見出し画像

グループでの話し合い

小・中学校では、「主体的・対話的で深い学び」をめざして授業の中に「グループによる話し合い」を意識的に取り入れています。
この手法は、個々の学びを深めるだけでなく、そのプロセスにおいて、「チームで働く力(発信力・傾聴力・柔軟性・情況把握力・規律性・ストレスコントロール力)」も育成することにもなり、これまでの「インプット型の授業」を改善していく際の大切な手法のひとつとされてきています。各校でも、その実践が積み上げられ、その効果やよさ、活動を通じてつちかわれる力などについて、わざわざこの記事に記載する必要もないでしょう。

「人生100年時代の社会人基礎力」として経済産業省が示したもの

ところが、実際に授業を参観する中で、
この「グループによる話し合い」のさせ方にいろいろな課題が見られます。

その課題の中でも、最も立ち止まって考えたいものは、「グループによる話し合い」の形骸化についてです。
くわしく言えば、授業の中に「グループによる話し合い」の機会を設定しさえすればばよい、その時間をとることで対話的な学びをさせた気になっているという授業が増えているのではないかということです。
グループによるその話し合いは、この授業において本当に必要ですか?」「なんでもかんでも話し合いの形にしていませんか?」「学習の上滑りをおこしてはいませんか?」ということです。そろそろその吟味をしなければなりません。

授業において「グループによる話し合い」が効果を上げるためには、指導者は次の8点に配慮しなければなりません。

・学級の中に受容的な人間関係が息づいていること、息づかせようとしていること
・話し合いの進め方やグループ内の役割分担について、事前に申し合わせやトレーニングがされていること
・話し合いのテーマ・課題が明確であり、そのテーマ・課題がもつ値打ちを学習者自身が理解している(させている)こと
・そのテーマ・課題自体が、多様性・多面性を内包するものであること
・無理なく議論ができるよう、話し合いの所要時間が十分に設定されていこと
・話し合いさせっぱなしにせず、議論した成果をグループとして学級全体にアウトプットできる時間が保障されていること
・話し合いの充実が学びを深めていくのだという実感を、指導者からの評価などによって子らが積み上げていること
・それぞれのグループ内で、子がどんな臨み方・発言をしているかを見て取ろうとする構え (その都度、対象とする子を数人選定し、意図的に計画的に見て取ろう、評価しようとする構え) が指導者には必要であること

上記のことから考えると、「グループによる話し合い」には、それなりの時間がいり、指導者にとってもそれなりの準備や腹構えが必要であるということです。

「じゃあ、今日もグルーブになって話し合いましょう……」

この時間を、
子らへのマンネリ化した丸投げの時間にしてはなりません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?