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今年、手放したものと、戻ってきたもの~リヤドロの人形とパールの腕環

こんにちは、ぱんだごろごろです。

今日は、今年、さよならしたものと、失くしたと思ったのに、戻ってきたもの、2点のお話です。


リヤドロのお人形


さよならしたのは、陶磁器で有名なスペインのメーカー、「リヤドロ」のお人形です。

娘が私立中学校の受験に合格した記念に買いました。

なかなか成績が安定せず、苦労した末の合格でしたので、嬉しくて、買ってしまったのだと思います。

当時、リヤドロと言えば、お花の細工の素晴らしさに定評がありました。
私も、このお人形を買うにあたっては、綺麗な小さな花がそこここにあるのが気に入って、選びました。

今年、壊れてしまい、さよならした、リヤドロの磁器人形、「春を告げる小鳥たち」


*我が家にいたお人形は、割れてしまったので、画像を探してきました。

この磁器の若い女性を娘になぞらえて、この先、娘に幸運がやって来るようにと、願いを込めて、購入したのです。



☆☆☆


それから時は流れ、20年余りが経ちました。

綺麗な小さな花は、半分ほどが欠けたりなくなったり。
いたはずの小鳥もどこかへ行ってしまって、帰っては来ず。
台座も真ん中にひびが入りました。

お人形自体も無傷ではいられず、衣裳や帽子や右手に持ったかごに、傷痕が見られるようになりました。

その都度、夫が陶器用の接着剤で、割れたり欠けたりした部分をくっ付けて、修理してくれていたのですが。

ふと見た時に、何か違和感がありました。

娘さんの姿を見てから、視線を下に下ろすと、そこに手首が落ちているではありませんか。

ギャーッ!

流血はありませんでしたが、まさしくホラーの世界。

夫を連れてきて見せると、

『ああ、前もここ、くっ付けた』

どうやら、私に怒られると思ったのか、こっそり夫に頼んで修理してもらった何者かがいたようです。

『もう無理だね』

同じ所は、二度は付けられないと、夫は言います。

その言葉で、私も決心することができました。

お人形は、いつか土に還るもの。
無事に戻って行ってね。

あなたのおかげで、娘も幸せを摑むことができました。
今まで、ありがとう。
そして、さようなら。


バロックパールの腕環


ある日の、お出掛けから帰った時のことでした。

コートを脱いで、ハンガーに掛けようと持ち上げた時、ふと手首を見ると、そこにあるはずのものが見当たりません。

一瞬ののち、全身から血の気が引くのがわかりました。

バロックパールのブレスレットがない!

落とした!

どこで!?

駅に着いた時には、手首にありました。

そのあと、エキナカで夕食の買い物をし、駅ビルのルミネの中を通って、階段を降り、帰途に着いたのです。

探しに行かなくちゃ!

このバロックパールのブレスレットは、ネックレスとお揃いのもので、ウエダジュエラーで、以前、私の担当をしてくれていた、鈴木さんが作ってくれたものでした。

私の好みと予算を考えて、何度もメールで提案をしてくれ、最終的にデザインが決まるまで、鈴木さんが事細かに尽力してくれたからこそ、できたブレスレットなのです。

失くしてしまったなんて、鈴木さんにどんな顔をして言えばいいんだろう。

夫は、二階の部屋で仕事中、息子はまだ会社から帰っていません。

私は家の鍵とスマートフォンだけを持って、家を飛び出しました。

帰ってきた道を、ブレスレットが落ちていないか、探しながら歩きます。
まだ暗くなりきっていなかったのは幸いでした。

腕環は見つからないまま、駅まで来てしまいました。
ルミネの中も、通った道をそのまま辿りました。

通路の端から端まで見て、行っては戻りを繰り返します。

私は落胆しました。

どこにもない。

とうとう、駅の改札口に続く入り口まで来てしまいました。

入り口のところにあるインフォメーションには、受付嬢の若い女性が座っていました。

私はすがる思いで、彼女に、真珠の腕環の落とし物がなかったかどうかを尋ねました。

彼女は親切に、電話で問い合わせてくれましたが、結果は何もない、とのことでした。

念のため、私は差し出された書類に、住所・氏名・電話番号を書いて、腕環の落とし物が届いたら、知らせてもらえるようにしました。

インフォメーションを出て、私はとぼとぼ歩きました。

たとえ腕環が落ちていたとしても、見つけた人がすぐに届けてくれるとは限りません。

あとで届けようと思い、そのまま忘れてしまったら。
面倒になって、捨ててしまったら。

万一、気付かれずに靴で踏まれでもしたら、真珠は生き物です。
あっけなく壊れてしまうでしょう。

悪い想像ばかりが浮かびました。

あとは帰るしかありませんが、駅の改札を見て、最後にここにも訊いてみようと思いました。

改札口にいる駅員さんに、腕環の落とし物はないかを尋ねました。

彼は、真珠の色や形を訊き、いったん奥に引っ込みました。
そして、私に、身分証明書はないかと訊くのです。

❓️

『それらしいものは届いているんですけどね、身分証明書がないと、お見せできないんですわ』

すぐさま家まで飛んで(モノレールに乗って)帰りました。
家の鍵を開けて中に入り、運転免許証の入っている財布をつかみ、駅まで取って返します。
改札口で、免許証を見せ、落とし物を見せてもらいました。

私のブレスレットでした。


一番上のものが、バロックパールのブレスレット。
左側の突起を、右端のゴールドの珠に開いている穴に差し入れて留める
構造になっている。


安堵のあまり、膝ががくがくしました。


帰り道、ルミネのインフォメーションに寄って、受付嬢の女性に訳を話し、御礼を言ったことは覚えています。
彼女も喜んでくれました。

すっかり暗くなった中を、私はウキウキしながら家まで歩きました。

そっと鍵を開けて、家に入ると、夫は何も気が付かず、まだ二階で仕事を続けているようでした。


これが、今年の、「戻ってきたもの」のお話です。
今後は、会合が終わったら、すぐにブレスレットを外し、バッグにしまおうと思います。



今日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。
12月も下旬に入りましたね。
寒くなりますから、お気を付けくださいね。








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