見出し画像

ある大学発ベンチャーの研究者の想い

大学発ベンチャーの課題

日本には優秀な大学がたくさんあり、そこで行われている最先端の研究から世界を変えるようなビジネスが生まれることも少なくありません。

そんな、大学の研究を基に起業する大学発ベンチャーは、国や自治体の支援もあって、どんどん増えています。

引用:経済産業省「令和4年度産業技術調査事業 大学発ベンチャーの実態等に関する調査」

盛り上がりを見せる大学発ベンチャーですが、同時に課題もいくつかあります。そのひとつが、経営メンバーの確保です。

いくらすごい研究成果があっても、それをビジネスにつなげる力がなければ会社として成功しません。

そのために、経営のノウハウを持った人材が必要になってくるのですが、研究者がそのまま経営者になる場合もあれば、外から専門の人材を採用する場合もあります。いずれにしても、割と大変な作業なんです。

引用:経済産業省「令和4年度産業技術調査事業 大学発ベンチャーの実態等に関する調査」

なぜ大変かというと、研究から生まれるビジネスは成長軌道に乗るまで何年もかかり、その間の資金の確保に苦労するからです。場合によっては、倒産させてしまうかもしれません。

そんなリスクを負ってくれる人を確保するのは、そりゃ大変ですよね。研究のノウハウと経営のノウハウはまったく違うので、研究者に兼務させるというのも酷な話です。

ところが、ある大学発ベンチャーの研究者にインタビューしていたとき、その研究者の言葉で少し視点が変わりました。

研究と運命を共にする覚悟

それは、某有名大学の研究室から生まれたベンチャー企業で、そこの研究が実を結べば世界中のエネルギーや環境の問題が劇的に解決するくらい、すごいものです。

インタビューの中で「大学発ベンチャーは経営人材の確保が課題と言われますね」という話になりました。

その研究者は経営メンバーでもあるのですが、この話題に対して、熱い想いがあふれ出てきました。

「研究者たるもの、その研究と運命を共にするべきだと思うんです。
 
 だから経営のリスクを負うのも当然で、
 この研究がダメだったら自分も死ぬんだ、くらいの覚悟は必要なんです」

もちろん「死ぬんだ」は比喩的な言い方ですが、このくらい自分の研究を愛せるって、カッコいいですね。

実際、この会社が最終的に実現しようとしている世界は、夢物語のような話です。おそらく、実現するまでに5年~10年はかかるでしょう。でも、この研究者は本気で挑み続けています。

以前に投稿した「IVSで出会った、起業家をめざす高校生」にも通じる話ですが、理想を失わずに夢の実現に向けて突き進むエネルギーがあれば、世間で「課題」といわれていることも解決できてしまうんですね。

もちろん、企業ごとに事情は異なると思いますが、改めて起業家が持つ情熱や理想の尊さを実感した一幕でした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?