【5分物語】おはよう‥神様。
趣味でかきました。
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【おはよう‥神様。】
「たくましくなったね!」
「きれいになったね!」
「スーツすがたウケる!」
2030年1月14日(月)。
成人式を終え、
ある中学校の旧同級生が集まり
同窓会パーティーが開催されていた。
パーティーの参加者は、
少し背伸びしたきらびやかな男女が2割。
ただ整った格好の男女が6割。
下手くそにネクタイを結んだような男女が2割。
その中に、
黒い革靴に茶色のベルトを合わせた
スーツ姿の男性Mがいた。
前日のこと。
■ 2030年1月13日(日)
Mは女の子としゃべるのが苦手だった。
小学校の頃は意識せず会話できていたが、
中学1年生くらいから意識してしまい、
男としか喋らなくなっていった。
そして、高校を卒業してからは、
女の子と話す機会がめっきりなくなり、
20歳に至った。
M自身、冷静に考えてみれば、
女の子と話すくらい
大したことではないと分かっているのに、
女の子をめのまえにすると
頭が真っ白になってしまうタイプだった。
「彼女いない歴=年齢」だ。
そんなMにとって、
この同窓会パーティーは女の子と
なかよくなるための、
滅多にない挑戦の場であった。
しかし、同窓会前日にMは考えた。
「中学校から今まで、
まったく女の子と接する
機会がなかった自分が、
いきなり同窓会で女の子と話せるわけがない」
問題を解決するため、
満タンのスマホの電池が10%になるまで、
スマホをスクロールし続け、
コミュニケーションについて調べた。
すると、「魔法のイヤホン」という、
アプリをみつけた。
このアプリは、
オリジナルの超小型骨伝導イヤホンを
耳の裏側に装着して利用する。
スマホを通じて、
その場の会話の状況を
高性能AIがリアルタイムで分析。
そして、次に自分がどう振る舞えば
相手が喜ぶかを、
AIがイヤホンを通じて
教えてくれる というアプリだ。
藁にもすがる想いで、
直ぐにアプリとイヤホンを手に入れた。
1日が経つ。
■ 2030年1月14日(月)
当日使ってみると、
Mはアプリの性能に驚いた。
「どのタイミングでどう話しかけたらいいか?」
「自分について何を喋ったら良いか?」
「どの程度聞き役に徹して、いつ相槌をうつべきか?」など、すべてこっそり教えてくれた。
その結果、
綺麗なドレスを着こなす女の子も、
陽キャな男さえも、
驚くほど喜んでくれた。
M自身、きらびやかな男女に対して、
「決して仲良くなることはない」と
毛嫌いしていたが、
心の中では憧れていた。
そんな人々と対等になかよく喋れたことは、
Mの心を満たした。
そして、10年が経つ。
■ 2040年1月13日(金)
Mは毎日魔法のイヤホンを利用し続けた。
10年の間に、3人の女性と付き合い、
今年に入ってすぐに最愛の女性Wと結婚した。
黒髪ロングでかわいらしい顔立ち。
M好みの料理を作ってくれる、
5歳歳下の女性だ。
一方で、恋愛に限らず、
Mが起業した会社も魔法のイヤホンの
アドバイスのおかげで好調だった。
アプリの精度はこの10年で
どんどん上がっていき、
もはやどんな場に行っても、
Mは良好な人間関係を築くことできた。
更に更に一方で、
社会にも変化が起きていた。
いじめ、殺人事件、そして戦争など、
あらゆる社会問題が解消されていったのだ。
そんな、M自身も世界も好調な朝のこと。
Mが起きて台所に行くと、
最愛の妻Wは朝ごはんをつくっていた。
Mは魔法のアプリの指示に従い、
Wを後ろから「おはよう」と甘く抱きしめた。
すると、Mは妻の耳の後ろに、
見覚えがある小さい物体を見つけた。
end
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「おもしろかった」
「おうえんするよ」ってひとは
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