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7. そのトルクレンチの差替えヘッド。実はトルクの計算が必要かも?

梅雨は一体どこへ行ってしまったんだろう…というほどのお天気に恵まれている東大阪です。
早いものでnoteの更新も8回目となりました~!
もうトルクレンチネタはお腹いっぱいですか?まだ飽きていませんか?
(もう少しお付き合いください!)
今日は「標準以外のヘッドを使った時のトルクの計算方法」についてお話します!
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トルクの計算が必要なのはどんな時?

スタビレーのトルクレンチはラチェット式、スパナ型、メガネ型など様々なヘッドを差替えられることが大きな特徴の1つです!
1本のトルクレンチで、用途に合わせてヘッドを替えることができます。
ただし、トルクレンチは支点・力点・作用点長さが変わると実際の締め付けトルクがずれてしまうため、標準ヘッド以外の差替えヘッドを使用する場合はトルクの計算が必要です。
(「トルクの計算」とは、例えば80Nmで締めたいときに何Nmにトルクレンチを設定するかの計算が必要という意味です。)

標準ヘッドは全てSの長さが17.5mmになっています。


スタビレーの差替え式トルクレンチ

スタビレーの差替え式トルクレンチは、トルクの計算なしに取り付けられるヘッド(=標準ヘッド)も多いのですが、差込角やサイズによっては設定トルクを計算する必要があるものも。
スタビレーのカタログの“S列”に“*マーク”が付いているものは、設定トルクの変更が必要です。

S列に注意!


差替え式ヘッドの選定方法

まずトルクレンチを選定します。
メカニカルトルクレンチなのかデジタルトルクレンチなのか。
(スタビレーのトルクレンチにはメカニカルの中にも、より素早くトルクの設定ができる「Quick」シリーズなどもあります)
今回はメカニカルトルクレンチ80Nmの締め付けを行う場合を想定して選定します!

まずトルクレンチの選定から。
今回は締め付けたいトルクは80Nmなので、「50181010」を選びます。
カタログを確認すると、ヘッド差込角は「9×12」です。

50181012でもOKですが、その場合はヘッドの差込角が変わります。

次に、差し替えヘッドを選定します。
今回は、ボタンを押すとソケットが外れる「クイックリリース」の中から探します!
まずヘッド差込角「9×12」であることを確認し、締め付けたいボルトのサイズに合うものを選びます。
(もしサイズが合うものが無ければソケットアダプターをご使用ください)

注意:例えば、120Nmで締めつけたい場合はこれらのヘッドは使用できません

ソケットの差込角が3/8SQの場合は「58253005」を、1/2SQの場合は「58253010」を選びます。
許容トルクは100Nmまでなので、このヘッドを使用しても問題ありません。
最後に“S列”を確認すると、どちらも“*マーク”が付いています。
つまり、このヘッドを使用する場合は設定トルクの計算が必要です!


設定トルクの計算方法

では、実際に締め付けトルクを計算する方法をご説明します!

計算方法は201ページに掲載されています(2020/2021年版)

上の赤い枠で囲んだ計算式に数字を当てはめていくだけなので、意外と簡単なのです。

色に合わせて当てはめていきます。

トルクレンチのページと差し替えヘッドのページを見ながら数字を当てはめていき、それを計算すると77.6Nmになりました。(実際には77.57…)
つまり、この差替えヘッドを取り付けて80Nmに設定すると、実際の締め付けトルクは82~83Nmになってしまうということです。

タイヤの取り付けなど、そこまで精密なトルク管理が必要でない作業であればこのような計算は必要ないといえば必要ないのですが、よりシビアなトルク管理が求められる作業の場合は必須になります。
※スパナやメガネヘッドの大口径を使用する際などはご注意ください。

その点、スタビレーのデジタルトルクレンチは差替えヘッドの長さ(S mm)を入力すれば、このような計算をせずに締め付けたいトルクを入力するだけでトルクレンチが調整してくれる機能も備わっています!


スタビレーのカタログはこちらから!

スタビレーのホームページからでもカタログを見ることはできるのですが、ページが英語とドイツ語しか選択できませんのでご覧になりたい方はこちらからどうぞ!(カタログは英語です)
※ABC順で各メーカーのカタログを掲載しています。


トルクレンチを握る場所も重要

また、「トルクレンチの使い方」についてのnoteにも記載していますが、トルクレンチはグリップの中心(もしくはマークのある場所)を握ることを前提に設計されています。
てこの原理を思い出してみると分かりやすいかと思いますが、重いものを動かすには“てこ”が短ければ大きな力が必要になり、長く持てばより小さい力で動かすことができます。
ですので、設定したトルクと実際の締め付けトルクがずれないよう、トルクレンチも決められた場所を握るようにしてください。

トルクレンチの使い方」について詳しく書いているnoteはこちら ↓

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また随分と長くなってしましました…
もしかすると、トルクの計算自体初めて聞く方もいらっしゃったのではないでしょうか??
ここで得た知識は、是非ドヤ顔で回りに広めてください!

このnoteをきっかけに、少しでも皆さんのトルクレンチライフが充実したものになれば嬉しいです!
まだまだnoteは続いていきますので次回もお楽しみに~!