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車の中で絶対に屁をこいてないのに、なんかクサクね? となった時の対処法。

「屁」という名詞のあとには「こく」という動詞がつく。

「こく」という動詞は「屁」と「ウソ」のあとにしかつかないんじゃないかな、と思ったり。そう思って、そもそもの語句の意味を調べてみると、以下であった。


-こく

1.言う。あまり良い意味で使われる事は少なく、主として蔑みや自嘲、批判の際に用いられる事が多い。

-嘘こく(嘘を言う)。バカこく(バカなことを言う)。(方言)じょっぱりこく(強がりを言う)


2.する。何らかの動作を行う。そのような結果になる。

-屁をこく。調子こく(調子に乗る)。失礼こく。大損こく。いい年こく。(方言)びっくらこく(驚く)。

なるほどね。




先日、仕事で北海道のとある町に行った。

車で行ったのだが、私は助手席。
運転席には私の会社の代表が座る。

彼と私は高校の同級生同士だ。



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私たちは普段、別々に行動しているが、この日は2人で行動していた。高校の同級生といえど、芯を食って仲がいいわけではない。

同じビジョンを持って行動しているが、あくまでもビジネスパートナーである。仲はいいけどね。





仕事を終えた帰り道、車の中でのことだった。

札幌から車で約1時間半の町での仕事を終え、車内ではその案件をどのように進めていくか、今後はどんな事業をおこなっていくか、静かにお互いの考えを話し合う。


「あんなことができたらいいな」

「そのためにはこうしていかないとダメだな」

「にしても疲れたにょ」


静かなトーンである。そういえば、いつも車の中では音楽もラジオもかかっていないな。

時に静かに話し合い、時にくだらない話で笑い合い、そして時に黙り合う。車は札幌に向かって、高速道路をブコブコ進んでいく。





数分ほどお互いに黙っていると、
車内に異臭が立ち込めた。


私の鼻腔を刺激する異臭。


屁だ。


へ。



屁のにおいがする。


これはきっとどなたでもご経験がおありだろう。



絶対に自分由来ではない屁のにおい。


車の中で。


少なくとも私は屁をこいていないし、
運転席の彼も屁をこいていないと思う。


後部座席にだれかがいるのか? 

いや、いない。

いたら言うよ。

「だれですか?」


第一、2人きりの車内で、すかしっぺをこくはずがない。この動く個室が屁くさくなる未来がわかっているからだ。


ごくたまにある、車内の屁のにおい。


これは、車の排気ガスに含まれる硫黄成分に由来している。と、どこかで読んだことがある。つまり、車から発生しているニオイなのだ。車由来のニオイなのである。



このにおいを感じた私は、運転席の彼に向かって特に何を言うでもなかった。彼も何も言ってこない。お互いに「ん、屁のにおいがするなぁ」と思っているのみである。

気まずい沈黙だ。



この日の私は黙っているだけだったが、このエッセイを書いたいま、もしも同じことが起きたら?


つまり、絶対にお互いのどちらでもないのに、屁のにおいが車内に立ち込めたら。


私はきっとこう言う。



「ん、くせーな。さては車が屁をこいたな?」


〈あとがき〉
微妙な間柄の人と車に乗っていて、この屁のにおいがしたときの絶望感たるや。絶対自分ではないし、かといって相手であるはずもなし。じゃあこのにおいはどこ由来なの? と思って調べたら車由来でした。誰も悪くないんですよね。最後までありがとうございました。

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