【き・ごと・はな・ごと(第12回)】うらうらと、桃の花
3月3日は桃の節供である。
この日、和歌山県加太の淡島神社で行われる雛流しはつとに有名である。今年、全国から寄せられた雛人形の数は約4万体、神事を見ようと集まった人出は2万だそうだ。おすべらかしに十二単、つんと澄ました表情の人形たちが、鮨積め満員御礼状態で船に積み上げられ、ゆらゆらと海上に流されていくさまは、微笑ましくもあり妙に儚げでもある。
お雛さまたちが分乗する貴船には、桃の花が添えられる。雛飾りだから桃の花は当たり前だ。にしても考えてみれば何故この時期に桃なのだろう