喜八郎のnote
蜂須賀喜八郎という料理人
蜂須賀喜八郎という料理人がいました。
中卒で料理の世界に入ってから、7年間のフランス修行も含め、フランス料理をただひたすらに探究し続けた人です。
もう本当に「バカ」がつくほどの料理好きで、寝ても覚めても料理のことばかり。料理をしている時間が本当に楽しそうでした。
彼のもつ知識や技術や、なにより料理にかけるパッションは、業界でもトップレベルだったと思います。
そんな彼は、2019年4月20日、自転車事故で突然この世を去りました。
あと1ヶ月で、51歳を迎えるはずでした。
彼の遺したもの
私の手元には、彼が大切にしていたたくさんの料理本と、調理器具と、そして膨大な数のレシピが残りました。
料理本や調理器具は、彼の友人や後輩、お別れ会に集まってくださった料理人の方々に形見分けとしてお譲りしたのですが、どうにも困ったのがレシピです。
彼の料理哲学や食材の扱い方、クラシックなフレンチの技法など、本当にたくさんのノウハウが詰まっているのですが、私の手元にあってもまさに宝の持ち腐れ。
このまま埋れさせてしまうのはさすがに気が引けるので、三回忌を期に料理本を出版できないかと動いてみたのですが、みなさんの温かいご協力にもかかわらず、やはりこのご時世での出版は厳しいようで。
それならば、まずはウェブ上で彼のレシピを公開していこうと思い立ち、彼の名前でこのnoteを立ち上げました。
今日は、喜八郎の誕生日です。
これから少しずつですが、彼のレシピやそのエピソードなどをご紹介していきたいと思います。
彼の遺したものが少しでも、未来の料理業界の役に立ちますように。
執筆:蜂須賀 紀子
《 蜂須賀 喜八郎 》
1968年広島県生まれ。ホテルのサービスやレストランの厨房での修業を経て、25歳で渡仏。「アピシウス」「ル・サントネール」「オーベルジュ ラ・フニエール」等、6年半修業し、2000年に帰国。「新橋ミクニ」料理長、青山「ブノワ」副料理長を経て、2010年7月、外苑前に「グラース」を開業。2013年に自店を閉店後、「ボウ・デパール青山倶楽部」総料理長を経て、2017年より「ホテルジャパン下田」洋食総料理長。
みなさまのサポートで、「喜八郎の料理本」出版ができるようになるのが夢です。よろしければ、ぽちっとサポートお願いします!