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企業分析 | 株式会社キタムラ

今回はカメラのキタムラで有名な株式会社キタムラを分析していきます。スマートフォンの普及により「高性能な小型カメラ」を多くの人が保有するようになりました。

スマートフォンの普及は、カメラ販売店や写真店、プリント市場にはどのような影響をおよぼしているのでしょうか。

企業概要

株式会社キタムラホールディングスのグループ会社
資本金:1億円

<事業内容>
・カメラのキタムラ運営
・スタジオマリオ運営
・中古販売事業、フォトカルチャー事業、Apple製品の修理サービス、スマートフォン事業、インターネット販売事業

※キタムラ(東証2部)は2018年8月6日付で上場廃止
└カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)子会社のCK ホールディングスが、キタムラ株に対するTOB(株式公開買い付け)を実施。

4P分析

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Product(プロダクト:製品)
写真用品店チェーンの「カメラのキタムラ」では、カメラの販売・修理、写真プリントなどのサービスを展開しています。
「スタジオマリオ」は七五三や入学、卒業など記念日向けのフォトスタジオです。
その他、Apple製品の修理サービス「アップル製品サービス」の運営や中古販売等を展開しています。

地方都市のロードサイドを中心に、写真に関するワンストップサービスを提供しています。

Price(プライス:価格)
カメラなど各商品の価格はそれぞれかと思いますが、スタジオマリオ の撮影料は3000円で、その他にデータ代や商品代などの料金が発生するとのことです。

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Place(プレイス:流通)
カメラのキタムラの店舗数は全国707店舗、スタジオマリオは全国361店舗あります。その他、カメラや家電などのインターネット販売も行っています。

Promotion(プロモーション:販売促進)
2020年1月に大阪なんばに新しいコンセプトのキタムラがオープンしました。

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店舗サイトを見る限り、これまでのキタムライメージとは違った「高級感」が感じられます。フォトグラファーや著名人によるトークショー、カメラや写真に関するワークショップ、ギャラリースペースでの写真展など、毎週イベントを開催しているとのことで、より「カメラ好き」「コアユーザー」をターゲットにした店舗展開をしていると考えられます。

以降分析していきますが、カメラのキタムラにとって「スマートフォンの普及やスマートフォンカメラの性能向上」は大きな脅威と考えることができます。
なのでこの新店舗のように、これからはカメラ初心者向けに新規購入を促すだけではなく、カメラのコアユーザーをターゲットにしたサービス展開が求められてくるでしょう。

PEST分析

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Politics/Political(政治面)
働き方改革による副業解禁が進んでいます。カメラマンやデザイナーなどスキルを持った人材に関してはますます流動化が予測されます。

Economy/Economical(経済面)
2018年のフォトイメージングの市場規模は約1854億円で減少傾向にあります。スマートフォンの普及などの影響により、プリント需要が落ち込むとともに、写真店も減少。ピーク時には全国34,000店舗あった写真店は、2013年時点で9,000店舗まで落ち込んでいるそうです。また、写真撮影・プリント代の一世帯当たり平均年間支出金額は、2000年には8,000円を超えていたが2009年には4,000円と約半分に減少しています。

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(日本フォトイメージング協会)

一方、国内フォトブック市場は160億円でここ10年で4倍と拡大傾向にあります。デジタルカメラやスマートフォンの普及によって、プリントしなくて写真を画面で確認できるようになりましたが、いまだ残る「写真を残したい」というニーズに向けて、プロの手によりストーリー形式で写真をまとめるフォトブックサービスが人気を集めています。

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(日本フォトイメージング協会)

その他、高齢者向けサービスでの遺影写真サービス市場が拡大していたり、SNSにに掲載する写真を撮るための「リア充アピール代行サービス」というものが登場するなど、新しい分野で盛り上がり始めています。

Society/Social/Cultural(社会/文化/ライフスタイル面)
デジタルカメラやスマートフォンの普及により、「写真を撮ること」は多くの人にとって身近で手軽な行為になりました。しかし、プリント需要が減っている結果、写真店の減少や一眼レフカメラなどの販売数減少につながっています。

一方、マタニティフォトやニューボーンフォト、ハーフバースデー、2分の1成人式など、少し前にはなかった、もしくは広まっていなかったイベントが登場していたり、SNSの普及により写真を共有する機会が増えています。

これからも「写真を撮る」という行為は変わらず身近な行為になるでしょう。

Technology/Technological(技術面)
写真店にとってコンビニプリントやネットプリントの台頭は大きな影響を与えています。セブンイレブンでは専用アプリから簡単に店舗でプリントアウトができるなど利便性も向上しています。

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また、カメラの性能の向上や加工アプリなど写真加工サービスの技術も向上により、誰でも簡単にプロ並みの写真が撮れるようになったことで、フォトスタジオや写真店に行かなくても誰でも高品質な写真が撮れるようになりました。

そんな現代では、フォトスタジオに求められる価値は変わってきていると考えられ、改めて「顧客価値」を新しく創造していくことが求められます。

3C分析

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競合は同じくフォトスタジオを展開している「スタジオアリス」です。
スタジオアリスも、七五三、卒園・卒業、入園・入学、お宮参り、百日祝い(お食い初め)、マタニティなどに向けて記念写真撮影サービスを行っています。店舗数、売上高と共に増加中です。

2001年にはDPE(現像・焼き付け・引き伸ばし)事業から撤退し収益性の高い分野に特化して事業展開を行っています。

一方、キタムラの場合はハード部門のウェイトが高く、写真に関するワンストップサービスを展開している形になります。

SWOT分析

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強み(Strength)
写真に関するワンストップサービスを展開していることや「カメラのキタムラ」のブランド力は強みです。
これからは、SNSマーケティングを活用した新たな撮影需要の創出が大きなテーマとなりそうです。

弱み(Weakness)
スタジオアリスと比較すると、収益率が劣ります。印刷だけでなく、SNS用に写真撮影するなど新たなサービス展開で収益率を上げていく必要がありそうです。また、市場縮小も考えると、衣装や物品のレンタルなど撮影だけでない付加価値の提供がますます求められてきます。

機会(Opportunity)
済産業省の2012年資料によると、遺影写真を準備するべきと感じるが準備していないと回答した人は46.8%にのぼり、高齢化が進む中、遺影写真ビジネスにニーズがあることがわかります。
またフォトブック市場は盛り上がるを見せていることから、よりターゲットをセグメントし、新たな市場やニーズの掘り起こしをしていくとビジネスチャンスがあると考えることができます。

脅威(Threat)
プリント需要の落ち込みや写真店の減少など、市場規模の縮小は大きな脅威です。また写真撮影・プリント代の一世帯当たり平均年間支出金額の減少しており、新たなビジネスの創出が求められます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

カメラの性能の向上や加工アプリなど写真加工サービスの技術も向上により、誰でも簡単にプロ並みの写真が撮れるようになったことで、フォトスタジオや写真店に行かなくても誰でも高品質な写真が撮れるようになりました。

そんな現代では、フォトスタジオに求められる価値は変わってきていると考えられ、改めて「顧客価値」を新しく創造していくことが求められそうですね。

人はこれからも写真を撮り続けるのでしょうか。

何のために撮り続けるのでしょうか。

撮り続ける目的は、時代と共に変化していくのかもしれませんね。

<参考>
https://newspicks.com/news/2171850/body/
https://jp.gdfreak.com/public/detail/jp010050001070100592/3
https://jpia.jp/category/fromjpia/pi-market/
https://soshakan-inc.jp/fashionandphoto/
http://www.holistic-r.org/c_info/2719/2719130620.pdf





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