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3. スタビレー推奨!トルクレンチの使い方

第4回のnoteも見ていただきありがとうございます!
前回のnoteではトルクレンチの特徴と弱点を中心にまとめましたが、今回は“使い方”にフォーカスを当てた内容となります。
メーカーや製品によっても少しずつ異なりますので、こちらのnoteにまとめているものはあくまでも「一般的なコイル式トルクレンチ」と「スタビレーの板バネ式トルクレンチ」に関して「スタビレーが推奨している使用方法」である点、ご留意ください。

シグナル式、直読式、プリセット型、ダイヤル型などトルクレンチの種類に関してはこちらのnoteにまとめています。

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プリセット型トルクレンチの正しい使い方

冒頭にも書きましたが、このnoteには”一般的なコイル式トルクレンチ”と”スタビレー板バネ式トルクレンチ”についてスタビレーが“推奨”している使い方を記載しています。
なぜわざわざ『使い方』なるものの提示が必要なのかと言いますと、トルクレンチは他の作業工具に比べると正しくその能力を発揮させるにはコツが必要だからです。
せっかく高精度かつ高額なトルクレンチを使用していても、使い方が誤っていればトルクレンチを使う意味がなくなってしまいます。

①正しい方向に締め付ける

基本的にトルクレンチが使用できるのは一方向のみです。(ほとんどが時計回りの締め付けに対応しています)
緩める側に使用するとトルクレンチの精度を落としてしまうこともあります。
しかしスタビレーのトルクレンチは取り外し可能なヘッドを裏返すことで、反時計回りにも締め付けることができます。(この際はトルクを)
トリガー機構に作用しないため、損傷を与えることはありません。

②ハンドルの中心を握る

トルクレンチはグリップの中心(もしくはマークのある場所)を握る前提で設計されています

『トルク=力×長さ』
ボルトにかかる締め付けトルクは、力とその力をかける場所までの長さによって変わります。(トルク(T)=長さ(L)×力(F))
トルクレンチはグリップの中心を握ることを前提に設計されています
ですので、握る位置がずれたり、ヘッドが標準品よりも長いもの(もしくは短いもの)を取り付けると、設定されたトルク値がずれてしまいます。
スタビレーでは標準と異なる長さのヘッドを取り付ける際のトルクの計算方法も提示しています。(これもまたかなり説明が長くなってしまうので、きちんと1回分のnoteにまとめますね!)

③クリックしたら止める

基本的にトルクレンチは空転しません。(空転式のものもありますが)
つまり、カチッとクリック音や感触があった後にも力を入れ続けると、さらにボルトは締められ続けます。
その結果、せっかくトルクレンチを使用しているにもかかわらずオーバートルクになってしまいます。
勢いをつけてトルクレンチを使用したり反動をつけて締め付けを行うと、クリック音が鳴ってすぐに止められないためオーバートルクが発生することが多いです。

④ゆっくり力をかける

これは③の「クリックしたらとめる」に繋がりますが、クリック音ですぐに締め付けを止められるように「ゆっくり力をかける」ようにしてください。

トルクレンチのよくある誤解

ダブルクリック(2回の締め付け)はしない

繰り返しになりますが、空転式トルクレンチ以外のトルクレンチは空転しません
ですので、カチッというシグナルがあった時点で規定トルクに達したことになります。
つまり、既に規定トルクに達しているにもかかわらず更に力を加えるとオーバートルクになるのです。

もしきちんと締め付けられたか不安な場合は、一度緩めてから再度トルクレンチで締め付けるようにしてください。
また、スタビレーのトルクレンチは「カキンッ!」というようなはっきりした音と確かな感触が特徴です。(騒音の中でもシグナルが分かります)
トルクの調整範囲の小さい値ぎりぎりはシグナルが分かりにくく抜けてしまうような感覚のものもありますので、設定したいトルク値が調整範囲の40-70%に収まるようなトルクレンチを使用することもおススメです。
(例:40-200Nmを設定できるプリセット型トルクレンチでは、40Nmや50Nmなどの小さい値だとシグナルが弱くなることがあります)

長期保管しているものは使用前に校正する

保管環境によっては、保管中にトルクレンチの精度に狂いが生じている可能性があります。(中に錆びが発生していることも…)
万全を期すため、何年間も保管していたようなトルクレンチは使用前に校正することをおススメめします。

トルクレンチは締め付けトルクを保証するものではない

シグナル式トルクレンチのシグナルは規定トルクに達したことをお知らせするただの合図です。
トルクレンチはその規定トルクの値を保証するもの(精度±4%など)であり、最終的な締め付けトルクまでを保証するものではありません。
(シグナル式トルクレンチでは実際に何Nmで締め付けたのかはわからないということです)
心理的に増し締めをしてしまうことも多く、どうしても作業者による個人差が出てしまいます。

トルクレンチを正しく使えばより正確な締め付けができる

こちらももう何回言ってるんだ!くらいになりますが、どれだけ高価なトルクレンチも、精度が良いトルクレンチも、正しく使用しなければその能力を発揮できません。

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かなりボリューミーになってしまいましたがいかがでしたでしょうか。
次回はトルクレンチの管理方法や校正に関しての内容をまとめていこうと思います!(校正してますかー!)

是非楽しみにお待ちください!