売る人のリアリティがわからないので」と相談したら、「いやお前何を言っているんだ。簡単だよ、買えばいいんだよ」って言われて

細野 いやまた、リクルートっぽいこのね、乱暴なアドバイス。

弦本 それで実際にその2ヶ月後に家を買うみたいなことをやって、その後も売却のプロジェクトにアサインされたので売ったりとかしてきて、筋のいい企画を立てられるようになってきたんです。まわりの人も話を聞いてくれるようになったし、起案も通りやすくなったりして、すごくいい経験になりました。

そして、次の新しい暮らし方を探したいなと思っていて、そんな時に戸建てを買って売ってとした時の仲介会社さんから声をかけてもらって、ビルと出合いました。

細野 ビルと出合いましたってサラっと言っている。

可能性のある人や場所をつないで、可能性を引き出し合う

弦本:まず、弦本ビルの話の前に、副業や起業では大きく6つぐらいやってきたのがあるので紹介します。テーマとしては「人と場所の可能性を活かす場づくり」というのを掲げています。

人や場所をつなぐことで可能性を活かし合う「場づくり」

大きく3つのアプローチをしていて、最初に何か可能性のある、あるいは困っている課題のある場所や人の気持ちになって、「これ、なんかもったいないな」に気付いたり「こうしたらいいのに」というのをまず見つけに行きます。

その一方で、また別の何か可能性や課題のある人や場所を見つけて、その気持ちになりきっていきます。こうした複数のものがあって初めてそれらを組み合わせることによって、双方の可能性を引き出し合うみたいなかたちで、「三方よし」になる仕組みを考えて場づくりをやってきました。

弦本さんが人や場所の可能性を活かす場づくりとして活動してきた事例

例えば、少し寂れたレストランとかでピアノがあるけど弾かれていない、みたいな所を見つけて、そこを借りて音楽を勉強していてピアノ弾きたいとか歌を歌いたいという音大生が演奏するピアノのイベントを開催したり。

あとは「高専ベンチャー」の例では、地方の情報系の高専生の方々が結構「ロボットを作りたい」とか「ゲームを作りたい」みたいなモチベーションで地方にいるんですけど、自分のスキルをもとに就職するという選択肢が少なく、対して都内のIT企業はあまりエンジニアリングに関係ない人を採用したりしていたので、うまく地方の学生さんと東京のIT企業をつなぐというのをやっていました。

共通してるのは可能性があるとか困っている人と、また別のところを見つけて、それらを両方組み合わせてお互いがハッピーになる、みたいなことをやってきました。

人に会いまくり本人に憑依することで可能性と課題を仕入れる

細野 質問が来ているんですけど、この困っている人と困っている場所の組み合わせが、湯水のように湧き出てきているんですけど、これはどうやって出会ってどうやって気づいたんですか?何をしたらこんなに気付けるのかという質問ですね。

弦本 はい、質問いただきありがとうございます。僕の場合はもうただひたすら人に会って、現場を見たり話を聞いていくのを繰り返した感じですね。

細野 だから、自分に近しい領域の人だけつるんでいるんではなくって、自分と違う領域の人と個別に話して、何か困っているのかなとか、色々話を聞くうちにそれに困っているんだ、みたいな情報をバンバン仕入れるっていう生活スタイルになっていないと、ビジネスサイドを思いつきませんというひとつの教訓だな。今日1個目の教訓でございます。

弦本 高専生にも100人ぐらいに会って、僕は高専出身ではないのに、高専の話をすると「なんでそんなに詳しいの?高専生?」みたいに言われたりします。結構、解像度高く本人になりきるというか、憑依するぐらいにいろんな人と会っています。

27歳でビルを購入し、20代が集まる秘密基地へ

弦本ビルとの出合いは、不動産売買の営業の方から「弦本さん、面白いビルがあるんですけど、買いませんか?」と声をかけてもらって。その方が言うには、「弦本は短期間で売買するから仲介手数料も稼げるし、不動産を買う人にはお金お金してる人が多いけど、この人は活用をして面白いな」と思ってくれて、紹介してくれました
たしかに僕は、戸建てを買った時にも就活をコンセプトにした場所にしたり、活用していました。

ビルは千代田区の神田錦町という場所で、神保町駅と竹橋駅の間にあります。建物自体は当時すでに古く、築36年のビルでした。

もとは築36年の中古ビルだった「弦本ビル」

このビルは、食べる場所が1階にあって、住む場所が4階と5階にあって、働く場所が2階と3階にあり、「食べる・住む・働く」が1つになって、コンパクトにまとまってることが面白さなんじゃないかと思いました。

各階にシナジーを生んで、食べる場所、住む場所、働く場所が1つになったビルにしたいなと思って買いました。

当時は27歳だったので、20代のたまる秘密基地みたいな場所にしたいと思っていて、契約から引き渡しまでに、いろんな最先端の面白い場所を見て回りました。

「弦本ビル」購入直後の月々の支払金額

そして、夢が膨らみました。同時にあることに気づきました。当たり前なんですけど、買ったら全部が空室になるので、人がいなくなってしまいます。契約後、引き渡しまでの1ヶ月間ほどの猶予で。
月々の支払いを見ると、ローンでだいたい40万円ぐらい、そして借地権という、土地を賃貸で借りる形式だったんですが、毎月その賃料が20万円ぐらいかかります。なので、毎月60万円ぐらいを払います。
これに加えて修繕費なんかも考えたら、リクルートの収入で考えても返済は大丈夫かな、みたいなのを感じました。

細野 感じました。買った後に感じました。

時間をつくってとにかく人に会いまくる

弦本 ここで印象に残ったエピソードを2つご紹介します。

1つ目がですね、入居者の募集にあたり、まずは会社の先輩でミナコさんという方がいたので、「ビルを買うんで、スナックミナコをやりませんか?」みたいな提案をしました。「面白いね!」とは言ってくれるんだけど、借りてはくれないっていう。まぁ、当たり前なんですけど。

そこで「じゃあ借りてくれそうな人を紹介してください」と言って、「この人は?」と紹介してもらったら、その人に会いに行っていきなり「初めまして!ビルを買うんですけど借りてください!」と。

細野 だいぶ頭おかしいやつ。

弦本 そうですね。そうやって、紹介の紹介の紹介の紹介で、やっと「借ります!」という人に巡り合って、その後も長くご一緒にできたのでよかったんですけど、いい人と出会うことができました。

皆さんへ共有するナレッジとしては、とにかく会いまくるということです。
1ヶ月間、リクルートで働きながらお昼休みの時間に、ちょうどリクルートがある東京駅から10分ぐらいの場所なので、行って案内をして1階でご飯食べて話して、また会社に戻る、みたいな。

細野 内見をずっとやるみたいなね、ランチ時間に。

弦本 ランチ時間に内見してもらい、また夜に行って案内してみたいな感じで会いまくっていました。

契約はとにかく急ぐ

ノリと勢いを活かしスピード契約し、弦本ビルは全室満室へ

弦本 2つ目がスキャンマンさんという、ベンチャー企業さんとの契約です。

これはちょうど、3月31日に購入して翌々日の4月2日に、結構人を呼んで「こんなビルを買いました」というお披露目パーティーをやったんです。そこにたまたまベンチャーキャピタルを個人でやられてる方に来ていただいて。

その後、「うちの投資先の企業がオフィスを探しているんだけど、あの場所使える?」と連絡をくださったので、1時間後には住所と写真を送って、契約書のタタキを送って、2時間半後には契約書ができて。

細野 そうだよね、もうやばいもんね。早く埋めないと。

弦本 そうなんです。その日はもう深夜遅かったので、翌日に印鑑を押しましょうという話になり、次の日には契約をしました。

ここでのナレッジとしては、とにかくスピードが大事ということ。相手の方もすごいスピード感で考えてくださったし、僕もすぐ対応できたのでよかったです。

結果的に、物件の引き渡しから1週間後にはもう全部満室になって。

細野 漫画みたいな話だな。

弦本 助かったな、ということで。もともとはもし空室が3ヶ月ぐらい続いたら赤字になってまずいかもと思っていたんですが、いろんな方に助けてもらってきました。ここまでが始めるまでの話ですね。
そして、ここからが活用していった話になるんですけど。

誰でもイベントを開催できる仕組みで、気軽に挑戦しやりたいことを実現できる場へ

弦本ビル2階はコワーキング兼イベントスペースへ

細野 活用編。

弦本 27歳で買ったので、20代のたまり場にしたいと思っていました。一緒にやったのは1つ下の世代の1988年生まれの人たちでした。「88会」という活動をして飲み会などをしていたんだけど、飲んでいて「一緒に仕事しよう」「コラボしよう」という話にはなるんだけど、翌朝にはそれを忘れて電車に揺られて普通の会社員をしている、みたいな人たちで。そういう集まりに課題を感じて、拠点を作って集まれる場所にしないと根付かないんだなと感じていた人たちがいました。
そんな彼らに2階を借りてもらって、「TOKYO PRODUCERS HOUSE」(プロハ)という場所を始めました。

プロデューサーたちが集まる場所というコンセプトで、コワーキングスペース兼イベントスペースとして展開しました。月に1万円でワーク会員として来て仕事ができるのと、月に2万円で月に3回イベントができる、というプランです。

細野 主催できるってことね、イベントをね。

弦本 そうですね、イベントを主催してもらって。そこで参加費を回収して黒字にしてくださいという仕組みでした。
そしていろんな人たちに来てもらって、いろんな会社の登記もしてもらって。僕がオーナーなので審査はゆるくて余裕なんですけど、「登記したい」って言われたら面談と少しだけ審査をしてOKを出して。いろんな会社に登記してもらって、楽しく活動しました。

毎回イベントがあって、1つのイベントに来て「また来ようかな」と思った時に、イベントボードで他のイベントが見られるようにしていて。こうして、弦本ビルは社会人若手や学生さんが中心のビルになり、自分のやりたいことを実現する場所になりました。

当初は全財産を投入して買ったんですが、可能性を引き出しあって、応援しあって。特にシェアハウスでは家族みたいなコミュニティができて、本当に世界で一番面白いイケてる人たちが出入りする場所になったんじゃないかなと、個人的には思っています。

入居者も自分たちでDIYを行い、みんなが愛着を持てる場所に

弦本ビルの建物としての進化

そして、入居者とともに建物も進化しました。最初の図面が左側なんですが、右が最後に売った時の図面になっています。

弦本ビル購入時の2階の様子
弦本ビル活用時の2階の様子

当初、2階は生活感があふれる感じだったんですが、東京工業大学で建築を勉強している学生さんがみんなの意見を聞きながら「こういう場所にしよう」とみんなで話して、入居者みんなでDIYをして、壁を塗ったりとか、天井を剥がしたりとかして、こういうスペースになりました。

これも普通にリノベーションの会社さんに頼んだら、500万円とかがかかると思います。でも、入居者が2週間ほどでやってくれて、僕も手出しはなかったし、入居しながらだったので家賃も入ってきて。なんなら天井に金属がたくさん入っていて、それを売ったら30万円ぐらいになって、DIYしたのにお金が入るという感じでした。

細野 そんなこと、あるかい。

弦本 そして何よりDIYをすることによって、入居者にとっても愛着が湧いて。「自分が参加して、その一部を作った」みたいな気持ちから、オーナーだけのビルではなく、みんなの場所になったなと実感しました。

弦本ビルは「食べる・住む・働く」が一体となったビルに

3階から5階もそれぞれリノベーションして、「食べる・住む・働く」が一体となったビルになりました。
実際に、5階に住んでいて2階で打ち合わせして、1階でご飯を食べて、3階で仕事をして、4階でシャワーを浴びて寝るみたいな、ビルの中だけで完結するケースも生まれて、当初想定していた各階のシナジーもたくさん生まれました。

気軽に会いにこれる仕掛けをつくる

そして、メディアにも取り上げていただきました。特に『週刊ビル経営』という、ビル業界専門の新聞にたくさん載せていただきました。

細野 しらんがな!週刊なのか。

弦本 そうなんですよ、何かがあるたびに取材してくださって。

細野 面白い。

弦本 他にも『家主と地主』さんや、『週刊CHINTAI』もですね、88世代の暮らし方というテーマで取り上げてくださったり、地元の地域雑誌だったり、『賃貸住宅新聞』や『日経新聞』にも出ましたね。『日経新聞』では「新世代大家さん」として弦本のことも紹介していただきました。

入居者のインタビューを中心とした書籍『プロハ夢手帳』を出版

自分たちでも、入居者を紹介する本を作りたいと思って、インタビューブックを作りました。これはKADOKAWA社の出身の人がいて、独立してメディアをやっていたんですが、彼が「本、作れるよ」って言ってくれて、一緒に作りました。1冊2,000円なんですが、イベントに参加してテンションが上がってお土産で買っていく、みたいな。

イベントに参加したらこの本に載っている12人の内の1人と仲良くなって、そこで勢いで買っていく感じです。こうやって売れるのかとKADOKAWAの人も驚いていました。

細野 映画のパンフレットみたいな感じね。

弦本 この本は「読む・書く・会いに行く」がテーマで、この本を読んで活動を知って、自分のやりたいことをワークブックに書いて、そしてこの本を持ってこの人たちにもう一度会いにビルに来るというコンセプトで、リピートして交流してもらう、みたいな仕掛けで作りました。

皆が取り繕わない「本当の自分」でいるから、半歩先の先輩から刺激をもらえる

弦本 入居者もすごいたくさん成果を上げてくれていて。これは僕の成果では全くないんですけど。
当初、ビルに来た時は全然、何者でもなかった人たちが、例えば無人島事業として大きな成果を上げたりとか、社会起業家としてシングルマザー向けのシェアハウスを今5棟ぐらい作って管理している人とかも、活躍していたり。

あとは、仕事だけでなく、プライベートもですね。

深く相談しあって本当の友達や婚約者ができたとか、なんなら義理の兄弟になったという例もありました。入居者が結婚した相手の妹さんを、別の入居者に紹介して、そこも結婚して。
シェアハウスの「仮の家族」から「本当の家族」になったみたいな。仕事もプライベートも充実される方も出てきて、すごい良かったなと思います。

ハードとソフト、建物とコミュニティで、仲間と繋がって挑戦して、「自分の可能性に気づき実現できる」みたいな場所ができたなと思っています。

こうして8年間、素敵な仲間に恵まれていろいろと活動してきたんですが、さきほど少しお話ししたように、売却ということで今年の3月に一つの区切りを迎えました。

弦本ビルでの8年間の想い出

細野 ここで質問がきていまして「生活基盤を一緒にする」「釜の飯を一緒に食べる」ことでしか得られないことはなんでしょう?
つまりFukusenは一緒の釜めしを食えないわけですよ。家族と飯を食わなきゃいけないから。それを見て今弦本さんが当時の自分たちと今のこういうFukusenみたいな状況を見た時のギャップみたいなものを素直に話していただくのがいいかなと思うんですけど。

弦本 ありがとうございます。一緒に住んでることで、本当の自分になれるんですよね。虚勢を張ったり「自分はこれができるんだぜ」みたいなのを言うのは簡単ですけど、取り繕えないぐらい一緒にいるから、「無理してしまっているのもあなたなんだね」みたいな感じで。

取り繕わずにいられる関係で、お互いに本音を言えるし、もう「お金がなくてまずい」とかもそうだし、近くで毎晩夜遅くまで働いているの見たりして、頑張っているのも見ているからこそ生まれる関係があるんじゃないかと思います。

細野 人と人が仲良くなるとかって意味で言うとね、住むっていうのはすごく大きいと思うんですけど、起業家を輩出するという意味でって限定した時に、寝食を共にしてるって言うのは、どういう影響がありそうですかっていうのを、ちょっと教えてもらえると。

弦本 起業家の先輩が近くにいて、自分の少し先を行っていると、そのすべてが見えるから、自分も頑張ろうと思えるというのもあると思います。
今の僕でも、当時の自分たちのような起業家たちから見ると雲の上の人になりつつあるんですが、半歩先というか、自分に近しい人がいて24時間365日の生活を垣間見れることで、その人の人生をすぐ近くで追体験できて、刺激になって目標にできるのではないかなって。

リスクをとってまた新しいチャレンジに飛び込む

弦本ビルの8年間の収支

細野 これは凄いよ。これを公表してくれるとか素晴らしいなと思って。

弦本 そうですね、皆さん気になるところかなと思ったので、家賃収入と売買した金額とで、収入がどのくらいだったのかを出してみました。
入居率が100%の年もあり「お化けビル」という感じではありますが、コンセプトがあり人が集まり、お金の面でもうまくいったのではないかと思います。

Fukusenでは、副業で年商1,000万円ぐらいのでスモールグッドビジネスをつくるのをテーマにしていると思うんですが、僕も8年間で1億円以上の家賃収入を生み、当初7,400万円で買った物件が値上がりして1億2000万円で売れたので、ある程度の売上にいきました。

もちろん、その分税金もたくさん取られるので全部が利益ではないですし、銀行への支払いや地代、修繕費や火災保険料や手数料など、いろんな費用もかかっています。

普通のビルオーナーと違って、僕自身もたくさん通って交流を楽しんできたので、それを工数と捉えて金額換算すると寂しいですが、いろいろと時間をかけてきたからこそできた結果でもあります。

「食べる、住む、働く、遊ぶ、学ぶ、休む」
が一体となる『新・弦本ビルPJ』

弦本 では、これからやりたいことですね。僕の人生のテーマはもうずっと変わらなくて。

繰り返しになりますが、「恩送り」とか「三方よし」とか「一人一人の可能性をもっと世の中に!」というのと、幸せな個人や組織を増やしていきたいなと思ってます。

日本や世界とつながり、最先端の働き方や暮らし方ができる場所へ

「一人ひとりの可能性もっと世の中に!」というのをより実現していく場所として、悩みや企画を持ち込んで来たら手伝ってくれる人がいて、やりたいことが明確になり実現できる場所で、最先端の働き方や暮らし方を体現できるコミュニティがあって、そして東京とローカル、東京とグローバルをつなぐハブとなる場所を作りたいなと思っています。

『新・弦本ビル』構想

そこで、「夢はでっかく」ということで、まずは絵を描いてもらったんですが、次のビルは7階建てと地下1階ぐらいのサイズがいいなというのを、デザイナーさんと話して妄想で描いてもらいました。

これは「食べる」「住む」「働く」と「遊ぶ」「学ぶ」「休む」が一体になっていて、シェアを中心としたビルです。

これからは、大企業で定年まで働く時代から、徐々にプロジェクト単位で集まる、いわゆる「ジョブ型」ですかね、案件ごとにスペシャリストが集まってくる働き方になっていくと思ってます。プロフェッショナルな人たちが集まって、みんなでプロジェクトを立ち上げていけるような、「小さなリクルート」のようなイメージの場所を作りたいなと思っています。

やりたいことの発見から 企画・検証・運営までを支援して、それから子供から大人までが幅広く学べる場所にしたいなと考えてます。

仲間も募集中!

「新・弦本ビル」実現に向けて一緒にワクワクする仲間を大募集!

そして最後に大募集なのですが、今日の話を聞いてワクワクしてくださった方がいたら、ぜひ仲間や協力者の方を募集してます。アイデアもあれば、ぜひディスカッションさせていただければと思います。

なんなら「このビルあるよ」とか「ビルや土地を持っているよ」みたいなのがあれば全然、ありがたく活用しますので募集させていただければと思っています。

ちょっと長くなってしまいましたが、以上です。
ご清聴ありがとうございました!

簡単でも相手のメリットが詰まった提案は「NO」を言う隙がない

質問者 もし可能であれば、仲間探しの時に「企画書を見せて」みたいなお話をされてたと思うんですけど、その時にどんなクオリティのとかどんな内容の企画書を出されるのかなっていうのを。

弦本 全然、企画書とかもそんなに得意ではないんですけど、細野さんに渡してびっくりされたのも、ペライチで書いていて。でも、きちんとアウトプットするみたいなのは意識しているかもしれないですね。あとはスピードが大事で、会ったその日の夜に送ったり、夜に飲んだら翌朝に送ったりしています。

質問者 クオリティがどうのとかいう話ではなく、きちんと言葉に表してそれを文書でも伝えるというところを意識されているということですね。

細野 ただ僕がその企画書を見た時に、やっぱすげーなと思ったのは、8:2くらいでこっちのメリットを訴えてくれるんですよ。もうだからもうNOがないっていうかの、NOを言う隙がないっていうか。

多分、僕がどういうことをしたいかとか、Fukusenで何をしたいかとか、動画も40本観ているんですよ。それは細野が何したいかを多分今ここにいる誰よりも知ってくれているっていう感覚があるぐらい、狂ったように観てくれて。それで「何がしたい」「だから一緒にこれやるとFukusenにとってもこういうメリットがあると思うんですけど」ってのを、必ず文字だろうが何だろうが入れてくれてるって感じるのがめちゃくちゃ大事だなっていうふうに、巻き込まれた側からすると思う。

「ロマン」と「そろばん」の両面を考えてやりたいことを継続していく

質問者:弦本さんが副業っていうところを選びながらリクルートとの仕事を続けられてた理由だったりとか、あえてこういったことがあったから、みたいなところがあれば教えてもらえたら嬉しいです。

細野 どう考えても副業のボリュームじゃないこれを、副業でやり切ったのは何なんだと。リクルートを辞めちまってもいいじゃねえか別にと。

弦本 そうですね。そこはやっぱりリクルートも大好きで、ビジネスも考え方もすべてを育ててもらったと思うので、ちゃんと恩返しして辞めたいなと思ってました。それで新人や中途入社者の受け入れや定着の仕組みづくりにも力を入れていました。

それと、大企業で学べることと自分でイチからビジネス立ち上げて学べることは全くの別物で、リクルートの経営者の方々と一緒に組織運営してきた中で、彼らの考え方もすごい勉強になったし、ビジネスの仕方や経営の考え方は自分の会社に持っていくとができましたし、一方で自分のやりたいことやゼロからイチ立ち上げることは自分の会社の方が主体的にできるから、そのマインドをリクルートでの仕事の方にに持っていって。両方があることによって活かし合えることがたくさんあって、長く続けてきたかなって思います。

「ロマン」と「そろばん」を両立してうまくやっていくのもいいと思っています。

今回リクルートを辞めたのも、色々と副業や起業をやってきて、弦本ビルを売却して1億6000万円ぐらいのキャッシュが今、手元にあるんですけど、それならまだリスクが取れるなみたいな。

もともと36歳からはそういったかたちでチャレンジしようと考えていました。投資でいう「現代ポートフォリオ理論」※みたいな感じです。債券と株式を両方混ぜておく方が、リスクとリターンで考えるとリターンが高くなるみたいな。ちょっとすみません、意外と戦略的で。そういうゲンキンな側面も持ちつつ、両面で考えていますね。ロマン面とそろばん面とで。

※現代ポートフォリオ理論:金融資産への投資比率を決定する理論。 リスクを抑えながら一定のリターンを得るためには、多数の銘柄や複数の資産に分散して投資することが有効であると示したもの

リスクとリターンを考えて、今回は資産を持ちながら独立するというポートフォリオを選びましたが、会社員時代から本業をやりながら副業をしていたのも、リスクとリターンのバランスを意識していました。

コミュニティ運営のコツは、最初のメンバー選び

細野 質問が来ていまして、コミュニティをつくる上で大事にしてること。
なんか難しいよね、弦本さん的に当たり前にやってることだと語りにくいと思うんですが、人に言われたりとか入居者から言われたりするなかで、コミュニティで大事だなって思ったことをちょっと語ってもらえると。

弦本 ありがとうございます。そうですねコミュニティをつくる上で大事にしているのは、最初の1人目2人目のメンバーはすごく大事にしていますね。一緒にやる人の色がついて、その人たちに似た人たちが集まってくるので。

最初の弦本ビルも100人に会って見つけたという感じだったし、高専ベンチャーを引き継いだのも、お互いに副業でよく手伝ってくれていたリクルートの同期がいて。彼だったら大丈夫だなと思って会社を渡しましたが、最初のメンバーを選ぶのはすごく大切だなって思いますね。

細野 色がついてくるよね。そこで轍ができて。

ありがとうございます。いやーすごい、もう映画を1本見終わったような重厚な人生を味合わせていただきました!

皆さん、素晴らしい話をしてくれた弦本さんに拍手をお送りください。

手触り感のあるビジネスがしたい、副業で年商1000万稼ぎたい、ビジネスは最初の一回しが大変…その全てを、Fukusenがサポートします

2023年8月のFukusen LIVEの模様をダイジェスト版でお届けしました。実際のお話は具体例に溢れ、よりリアルで濃密!驚きや学びがたくさんありました。このLIVE映像をご覧になりたい方は、30日無料のFukusenファームにご登録ください。

Fukusenファームでは「手触り感のあるビジネスがしたい」「副業で年商1000万稼ぎたい」「ビジネスは最初の一回しが大変」…。こんな思いを抱えている方に向けて、スモールグッドビジネスの立ち上げサポートをしています。ビジネスの種を着想するための基礎講座や、立ち上げ期の迷いを壁打ちする、ビジネスデザイナーによるサポート体制も充実しています。弦本さんのようにスモールグッドビジネスを立ち上げたい方は是非、30日無料のFukusenファームにご登録ください。

いいなと思ったら応援しよう!