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それ、起業前に知りたかった。

起業を思い立って、素早く行動し、起業する。

起業家にとってスピードは、強力な味方だ。特に、成長分野のビジネスでは、常にスピードが求められる。

一方で、起業前にしかできなかったり、起業前に冷静に検討しておいた方がいいこともある。

今回は、これから起業を目指す人が「それ、起業前に知りたかった」と後悔することがないように、起業前にやっておきたい5つの準備をまとめてみた。

あたり前だと思ってしまう内容もあるが、そのあたり前をやるかやらないかが、成功と失敗の分かれ道になることもある。起業前のチェックポイントとして、ぜひ確認してみてほしい。


1.身近な人の理解と協力を得る

以前、こんな記事を紹介した。

起業をするのに、反対していた妻へのプレゼンを繰り返し、最終的に理解を得て、事業を軌道に乗せた先輩起業家のストーリーだ。

起業は人生の転換点となる。

これまでの生活が一変し、多くの場合ゼロから収入や信頼を構築していく必要がある。当然だが、その変化は自分だけでなく、大切な家族やパートナー、恋人などにも及ぶ。

事業を軌道に乗せるための挑戦はエキサイティングだ。これまでに漫然と過ごしていた時間はすべて事業に注ぎ込まれる。それは望むところだろう。

だが、身近な人と過ごす大切な時間も、これまで通りにはいかない。それどころか、思うように売上が立たず、生活が苦しくなることだってあるかもしれない。

そんな時、誰よりも親身に支えてくれるのは、自分を理解し、挑戦を支援してくれる、身近な人たちだ。

独力で準備を行い、特に周囲に相談せずとも成功する人もいるだろう。だが、よほど確信がない限り、まずは起業について腹を割って話し、身近な人の理解と協力を得ることが大切だ。

起業のために、それまで勤めていた会社を辞職するときも同じだ。いやらしく聞こえてしまうかも知れないが、起業して最初のお客さんが「以前に勤めていた会社の関係者」というケースもある。

フリーランス白書の調査でも、仕事獲得の上位は、人脈や過去の取引先が上位を占めている。

仁義を通して円満退社し、家族の理解も取り付けられる人は、自身のビジネスの魅力を伝えらることができ、お客さんの評価や取引先の信頼も獲得できる人だ。


2.1円でもお金を貯めておく

身も蓋もないが、お金を貯めておくことは非常に重要だ。言い切ってしまえば、起業は「お金を持っていたもの勝ち」な側面もある。

起業に必要なお金は、何をするのかや、自分が何を重要視するのかで変わる。

だが、起業前にやっておくべきこととして、できる限りお金の制約に振り回されないよう、起業後に多少の失敗をしても持ちこたえられるよう、とにかく1円でも多くのお金を貯めておくことは重要だ。

テクノロジーの発達で、近年、少額資本での起業が増えている。

だが、それで華々しく成功する起業家がいる反面、あっという間にお金が底をつき、再考を余儀なくされる起業家もいる。

知ってのとおり、起業は高い収入が得られる可能性がある反面、失敗もすべて自己責任であり、収入の保証もない。

大海原に漕ぎ出す冒険家が、長い航路を耐えるだけの食料を備蓄するように、お金をしっかりと貯めておくこと。頭の片隅に常にとどめておいてほしい。


3.保険の加入を検討する

起業家にとって転ばぬ先の杖の1つ。それが個人事業主やフリーランスなどのための保険制度だ。

「え、そんな保険ってあるんですか?」

という反応もよく聞く。だが、独立して事業を営む個人事業主やフリーランスは病気やケガ、思わぬ事象で所得が激減するリスクを抱えている。そんなリスクを分散・補ってくれるのがこうした保険制度だ。

たとえば、

「個人事業主 保険」

などで検索をすると、様々な民間保険会社の商品が容易に見つかる。それぞれの状況と予算に応じて、自分の起業に最適な保険加入を検討するのも一つの手だ。

・・ちなみに、オレたち中小企業基盤整備機構では、公的な支援制度として「小規模企業共済」を運営している。

これは、国が運営する、小規模事業者や個人事業主などのための「経営者の退職金積み立て制度」だ。

全国で約100万人以上が加入していて、掛金は全額を所得控除できるから、節税効果もある。ぜひ、加入を検討してみて欲しい。


4.事業用のクレジットカードをつくる

これも意外な盲点なのだが、起業後は社会的な信用がなくなってしまうため、新規クレジットカードや住宅ローンの審査が通りにくくなることがある。

そこで、社会人として勤務している間に、個人用のクレジットカードとは区別して、事業用のクレジットカードを作成しておくことも有効だ。

公私の区別がつけやすくなり、事業用経費の管理がやり易くなるだけでなく、ポイントサービス等により経費の節減になることもある。

これも、たとえば

「個人事業主 クレジットカード」

で検索をすると、様々なカードのメリット・デメリットを比較したサイトが容易に見つかる。使い方と特典などに応じて、カード作成を検討しておくことも良いだろう。


5.人間ドックを受けておく

最後は、人間ドックだ。

当然だが、起業後は身体が資本だ。先にも述べたが、病気になって仕事を休んでしまったらそのぶん収入も減ってしまう。

起業後に思う存分に事業に打ち込むためにも、人間ドックを受診して自身の健康状態を把握しておくことが大切だ。

また、社会人として勤務している間は定期的に健康診断を受診していても、
いざ起業すると事業に没頭してしまい、自身の健康は二の次というケースが多くある。起業後も、健康診断や人間ドックを受診し、しっかり体調を維持・管理することが重要だ。


以上だ。

「起業とは崖から飛び降りて、落ちるまでに飛行機を組み立てるようなものだ」と例えられることがある。

しかし、飛び降りる前にもできることはある。

それが、この5つだ。

1.身近な人の理解と協力を得る
2.1円でもお金を貯めておく
3.保険の加入を検討する
4.事業用のクレジットカードをつくる
5.人間ドックを受けておく

これから、起業を目指す人が、将来「あの時、知っておいて良かった」となりますように。

■おわり