起業ライダーマモル【先輩起業家インタビュー】Vol.1(後編)
起業ライダーマモルユーザーの先輩起業家にインタビューをする第一弾。後編は吉岡さんの新たなビジネス、今後のビジョン、ユーザーの皆さんへのメッセージについて話を伺った。
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『県内でレンタルスペースを提供している事業者はほとんどいなかった』
マモル:レンタルスペース事業を始めるまではどのような経緯でしたか
吉岡さん:実は、レンタルスペース事業の構想は、ヘアサロン開店前からありました。エステ、ネイル、マツエク(まつ毛のエクステンション施術)などの施術を行うフリーランスなどの方は数が多いものの、県内でレンタルスペースを提供している事業者がほとんどいなかったのです。
そこで、まずはヘアサロンの店内にエステ等で短時間でも自由に活用できるレンタルスペースを用意し、既存の民間サービスのホームページに広告を出してみたところ、意外なほど反響がありました。
「思ったより入るな」というのが率直な感想です。
ヘアサロンの経営が軌道に乗るにつれて、営業時間内にヘアサロン内のスペースを活用するのが難しくなってきたため、ヘアサロン内のスペースだけでなく、空き物件を見つけて事業展開してみようと思い立ちました。
『趣味のランニングで見込み物件をリサーチ。見つけた物件の大家さんに直接アタック』
マモル:空き物件はどのようにして探したのですか
早速、空き物件等を探しはじめましたが、なかなか見つかりませんでした。
空き家情報などは、防犯上の理由もあり、ネットにはほとんど出ていないのです。
リサーチを始めてしばらく経ったあるとき、趣味のランニング中に「これならいいんじゃないか」という物件を見つけました。
そこで、ランニングウェアのまま周囲の方に大家さんを聞いて、そのまま大家さん宅を訪ね、交渉しました。大家さんも最初は驚いていましたが、物件の活用に悩んでいたということで、とんとん拍子に話が進み、その後ほどなく1棟目の物件が決まりました。
物件を探すには、自転車や車より、じっくりと物件を観察できるランニングが適していると思います。現在は2棟目を準備していますが、これもランニングしながら見つけました。まだ始めて数カ月のビジネスですし、リスクを見越して慎重に取り組んでいますが、確かな可能性も感じています。
レンタルスペース MR.CLIP
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自分で自分の『主人公になれた』
マモル:現状の課題と今後の目標について教えてください
吉岡さん:課題というか、常にプレッシャーとして感じているのは、自分が「3代目」ということです。
周囲には「跡継ぎはいいよな」と言われることもありますが、自分の感覚としては逆で、もし「自分の代で潰すことになったら」というプレッシャーは心のどこかにいつもあります。
料理人さんも、代がかわって「味がちょっとかわったね」と言われたりするのは、良し悪しありますが、きっとその言葉達との葛藤があると思います。
自分も同じように悩んだ時期もありました。
今では他に捉われず、自分の色を自信を持って発信する事が出来るようになりましたが、そこに行けたのはやはり "職種の違う同じ境遇の人達" との出会いが大きかったなと思います。
特に グラフトプレナーのみなさんとお知り合いになる事が出来たのはとても大きかったと今でも感謝しています。
こちらには家業を持って生まれながら、自分で事業をアレンジして今までにない形で発信している方々がたくさんいます。家業持ちという方でなくても、起業や独立のアイディアや活力をたくさん頂ける場だと思うので、是非知ってもらいたい場所でもあります。
今後の目標については、ヘアサロンでの挑戦も四六時中考えていますが、きちんと結果を出して、事業として継続していけるように頑張りたいと思っています。
当面の目標としては、レンタルスペース事業を拡充していきたいと考えています。1棟目のテナントの方たちはとても喜んでくれました。
その笑顔をみて、素直に「もっと世の中の役に立ちたい」と思いました。なかなか一歩踏み出せずにいる方へ「場」を提供することの価値を通じて、いつか静岡のまちづくりにも貢献していけたらと考えています。
マモル:起業して、起業する前から大きく変化したことはありますか
吉岡さん:抽象的ですが、起業したことでやっと 自分で自分の「主人公になれた」 感じがあります。
会社で安定して働いているよりもリスクがあり、直接ダメージを受け止めるのも自分ですが、その逆も、全て自分に返ってきてくれます。 そしてなにより、自分が信じる方向に舵をきれるのも自分になります。
どのような形でも、 "主人公目線" を持つ事がとても素敵な事だなと思います。
レンタルスペース事業でも、そんなお手伝いができればという思いを込めて、「誰もが平等に輝けるスペースを!」というコンセプトで行っています。
『まずは飲み会の幹事から。小さな主人公体験を積み上げよう』
マモル:起業を考えている皆さんへのメッセージをお願いします
吉岡さん:周囲の方から起業のご相談を受けることもあるのですが、結局のところ、行動して、失敗して、改善していく以外にないんだなと思っています。
また、なかなか最初の一歩を踏み出せない方には、「飲み会の幹事をやるといい」と話しています。
飲み会の幹事をやれば、メンバーを集めて、メンバーに合ったお店をネットでチェックして選んで、予約をとって段取りをつけて、当日も15分前には会場へ行ってお店側と話をして、メンバーを誘導して、お金を集めて・・などなど様々な仕事があります。
それをこなしていくこと、小さな成功を重ねていくことが最初の一歩になると思います。
ほんとうに些細で、日常的なことですが、こうしたちっちゃな「主人公体験」を集めていくと、それがすこしずつ積み上がり、一歩前に踏み出す勇気がつくのではないでしょうか。
「起業」というとすごく大きく感じますが、実は小さな一歩の積み重ねで、誰にだってできることだと思います。
皆さんの挑戦を、応援しています。
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今、吉岡さんはヘアサロン、レンタルスペースを営む傍ら、起業に取り組む人をサポートするためのコンサルタントとして活動する準備を始めている。ちょうどインタビューをしたときに、Youtuberとしてデビューを果たしていた。
『吉岡コミュニケーション大学 / ゆうトーーク。 』
インタビューを通じて、吉岡さんから感じたことは『まず、やってみよう』という強い気持ちだ。記事では詳細は割愛したが、起業までの過程でビジネスを模索する中では様々な試練があった。
思わぬ人から辛辣な指摘を受けたこともあったそうだ。
それでも、まず一歩を踏み出し、試行錯誤を繰り返す。自分が主人公でありたいという気持ちがそうさせるのだろう。本人がおっしゃる通り、自身も起業家として1年生であり、まだまだ越えなければならない道はあるだろう。
でも大丈夫。なぜなら吉岡さんはどんな時でもまず一歩を踏み出すことができるからだ。
起業ライダーマモルでは、吉岡さんの今後を追いかけて、時折皆さんにお伝えしていきたいと思っている。
いかがだっただろうか。少し先を行く先輩起業家のメッセージがみなさんの起業のヒントになってくれればうれしい。
起業ライダーマモル【先輩起業家インタビュー】Vol.1(後編)おわり~
※本インタビューは先輩起業家の紹介を目的とするものであり、文中で紹介した支援機関・サービス等は起業ライダーマモルおよび独立行政法人中小企業基盤整備機構が提供するサービス以外のものもありますので、支援機関・サービスを利用する際はサービス内容・約款等をよくお読みいただき、ご判断頂きます様お願い申し上げます。