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夏は来ぬ(夏が来た!)

こんにちは、ぱんだごろごろです。
先日、私が尊敬する、大好きnoterさん、川ノ森千都子さんの記事を読んで、
ある歌のことを思い出しました。

それが、タイトルにある、「夏は来ぬ」。

千都子さんが記事中に書いておいてくださった、一番の歌詞を読んだだけで、
本当に歌えたんです。
耳がメロディーを覚えていたのですね。

https://youtu.be/qa6PvmbLyq0

この歌は唱歌・童謡とされていますが、作詞家は佐佐木信綱(1872~1963)。
貞明皇后(大正天皇の妃)にも、和歌の指導をした、国文学者であり、歌人です。
つまり、本格的な学者であり、歌人が作った歌なんです。

ですから、子供向けの唱歌・童謡と言えども、
初夏を表す、古典的な事物、情景、
言ってみれば花鳥風月のクラシック・アイテムが、わんさか、てんこ盛り。

一つだけでも、十分、和歌や俳句のモチーフになるのに、
これでもかと並べ立て、
まるで、初夏の主題語句一覧表のよう。

最終5番目の歌詞なんて、1番から4番までに登場する風物たちが、そろってご挨拶に出て来る、にぎやかで、絢爛けんらんたるフィナーレです。

夏は来ぬ』(なつはきぬ)は、佐佐木信綱作詞、小山作之助作曲の日本の唱歌である。1896年5月、『新編教育唱歌集(第五集)』にて発表。2007年日本の歌百選に選出されている。
卯の花(ウツギの花)、ホトトギス五月雨、田植えの早乙女楝(おうち)水鶏(くいな)といった初夏を彩る風物を歌い込んでいる。
「夏は来ぬ」は文語で、「来」(き)はカ行変格活用動詞「来」(く)の連用形、「ぬ」は完了の助動詞「ぬ」の終止形で、全体では「夏が来た」という意味になる。

ウィキペディアより

【夏は来ぬ】


▼一番

卯の花の 匂う垣根に
時鳥(ほととぎす) 早も来鳴きて
忍音(しのびね)もらす 夏は来ぬ

卯の花


時鳥(ほととぎす)


*忍音(しのびね)・・・その年に初めて聞くホトトギスの鳴き声のこと。

二番

さみだれの そそぐ山田に
早乙女が(※原曲は「賤の女(しずのめ)が」) 裳裾(もすそ)ぬらして
玉苗(たまなえ)植うる 夏は来ぬ

*さみだれ(五月雨)・・・旧暦の5月頃(現在の6月頃)に降る雨のこと。梅雨。

*山田・・・山間部にある田圃たんぼ

*早乙女・・・田植えをする若い女性。

*賤の女…身分の低い女性のこと。
昭和17年(1942)6月に、「賤の女しずのめ」から「早乙女さおとめ」に改められたそうです。<発表は明治29年>

*裳裾・・・女性の着物の裾

*玉苗・・・早苗と同じ。苗代から田へ移し植えるころの稲の苗。
「玉」は美化するために付ける言葉。

▼三番

橘の 薫るのきばの
窓近く 蛍飛びかい
おこたり諌むる 夏は来ぬ

橘(たちばな)

*軒端(のきば)・・・軒端とは、軒(のき)の端(はし)のこと。
軒(のき)は、屋根の下部の、壁から突き出している部分。

*おこたり(怠り)・・・なまけること

*諌(いさ)むる・・・目上の人に対して不正や欠点を改めるように忠告すること。
この場合は、貧しい学生が、蛍の光や雪あかりで、勉学に励んだという中国の故事(蛍雪の功)にちなみ、しっかり勉強しなさい、と忠告しています。

▼四番

楝(おうち)ちる 川べの宿の
門(かど)遠く 水鶏(くいな)声して
夕月すずしき 夏は来ぬ

楝(おうち)

*楝(おうち)・・・栴檀(せんだん)の別名。初夏、薄紫色の花をつける。

水鶏(くいな)

*日本の古典文学にたびたび登場する「くひな」「水鶏」は、別属のヒクイナを指していることが多いと言われています。

ヒクイナ
古くは単に「水鶏」(くひな)と呼ばれ、その独特の鳴き声は古くから「水鶏たたく」と言いならわされてきた。

ウィキペディアより
ヒクイナ

五番

五月(さつき)やみ 蛍飛びかい
水鶏(くいな)鳴き 卯の花咲きて
早苗植えわたす 夏は来ぬ

*五月やみ…旧暦五月(現在の6月頃)の夜の闇

最終五番には、一番から四番までの歌詞に出てきた、
初夏を彩るスターたちが、再び華麗に、勢ぞろいします。

★五月・・・二番(五月雨として登場)
★蛍・・・三番
★水鶏(くいな)・・・四番
★卯の花・・・一番
★早苗・・・二番(玉苗と同じ)

以上、見てきた、「夏は来ぬ」の世界。
一番から五番まで、そらで歌えたら、素敵でしょうね。

古典的な言い回しや、季語も盛り沢山な名曲です。

口ずさみながら、初夏の散策を楽しむのも、良いかも知れません。

私は今度、カラオケで、じっくり歌ってみたいと思います。

今日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。

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