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鳥山明のお金の単位。
鳥山明が亡くなってもう何日も経つけど、改めてドラゴンボールを見てみると、やっぱりおもしろい。私がこうしてわざわざ書かなくたって、それは世界が認めているところなんだけど。
鳥山明のネーミングセンスがすごい、という記事は過去に書いたことがある。ベジータ、ピッコロ、フリーザ、ブルマ、ビビディ、バビディ、ブウ。単純な名前なのにそこに違和感がない。
大人になったいま、鳥山明のすごさを改めて感じている毎日なんだけど、ちょっと考えてみるともっと凄みを感じるセンスがある。
「ゼニー」である。
鳥山明がドラゴンボールの作中で作った単語の中でも、特に「ゼニー」という言葉は群を抜いてすごいのではないか、と思うのだ。
ゼニーというのは、ドラゴンボール世界の中の通貨の単位だ。たぶん日本語の「銭」をもじっている。いや「ゼニー」の場合、もじってすらない。ただ伸ばしているだけ。これがすごい。
作品と現実世界の区別。それからリアリティを感じさせるために鳥山明は通貨を「ゼニー」と名付けた。
これってすごいことだと思う。なにがすごいのかを具体的に語れない私の言語野がうらめしいんだけど。
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「円」でも「ドル」でもない「ゼニー」だ。キャラクターの名前や街の名前、架空の会社の名前をきちんと違和感なくつける漫画家はたくさんいる。だけれど、この「お金」にまでこだわっている漫画家となると少数派になる。
ONE PIECEの尾田栄一郎氏は、ドラゴンボールから影響を受けていることを公言しているから、そのへんキチンとしている。
ONE PIECEに登場する通貨の単位は「ベリー」だ。これも見事であると思う。それから思い浮かぶところでいうと、ハンターハンターの世界の通貨単位は「ジェニー」だった気がする。それからゲームのドラゴンクエストだと「ゴールド」だ。
ベリー、ジェニー、ゴールド。
どれもわかりやすい。
わかりやすいんだけど、鳥山明の「ゼニー」というクソシンプルかつ由来もわかりやすい、そういうセンスにはどれも肉薄していない。
ゼニーは群を抜いている。
とにかく世界は惜しい人を亡くしてしまった。
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〈あとがき〉
世界の鳥山明ファンがそうであったように、彼の訃報を聞いたときの私は3日間くらいかな、なんだかいい知れぬ虚無感みたいなものがありました。改めてドラゴンボールを読んでみると、特にナメック星編のハラハラ感や物語としての完成度、なによりあの絵。ほんとすごいなぁと思います。今日も最後までありがとうございました。
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