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【起業アイデアに役立つ海外最新ビジネスニュース #98】QualtricsのIPO、ユタ州最大規模に!

●Qualtricsの新規株式公開

Qualtricsは新規株式公開価格を2700円から2900円に引き上げ、ユタ州における最大のIPOになっています。

価格の上昇により、同社の評価額は1.5兆円となり、IPOで約1500億円を調達できる可能性があります。
Qualtricsは、従業員、製品、顧客の経験を測定するためのソフトウェアを提供しており、SurveyMonkeyなどの企業と競合していますが、以前は2000円~2400円の間でIPO価格を予定していましたが、2200円~2600円に引き上げました。

Qualtricsはユタ州の67の公開企業の1社となり、価格帯の最高値を付けた場合、ユタ州で現在最大のIPOとなっているEnergySolutions社の2007年11月の新規株式公開(約690億円)の約2倍の金額を調達できることになります。

●ユタ州の企業の急成長

ユタ州でスタートアップが急成長することは、まったく新しいものではありません。
プロボ・リーハイ・ソルトレイクシティ地域はシリコン・スロープとして知られており、独自の技術コミュニティを形成しています。
同州に拠点を置くベンチャー企業は、昨年1200億円の資金調達を行いました。

しかし、QualtricsのIPOは、SAPに買収されたときのように、同州にとっては大きな取引となります。

Joe Kaiser氏(Mercato Partnersのディレクター):
「QualtricsのIPOは、州からの大規模撤退のフライホイール効果につながる可能性もあります。
Qualtricsには、信じられないほど優秀な人材が集まっています。」

Kaiser氏は、2014年にユタ州リーハイのVivint Solar社の株式公開を支援し、最後はユタ州に留まることになりました。

現在、Qualtricsの卒業生が、次の優良企業を立ち上げたい場合や、次世代の起業家がスタートアップの構築を支援するリーダーを探している場合、QualtricsやDomoのような企業の人材プールを利用することができます。

「最初はハイパーグロース環境で働く優れた人材でローカル市場をインキュベートしました。 」とKaiser氏は述べています。

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Qualtricsは2018年11月、企業向けソフトウェアメーカーのSAPが8000億円で買収計画を発表し、IPO目前に迫っていました。
当時、QualtricsはSAPの過去2番目の規模の買収で、旅行・経費管理プラットフォームConcurの8300億円での買収に次ぐ規模だったといいます。また、この買収はユタ州での年間最大のものでした。

SAPは2020年7月に、代わりにQualtricsを株式公開を意図していると発表し、エンタープライズ・ソフトウェア・メーカーは12月にQualtricsのIPOを正式に申請しました。

Christian Klein氏(SAPのCEO):
「QualtricsのIPOは管理カテゴリを成長させ、顧客にサービスを提供し、独自の買収戦略ができるようになるでしょう。そして最高の人材を育成し続けるための最大の機会になると判断しました。
SAPはQualtricsの最も重要な市場投入および研究開発(R&D)パートナーであり続ける一方で、Qualtricsにはより大きな独立性を与え、エクスペリエンス管理のエコシステム全体と提携して基盤を拡大することができます。」

Qualtricsの買収は、HealthEquityが従業員福利厚生マネージャーのWageWorksを2120億円で買収したことで、2019年に同州で1000億円を超える2つの買収のうちの1つとなりました。
またユタ州を拠点とする企業の買収としては過去最大のものでした。SAPによる8000億円の買収は、2012年9月にBlackstoneが2000億円でVivint Smart Homeを買収したユタ州企業の2番目に大きな買収額の約4倍に相当します。

Kaisere氏:
「ユタ州の企業はシリコンバレーの価格を狙っており、今後も取引量は増加すると予想しています。Mercato Partnersの投資先企業は2020年3月以降、5社が撤退しており、そのうち3社は1000億円を超えています。」

●数千億円規模の買収

SoFiは4月にソルトレイクシティに本拠を置くGalileo Financial Technologiesを1200億円で買収する計画を発表しました。
Thoma Bravoは昨年1150億円でVenafiを買収し、Ericssonは1100億円でCradlepointを買収した。
その他、最近のユタ州企業の買収で注目すべきは、VMWare社がSaltStack社を買収し、Rubicon Technology Partners社がCentral Logic社を買収したことです。

「ユタ州のある企業がユタ州の別の企業を買収するというのではなく、それよりもはるかに広い範囲での買収だ」とKaiser氏は述べています。

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Qualtricsはまた、ユタ州に本拠を置く企業にとって、ここ数カ月で2番目に注目すべき企業となりました。バイオ医薬品企業のClene Nanomedicineは、特別目的の買収企業と合併して約3週間後に株式を公開しました。

John Yoon氏(Mercato Partner副社長):
「テック企業がリモートワークに柔軟性を持たせることは、ユタ州の急成長テック企業の助けになります。
大企業が人々の移動を奨励したり、移動を許可したりすることから始まり、一度ユタに移動したら大企業に留まる必要はありません。この現象を『受粉効果』と呼んでいます。」

Kaiser氏:
「ユタ州のスタートアップ企業は、一部の大手テック企業がリモートワークに対応し始めている地域から恩恵を受けることができます。
人材がユタ州やコロンバス、ミネアポリスのような場所に移動し、そこに定住すれば、地元のスタートアップに入社したいと考えるようになるかもしれません。
根を下ろし、生活がどれだけ楽になるかを見てきたので、『今、この町にクールなスタートアップがいて、バックエンドエンジニアを必要としていて、これが私の仕事だ』と考えるようになります。」

出典:Crunchbase

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